気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2008-05-20 23:44:09 | 朝日歌壇
浅漬けの茄子を伊万里の皿に載せ日本の藍色二つ出会わす
(岡谷市 茅野高子)

エレガントな思想のような数学を銀杏の下に君と語りき
(鎌倉市 大西久美子)

豚足をしゃぶる媼の唇が艶めきている春深き宵
(鳥取県 中村麗子)

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一首目。いかのも美味しそうな茄子の漬物を伊万里の藍色の器にのせて、双方の藍色を出会わせるという目にもきれいな歌。おいしそうなのが良い。
二首目。数学は理路整然としていて、エレガントなのかもしれない。頭のいい爽やかな恋人同士の会話が聞こえてくるようだ。銀杏という具体が出ているのも良い。
三首目。これも美味しそうな歌。出てくる言葉が、どれも艶めいて脂っこいが、それで押すもの面白いと思った。
諸事情で、きのうの朝日歌壇も、ギリギリの時間になりました。おとといの・・・にならなくて良かったです。

波の花ぬかに重ねてもみこめば小ぶりの茄子の紺が深まる
(近藤かすみ)