ナチュラルキャピタリストのブログ

地球環境問題を切り口にした諸問題解決をライフワークとしている筆者が、独自な視点で語ります。

勝間和代さん、「幸福」をきちんと定義しましょう。― その2

2010-05-15 22:00:01 | 日記

すっかりブログの更新をサボっていたので、勝間和代さんと西村博之さんの「デキビジ」での対談をめぐる騒動ももはや忘れ去られてしまっている感がある。前回のブログでも述べた通り、勝間さんの西村さんに対する発言に関しては、筆者はあまり関心がない。

再度繰り返すが、筆者が問題視したいのは、コンサル経験のある勝間さんが「幸福」をきちんと定義出来ていなかったことである。筆者が「幸福」を定義することにこだわるのは、これは地球環境問題解決のための重要なベースともなるからである。

まず勝間さんがおっしゃっていた、内閣府の国民生活選好度調査結果の国民の幸福感については次のURL http://www5.cao.go.jp/seikatsu/senkoudo/senkoudo.html の通りだが、基本的に10点満点で国民に点数をつけさせただけの極めて主観的なものである。さらに、これは筆者の見解だが、マスコミ等の報道により、幸福ではないと思い込まされている可能性はないか等も考える必要がある。ちなみにに勝間さんが再三おっしゃっていて、西村さんに論破されていた「若者の起業」に関してはこのデータの調査票には載っていない。

やはり諸種のデータに基づいて、「幸福」を客観的に判断する必要がある。ましてや勝間さんのような「ロジカルシンキング」の講座を行っている方はなおさらであろう。

例えば前回のブログでも述べたが、例えば2009年の人間開発指数(以下HDIと略す。)では日本は10位でG7ではフランスに次いで2位である。詳細は以下のURLをご参照いただきたい。http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2650240/4725891
これは国連の補助機関である国連開発計画が出している指標で非常に有名であり、「幸福」に関する指標とも言え(ちなみに否定論もある。)、先進国の新たな基準として定着しつつある。前回のブログでも述べたが、筆者はこれを勝間さんにtwitterで質問しているが、お忙しいのかご回答は得られていない。

ちなみに西村さんはこの分野に関しては素人(失礼)であろうが、「水と安全があるだけで幸福」という発言には妙に納得してしまった。

さらにド素人の筆者であるが、地球環境問題に取り組んでいることもあり、自分なりに「持続可能」というキーワードで「幸福」を定義してみた。前述の人間開発指数には「環境」という側面がない。従い、以下のURLの資料を用いることにした。
http://assets.panda.org/downloads/lpr_2006_japanese.pdf
twitterでも何回か紹介しているのだが、これはWWFが出している「生きている地球レポート」2006年版である。この資料の19ページを見ていただきたい。横軸にHDI、縦軸にHDIにはない「環境」という側面からエコロジカルフットプリント(以下EFと略す。)を取っている。ちなみにEFを簡単に言えば、日本並みの生活をすれば地球がいくつ必要になるかということであり、単位はグローバルヘクタール(gha)である。これを見ると、HDIとEFのバランスがとれている持続可能な国家は、キューバしかない。このマトリックスには詳細な国名は載っていないがG7の中でもイタリアと日本の数値が他のG7国家、北欧よりも優れている。詳細な具体的数値は28ページ以降を見ていただきたい。

但し、このマトリックスの欠点はデータが2003年のもので少し古いあることである。「生きている地球レポート」は2008年度版も出ており、これは2005年のデータが使用されているが、筆者は、以下の理由から敢えて採用しなかった。
1.2006年版のマトリックスが採用されていない。
筆者の推測に過ぎないが、キューバのみが「持続可能な国家」と言われては困る国がキューバのすぐ北150マイルに存在するからだろうか?
2.2008年度版のEFからは要素として原発が何故かカットされている。
これで得をしているのが、フランスとスウェーデンなのである。ちなみにスウェーデンのEFが2006、2008年版の両方でも日本より環境負荷が高いことは意外に知られていない。
尚、今年「生きている地球レポート」2010年版が出る予定である。

話を勝間和代さんに戻したい。ド素人の筆者でさえも、ここまでデーターを調べて定義できるのである。勝間さんのようにマッキンゼー等でキャリアを積まれたコンサルタントが「諸種の指標を見ても日本が幸福度で落ちる」とのコメントでは全く説得力がないし、前述の通り、西村さんの方が説得力があった。

さらに言えば、優秀なコンサルタントというのは、例えばボストン・コンサルティング・グループがPPMを作ったように、自分で指標を作れる者を言う。勝間和代さんならできると思うし、彼女の社会的影響力から取り組むことは義務とさえ言える。是非、ご自分で指標をお作りいただき、「幸福」をきちんと定義していただきたいと考える。


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