気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2008-04-13 22:17:30 | 朝日歌壇
月光を重なり合いて登りくる白豹五千吉野のさくら
(名古屋市 藤田恭)

さくら餅さげて帰るさ夕やけの空の色まで薄きくれなゐ
(大阪市 末永純三)

安楽死を口にしてより飼い主も獣医も深き沈黙に入る
(春日井市 伊東紀美子)

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一首目。吉野のふもとから山を登るように桜が咲いていく様子を、白豹五千と表現したのがすごいと思った。この桜のなかに前登志夫さんの魂もあるのかとそんなことまで考えた。
二首目。さくら餅の可愛らしい歌。さくら餅、さげて、帰るさ・・・と「さ」の音が三回続いている。作者の心の弾んでいるのが伝わってくる。
三首目。重い内容の歌。人間の安楽死は認められていないが、そんなことまで連想させる深い内容の歌。

桜もち三色団子よもぎ餅二日に分けて食む春の味
(近藤かすみ)