気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2010-02-15 18:10:09 | 朝日歌壇
アメリカが戦争しない日は来るか太平洋は今日も紺碧
(日立市 山野いぶき)

背を向けたその瞬間にアンティーク人形たちの視線が刺さる
(沼津市 森田小夜子)

沼べりの日だまりにいてだんまりの寒鮒釣りは釣れても寡黙
(館林市 阿部芳夫)

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一首目。選者の高野公彦氏も書いておられるが、アメリカはいつもどこかで戦争している。社会批評の目を持った作品。下句の「紺碧」が良い。
二首目。アンティーク人形は、愛好する人にはたまらなく魅力のあるものだが、どこかしら怖さを感じさせるところがある。作者はそれを「視線が刺さる」と捉えた。これも鋭い感性だ。
三首目。魚釣りをしたことがないが、寡黙ということに惹かれた。寡黙で含恥の人というのは、魅力的。たまに話す言葉が的を射ていれば、なお素晴らしい。