気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

訃報  青柳守音さん

2010-11-11 00:48:43 | 短歌人同人のうた
蓮らしき種子を拾った階段のペンキを塗ったようなま緑

水盤に拾った蓮の種子を置く夜から雨の降る音を聞く

雨の降るまぎわの熟れた風にふれ芽をふかないか水盤の蓮

テノヒラに滴る水が消してゆく死者のことばも遠街の雨も…

「十二階…」告げればそこは部屋のまえオカエリと言う傘が一本

(青柳守音 種子を拾う… 短歌人10月号)

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短歌人会同人の青柳守音さんが、11月4日に乳がんの再発のため、58歳で亡くなられた。名古屋で開催された夏季集会のとき、責任者のひとりとして活躍された守音さんにお会いしたのが最後となってしまった。

10月号には、秋のプロムナードに15首掲載されている。守音さんの拾った蓮の種子はどうなっただろうか。

思えば、私が甲府での全国集会に初めて参加した帰りの新幹線で、いろいろ教えていただいたのが、守音さんとのお付き合いのはじめだった。
その後、『永井陽子全歌集』を出版するにあたって、大変な尽力をされたことは、皆の知っていること。
昨年、短歌人評論・エッセイ賞に応募しようと、永井陽子のことを調べたとき、行き詰って守音さんに電話して、いろいろ教えていただき、貴重な資料を貸していただいた。
校正チームの一員としても、がんばってくださった。
余りにも早いお別れに、まだ信じられない思いがする。
親切で信頼できる方だった。

心よりご冥福をお祈りいたします。