気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2008-04-28 21:10:45 | 朝日歌壇
待ち合わせこのまましばし声かけず眺めていたい君の背中を
(福岡市 中村未央)

種蒔いて待つといふ日のはじまりぬ日脚伸びたる十坪の菜園
(神戸市 内藤三男)

み吉野に花満つる前ほうたるの川を越えたり前登志夫さん
(鳥取市 中村麗子)

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一首目。ういういしい相聞歌。恋をすると一緒に居るのも楽しいが、離れて相手を思うときも心が弾む。出会う直前の心の動きを捉えていて良い歌だと思う。
二首目。種を蒔くというのは、種が芽を出し、育つのを待つことのはじまりという把握に納得されられた。十坪の菜園の具体的な広さも歌にリアリティを与えている。
三首目。先日亡くなられた前登志夫さんへの挽歌。ほうたるの川を越えたり・・・に詩情がある。結句、さんを付けるか、ほかの言葉にするか迷うところだ。

待つことに限りのあるや 四年にて愛は終るといふ説もある
(近藤かすみ)