気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

海境 角田純

2005-12-13 17:55:47 | つれづれ
草叢に墜ちたる鳥のごときかな霧にまぎれてあさの水際へ

魂きはる昭和は昏し、くらければ火の匂ひする言葉を我に

たましひもひかりもかぜもうつろひて海境(うなさか)に降る雪のぬくもり

しづかなる海の上(へ)にひかりあふれをりあかるきことは寂しかりけり

屋梁(はり)ふかく打ちこまれをる古釘は若草の野辺をおもひて啼きぬ

(海境 角田純 砂子屋書房)

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きょうはわりと時間があるので、日曜日に行った批評会の『海境』の復習。
松山市の海の近くで仕事をしておられるらしい作者だが、経歴はなぞのまま。読者はその重い詠いぶりに酔っていればよいのであって、決して詮索してはならない。
タイトルがすべてを語っている。

暮れいそぐ冬の一日どなたとも話さぬことが慣らひとなりぬ
(近藤かすみ)