気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2008-05-06 01:22:45 | 朝日歌壇
失うという字の中に夫のいて「ノ」だけとなりてからの歳月
(夕張市 美原凍子)

おもいきりまるめてぽいと屑籠に捨てたいような一日だった
(和泉市 長尾幹也)

吾の顎を傾けさせる親指で生物学の教科書めくる
(東京都 田村麻里紗)

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一首目。たしかに「失う」という字は、ノと夫から出来ている。夫をなくして「ノ」だけになったという機知の歌。
二首目。そんなツマラナイ一日もきっとあるだろう。口語でわかりやすく多くの人の共感を得る歌。歌会で出る歌とタイプが違って、いかにも新聞歌壇の歌。
三首目。爽やかな学生の恋を歌った相聞。生物学の教科書の生々しさと硬さが内容に合っている。

恋を知る前もその後もいつまでも家に帰ればわが子をさなし
(近藤かすみ)