気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人2月号 同人のうた その4

2010-02-24 00:32:20 | 短歌人同人のうた
ともかくもわれは生きゆく金の風銀の風など視て従へて
(柚木圭也)

また来ますと言ひて行かざりし病室を思へば遠き海の光
(酒井佑子)

秋袷やはらかく身に添はせゐるみづおちふかきに文目(あやめ)むらさき
(山下冨士穂)

淋しいか淋しくはないか土手の木に聞けば問はるる私もまた
(金沢早苗)

冬の雨ふればかの日のブロンズ像「労働者」に酸性雨の縞
(岡田悠束)

容赦なく日は流れゆき誕生日92歳になりにけるかも
(野地千鶴)

これがかの七憎ざかり然れども眠りに落ちしときのみ天使
(本多稜)

いつしらに月日ながれて見開きの海を去りゆくなんばんの船
(春畑茜)

ブラウスを着ずにすごせし春いくつ中原淳一の少女おもへば
(橘夏生)

よろこびに満ちてふたりはただ居ればわが感情はしづかになりぬ
(小池光)

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短歌人三月号が来る前に急ぎ読みたり同人一欄
(近藤かすみ)