気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

蒼の重力

2004-11-10 14:06:42 | つれづれ
天地(あめつち)の目合(まぐはひ)とこそ思はめや真夏の山の雪崩の叫(おら)び

ああやはり日本人だなさりげなく見て見ぬふりをして目が合ひぬ

まほろばの吸ひつくやうな肌かなうまさけ三輪の春の空気は

ひっひっふー、ひっひっふーと整ふるパッヘルベルのカノンの呼吸

ふかぶかと妻の送りし大波を乗り切つて吾子空気にむせぶ

(本多稜歌集『蒼の重力』本阿弥書店)

旅行詠登山詠職場詠家族詠…なんでもうまい。
スケールが大きいこれぞ「男うた」
「ひっひっひふー」「ふかぶか」は出産の歌でしょうが、男性の詠む出産の歌をはじめて読んだ気がしました。