気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2009-08-16 18:14:02 | 朝日歌壇
夕ぐれの雨にあじさいぼんやりと耳鼻科は今日も休診の札
(町田市 高野静江)

最大に欠けし太陽ガジュマルの木もれ日に見入る10時54分
(那覇市 蜂谷かほる)

老婆とて紅一本は持ってます何かわからぬ良き日のために
(伊東市 奥野彰子)

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一首目。「夕ぐれ」「雨」「あじさい」と道具立てのそろった歌。わたしが出る歌会なら、それだけで嫌がられそうだが、下句で「耳鼻科の休診の札」を出したことで逆転!面白い歌になった。「今日」か「札」をどちらかひらがな表記にすれば、なお良くなると思う。
二首目。日蝕の歌がいくつかあった。ちょうどその時期に投稿された歌なのだろう。日蝕のときは、こもれ日も三日月形になると聞いたが本当だろうか。確かめたかった。作者はそれに見入ったのだろうか。結句に「10時54分」の正確な数字を入れたのはよいが、やはり漢数時にしてほしかった。
三首目。四句目の「何かわからぬ」がとても気に入った。孫やひ孫の結婚式に参列するときだろうか。それとも、死化粧のためだろうか。読者の想像力を刺激する。三句目の「持ってます」の軽い言い方や、「紅」「良き」という言葉えらびに明るさがあって好きな歌。