気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

西洋朝顔

2009-09-16 16:35:31 | きょうの一首
この秋の残りの時間の中に咲く西洋朝顔のひと色の青
(河野裕子 歩く)

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久しぶりの「きょうの一首」です。
題詠ブログの自作を延々と載せるのも芸がないので・・・。

河野裕子の第九歌集『歩く』の「手術前夜」と題された十首のなかから。
手術への不安を詠った歌に混じって何気ない身の回りの植物が詠われていると、読む者もほっとする。しかし秋という季節、残りの時間、青という色の冷やかさに、ただごとでないものを感じる。病があってもなくても、残り時間が少なくなっていることはだれにも共通する。病を持つと、それが一層強く心に迫ってくる。