気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2008-10-06 23:45:01 | 朝日歌壇
単身赴任の土日だれとも話さねば日曜の夜は埴輪と化せり
(吹田市 豊 英二)

デジカメを買わんと選ぶ息子の目選べばほかを失う苦に居る
(茅ヶ崎市 相沢孝七)

年経ても歌えることに驚きぬロシア民謡「ともしび」二番
(渋川市 狩野達雄)

**********************

一首目。だれとも話すことなく一日を終えてしまうことが、間々あるが、作者はその状態を埴輪と譬える。埴輪の無表情でぼーっと口を開けた様子に自分の姿を見たのだろう。しかし、家族であれ職場の人であれ、だれかと一緒に居るということは、けっこうストレスの原因となる。埴輪・・・いいんじゃないですか。イヤなやつの話を聞かされたり、世話をさせられるよりは。人間は慣れたら、強くなるもの。魅力的な埴輪になってください。

二首目。デジカメを選んでいる歌だが、デジカメは他のものに置き換えて読むことが出来る。職業、結婚相手、引越しなどなど。人生は選択の連続だ。デジカメなら気に入らなくなっても数年で買い換えることが出来るから、失敗しても気にしない。もっと重要な選択も、若さの勢いでして来ちゃったと思う今日このごろ。私の選択はいつも正しかったと自分で言い聞かせるしかない。歌としては、下句に言いたいことが多くて、もたついている感じがする。

三首目。たしかに、子供のころや若いころによく歌った歌は記憶の底にしっかり根付いていて、年を経ても忘れないものだ。私の場合は・・・と書くと年はバレるので、ここでは秘密。ロシア民謡は、ほとんど歌えません。作者は、歌声喫茶を知っている世代の方だろうか。歌声喫茶というものがあったらしいとは知っているが、残念ながら、当時子供だったか、生まれていなかったので、私は知りません。