気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

枯木灘 残照

2005-10-08 22:25:40 | つれづれ
枯木灘の海を見たしと思うかな切羽詰まったときの習いに

残照の光の海を二人行く花のごとかる罪を抱きて

両手にて君の冷えたる頤を包みていしは冬の夕駅

取り落とし床に割れたる鶏卵を拭きつつなぜか湧く涙あり

<世界より私が大事>簡潔にただ率直に本音を言えば

(道浦母都子 夕駅)

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晩ご飯を食べながら、テレビを見ていると、加山雄三、スパイダース、渡辺真知子、南こうせつ、世良公則といった懐かしい人が歌っている。圧巻は郷ひろみだった。かっこいい。

これに満足して、チャンネルを変えると、BSで都はるみが感情たっぷりに涙を流して歌い始めるところ。曲は「枯木灘 残照」。作詞は道浦母都子。
歌集『夕駅』で見覚えのある言葉が歌詞になっていた。
ここに引用した歌の中で、わたしが一番すきなのは五首目の<世界より私が大事>の歌。これは都はるみの歌の歌詞にはなっていなかった。そのことになんとなくほっとした。

薄墨を流すごとくに暮れいそぐ秋の日家路をゆく人を押す
(近藤かすみ)