気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

紅生姜

2005-12-01 23:16:50 | つれづれ
紅生姜入れに紅生姜詰め込んでるあんな教育を受けたくせに
(斉藤斎藤 短歌12月号 76ページ)

学歴をなほ信じゐる母連れて春のハトヤに来たりけるかも
(小池光 日々の思い出)

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角川短歌の「今年出会った一番の歌」で黒瀬珂瀾氏が取り上げていたのが、斉藤斎藤のこの歌。下句にすごいインパクトを感じた。
加藤治郎の有名な「もうゆりの花びんをもとにもどしてるあんな表情を見せたくせに」を踏まえたと、黒瀬氏は言う。その通り。

連想として思い出したのが、小池光のハトヤの歌。
ああ、いつまでもアタマに沁みついた学歴信仰を捨てるため、母は新たな自分を探さなければならない。この手の内容の歌をまだ冷静に読めない私。わが子がおごってくれるなら、マクドでも吉野家でも母は泣いて喜ぶのである。

四大卒専業主婦の命がけの子の進路言はぬ聞かぬこのごろ
(近藤かすみ)