気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

<数字>を詠みこむ

2008-03-22 22:55:40 | つれづれ
日本に二千五百の火葬場はありてひたすら遺伝子を焼く
(松木秀 5メートルほどの果てしなさ)

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短歌研究4月号の<数字>を詠みこむという特集で、荻原裕幸さんが挙げておられた歌。そうか、日本には二千五百もの火葬場があるのかと、改めて知る。今まで、親族の葬儀で行ったことのある火葬場はいくつあるだろうかと考えるが、思い出したくないのか、ほとんど忘れてしまっている。生き物の亡骸は遺伝子でぎっしりなので、火葬場はひたすらそれを焼く場所なのだ。松木秀さんの歌は、抒情というよりも、思わぬ発見を提示して読者にあっと気付かせる歌が多い。
この歌集の題名にも5という数字が入っていて、しかもアラビア数字なのが彼らしい。

短歌研究は、私がはじめて買った短歌総合誌で、ずるずると定期購読し続けている。今年から編集者が替わったらしく、すこしずつ新味が感じられる。短歌人の人がよく登場していて、不遜ながら、なんとなく応援したくなる雰囲気。千円は、やっぱり高い。詠草欄に投稿するための三角のシール?が要るので取っているとも言えるけれど、こちらはなかなか思うように行きません。

ひとの歳を数ふるときはかりそめに昭和八十二年と思ふ
(近藤かすみ)

短歌をとめ

2008-03-22 00:27:13 | きょうの一首
「草原情歌」歌声酒場にうたひけり素朴な短歌をとめなりし日
(蒔田さくら子 短歌研究4月号)

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きょう届いた短歌研究4月号から。「草原情歌」は中国の歌のようである。それを歌った若い日のことを思い出している。「短歌をとめ」という言葉は、はじめて聞いたが、なかなか情趣のある言葉。あなたもわたしも短歌をとめ。なんと麗しいことでしょう。

凛としてそのこゑ鈴をふるごときさくら子さまは短歌をとめぞ
(近藤かすみ)