気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2010-11-01 22:31:30 | 朝日歌壇
阿蘇谷の野より山より水気立ち昼はま白き秋雲となる
(熊本市 高添美津雄)

二万発はるかに超えし核秘むる地球(ほし)にはあれど澄みわたる秋
(舞鶴市 吉富憲治)

汚れたる聖書のごとく繰返し車谷長吉読む是非もなく
(大阪市 山下晃)

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一首目。美しい自然詠。私も比叡山の見える土地に住んでいて、山から水蒸気が上るのをよく見かける。これをどう表現したらいいのか、わからなかったが「水気」という言葉を教えてもらった。自分の言葉で、比叡山の水気の歌を作ってみたい。
二首目。二万発もの核を持ちながら、それを大きく抱いて、今は穏やかに見える地球。澄みわたる秋に、平和を祈るのみ。
三首目。車谷長吉の小説を愛読して、汚れても聖書のように大切にしている作者に共感する。私も、何冊か車谷長吉の本を読み、彼の書かずにはおられない気持ちの強さに魅力を感じるので、作者の気持ちはよくわかる。作家と読者の熱いつながりを感じる