ビル街のはざまの道をもりあがりながら富士山近づいてくる
糸切り歯覗かせながら軽躁の上野広小路田宮二郎は
放射式石油ストーブまん中に燃えてしっくり園まり歌う
流れつつ解散はせず十九歳名曲喫茶紫苑に及ぶ
大相撲の天井カメラ短靴を揃えて置いた枡席のひと
スマイリー小原踊るは執り成さん乱臣賊子高度成長
果てしなき彼方に向いて手旗うつ田勢康弘著「島倉千代子という人生」
一等は「ぺんてるえのぐ」夏休みの半日を割く写生大会
大輪の菊の尽(すが)れるアーケード黛ジュンの歌う「夕月」
(柏木進二 電柱の 沖積舎)
**************************
一首目は、この歌集でわたしの一押しの歌。富士山がもりあがりながら近づいてくるなんて、すごい。作者にはたしかにそう見えたのだ。富士山は、たまに新幹線から見るという程度の私には出来ない歌。私が毎日見るの、比叡山だが、もりあがりながら近づいてきたことはない。ただそこにあるだけ。感性の違いなのだろうか。
ほか、田宮二郎、園まり、スマイリー小原など、懐かしい昭和の芸能人の名前が出てくる。うまくその人の特徴をとらえている。
糸切り歯覗かせながら軽躁の上野広小路田宮二郎は
放射式石油ストーブまん中に燃えてしっくり園まり歌う
流れつつ解散はせず十九歳名曲喫茶紫苑に及ぶ
大相撲の天井カメラ短靴を揃えて置いた枡席のひと
スマイリー小原踊るは執り成さん乱臣賊子高度成長
果てしなき彼方に向いて手旗うつ田勢康弘著「島倉千代子という人生」
一等は「ぺんてるえのぐ」夏休みの半日を割く写生大会
大輪の菊の尽(すが)れるアーケード黛ジュンの歌う「夕月」
(柏木進二 電柱の 沖積舎)
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一首目は、この歌集でわたしの一押しの歌。富士山がもりあがりながら近づいてくるなんて、すごい。作者にはたしかにそう見えたのだ。富士山は、たまに新幹線から見るという程度の私には出来ない歌。私が毎日見るの、比叡山だが、もりあがりながら近づいてきたことはない。ただそこにあるだけ。感性の違いなのだろうか。
ほか、田宮二郎、園まり、スマイリー小原など、懐かしい昭和の芸能人の名前が出てくる。うまくその人の特徴をとらえている。