気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

巻き寿司

2005-12-30 18:21:07 | おいしい歌
携帯電話(ケータイ)の大きさほどの大トロを載せしにぎりの出処進退
(小池光 滴滴集)

恵方とはそもいづかたぞ巻き寿司を食べてこの世の義理をはたさむ
(吉岡生夫 食悦三百六十五日 短歌人1月号)

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もう三十日だ。すこしずつは食料を買い貯めているので、なんとかなるだろう。
昔はお寿司というのは、御馳走だった。たしか正月の二日か三日に、家で作った巻き寿司を食べる習慣があった。おつゆは蛤。

お節の重箱には塗りのものとアルマイトのものがあった。塗りの方には、出し巻き、かまぼこ、黒豆、棒だら、栗、数の子などが入っていてこれはちょっと上等。アルマイトには、トラ豆、野菜の煮付け、綱のかたちのこんにゃくの煮付け、お揚げの煮付けなど普段家で食べるものが入っていた。これは10日くらいまで、何度も火をとおして食べた(食べさせられた)ものだ。

もう二度と触れられぬゆゑなほさらに恋しき母の巻き寿司のヘタ
(近藤かすみ)