恍然如夢

恍然如夢

き空中に飛出

2017-08-07 12:01:48 | 日記

「ああ……どうしよう、朔良君。嬉しさの余り叫びたいよ。ちょっと叫んでもいい?」
「……小橋……先生?ここで?」

小橋は朔良を抱きしめたまま、本当にその場で両手實德金融集團を上げてやったぁ!万歳!と大声で叫び、朔良を笑わせた。

「朔良君。そんなにおかしい?泣きながら笑わなくても……」
「あはは……っ。おかしいですよ、だって万歳する姿って、選挙の時くらいしか見たことないです。」
「それだけ嬉しいんだよ。感動してるって言った方が良いかな。本当にずっとこうして朔良君に触れるのを夢見て来たんだからね。気持ちが通じるなんて思ってもみなかった。信じられないよ。」
「触っていたじゃないですか。週に三回。」
「それは、理学療法士としての仕事の部分だ。その時間は誓って、僕は邪な気持ちを抱いてない。ひたすら朔良君の筋肉とだけ対話していたんだよ。」
「ええ。先生を信じます。今の僕を見て、誰も半年前までまともに一人で歩けなかったとは思わないでしょうね。」
「最高の褒め言葉だ。君もいつか、誰かにそう言わ實德れたら、今の僕の気持ちが判るよ。」
「先生のようになれるように、頑張ります。手を貸して下さいね、小橋先生。」

返事の代わりに、もう一度朔良を抱きしめ唇を落とした小橋だった。

*****

「話をしよう、朔良君。うんとたくさん。取りあえず、どこかで食事でもする?」
「僕も先生と話がしたいです。僕は先生の事を何も知らないから。」
「そう?僕の人生なんて柔道三昧で変わった事なんてないけど、面白い話ならいっぱいあるよ。」

促されて朔良は立ち上がった。
二人で部屋の外に出ると、そこには数人の看護師が手に手にモップなどを持ち待ち構えていた。得物を手にした看護師たちの気色ばんだ様子に、思わず顔を見合わせた朔良と小橋だった。

「何かあったんですか?」
「何が有ったって?その部屋の中ですよ。森本先生の研究室です。」
「は……?」
「織田さん、大丈夫だったんですか?妙な大声が森本先生の部屋から聞こえて来たと、患者さんがナースステーションに血相変えて走って来たんです。だから、わたし達。ねぇ、看護師長?」
「そうですよ。森本先生が顔色を変えて、織田さんが部屋にいるっておっしゃったものだから……若いナース達が、すっかり慌ててしまって。」
「もしかすると病院の裏手の山から、猪か猿でも入って来たのかもしれないって、みんな大騒ぎ。」
「もし動物じゃないなら不審者が侵入したんじゃないかって、言いだす者もいて、今、玄関の警備員さんを呼びに行ったところです。」
「何でも、大型犬が盛ってるみたいな声だったそうですよ。」
「いや~ん、気味悪い。」

小橋は絶句した。

「盛……って。」
「……あの……すみません。」

朔良はちらと小橋を見やった後、仕方なく頭を下げた。

「僕の足のマッサージを小橋先生がしてくださっていたのですが、余りに痛かったので思わず叫んで實德しまったんです。……その……盛った犬みたいな大声は、僕の声です。」

看護師たちは顔を見合わせた。

「うそ~!」
「え~、そうなんですか?織田さんの声なら、わたし達も分かると思うんですけど……」
「でも、まあ、声の正体がわかって一安心しました。じゃ、わたし達、持ち場に戻りま~す。」
「申し訳ありませんでした。」
「あっ!そう言えば誰か島本先生を呼びに行ったんじゃなかった?」
「行きましたよ、外科のナースが数人……あ、来た。島本先生だ~!」
「喧嘩強いんでしょ?ほら、前に酔っ払いが暴れた時も、島本先生が捕まえて警察に突したんじゃなかった?」
「そうそう……ほら、気合入ってるんじゃない?誰か、言わないと。」

そこにいた看護師が手を振ったのに、島本は気付いたが、誤解したままだった。
朔良の姿を確かめ、側に佇む小橋を見て、島本は何を思ったかすごい勢いで走ってきた。

「貴様が不審者かーっ!朔良姫……朔良から離れろ!」
「あ……違っ……!」

小橋に言い訳を許さぬまま、島本は襟首をつかむと締め上げようとしたが、実際んだのは島本の方だった。

「せいっ!」

腕を掴まれたまま、綺麗に背負い投げを決められて、島本は床に落とされた。

「う~!あたたっ……」
「……何してるの?」
「く……っ……くそ~、不審者に襲われてたんじゃなかったのか?朔良。」
「誤解だって説明しようとしているのに、いきなり飛び掛かって来るからこんなことになるんですよ。」
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