気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2005-12-19 22:38:15 | 朝日歌壇
偽りに軋む高層ビルを載せ島がひそかに崩れゆく音
(市川市 藤樫土樹)

新聞の郷土力士の星取表ヤ黒ヤヤ黒ヤヤヤヤヤ白
(和歌山市 土本かつみ)

広がらぬように切られてらしからぬ欅並べり欅通りに
(弘前市 佐藤鳥見子)

***********************

一首目。直接には音を歌っている。その背景に、建物の構造計算偽造から、日本列島のあれもこれもに及ぶ疑惑を歌って巧い。
二首目。下句リズムがよく面白い。視覚的にも良い。実際の勝ち負けはどうであれ、ここはリズムがよくなるように作っているのだろう。最後を白にしたのは、作者の思いやり。これもまた上手い。
三首目。「らしからぬ○」という言い方をよくする。「らしからぬ欅」が、句跨り。欅通りと銘打っているのに、切られたあとは「らしからぬ欅」になっているという皮肉な現実。切るは、伐るの方が適切じゃないだろうか。