「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

NO.59 ★ 一党独裁体制がアダに 習近平政権では中国経済が復活しない理由

2024年02月02日 | 日記

MAG2NEWS (by 坂口昌章『j-fashion journal』)

2024年2月1日

心配されていた不動産バブルが崩壊したとされ、今後の先行きに大きな懸念が囁かれる中国経済。台頭著しかった東アジアの大国は、このまま沈んでいくのでしょうか。今回のメルマガ『j-fashion journal』ではファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、「中国経済の復活はない」と断言。その大きな原因として、習近平国家主席による独裁体制を上げています。

中国経済が復活できない理由

1.中国は独裁体制で動いている

中国は中国共産党の一党独裁であり、中国共産党は習近平の独裁体制である。つまり、中国の運命は習近平が握っている。この構造は、中国共産党だけでなく、多くの企業にも共通している。一般企業も、社長の独裁体制で運営されており、社長は万能であると社員も信じている。中国全体が独裁組織によって構成されているのだ。

中国が経済成長したのは、米国と日本が中国との国交を回復したことに端を発している。米国の金融資本は中国に投資し、日本企業は中国企業との合弁企業を次々と設立した。その結果、中国は世界の工場となり、輸出大国になった。

更に、中国の地方政府は不動産ビジネスで上げた莫大な利益により運営されていた。地方政府が所有する土地の使用権を不動産開発企業に販売し、不動産開発企業がマンションを販売した。土地の使用権料も不動産販売価格も地方政府が決定権を持っていたため、供給過剰になっても、不動産価格は上がり続けた。不動産価格は下がらないという不動産神話が生まれ、益々投資が増えた。不動産バブルである。

こうして企業も政府も莫大な利益を上げたが、それが内部留保されることはなかった。全て個人に分配され、それが再び不動産に投資されたのである。

2.資金流入が止まれば経済も止まる

中国では大企業ほど借金は多い。借金で会社を回して、共産党幹部との関係性でビジネスを確保するという構造だ。

中国では不動産売買も商取引も前払いで行われる。つまり、資本が手元になくても、商売ができる。必要な資金は借り入れればいいし、資金は外国からいくらでも調達できる。米国は中国企業に対して米国市場への上場を優遇した。中国企業が米国市場に上場することで、米国の金融機関が利益を上げ、その一部は政界にも流れた。

中国政府は、輸出企業に補助金を出すことで、先進国よりも安い価格で販売し、先進国企業を次々と淘汰していった。

それもこれも、外国からの資金供給があったからである。そして、安い商品を西側先進国が受けいれてきたからだ。

従って、中国経済を崩壊させようと思ったら、資金の流入を断ち切ればいい。中国投資をせず、中国製品を受け入れなければ中国経済は終わる。しかし、中国経済の成長によって利益を享受してきた資本家、政治家等は、そんなことをするはずがない。中国経済は安泰のはずだった。習近平政権が誕生するまでは。

3.「東昇西降」という妄想

米国、日本が中国に投資したのは、「中国が経済成長を果たし、市場経済を経験すれば、最終的に民主主義国家に移行する」と考えたからだ。しかし、「中国が繁栄すれば民主主義に転換するとの期待の下で続けていた従来の関与政策は失敗だった」とトランプ政権下のポンペオ国務長官は2020年7月の演説で認めている。

当時の中国政府は、この発言を米国の敗北宣言と受け取り、益々自信を深めた。習近平はスピーチの中で、何度も「東昇西降」と語っている。これは、「東の中国は上昇し、西側先進国、特に米国は下降する」という意味だ。

「中国は世界の工場であり、世界の経済大国だ。世界は中国に依存している。中国製品を輸入できなくなれば、困るのは先進国である」と習近平は信じ込んでしまった。そして、大国になったのだから、自分が世界のリーダーになるべきだと考えた。経済に関する知識もないので、習近平は「中国経済は自分が命令すれば、コントロールできる。経済が悪ければ、経済を良くすると言えばいいし、不動産業界が不況ならば、不動産業界を立て直すと言えばいい」と思っていたのだ。

2022年12月、中国政府はゼロコロナ政策の転換を図った。世界は中国経済の回復を期待した。しかし、2023年の春節が明け、工場は再開したが、注文は来なかった。そして、若年層の失業率が増大した。

ゼロコロナ政策は、西側先進国にも大きな影響を与えた。発注しても、いつ商品が届くか分からない状態が2年間も続き、企業はサプライチェーンの組み直しを余儀なくされた。中国にある外資企業は次々と撤退し、商品の調達先を中国から東南アジアやインドに振り替えた。

また、中国の大手不動産開発企業が次々と債務不履行を起こした。それでも、政府は不良債権処理を先延ばしし、今度は金融機関の破綻が始まった。

2023年になり、ようやく習近平政権も中国経済が簡単には回復しないことを感じ、焦りが見えるようになった。しかし、あらゆる経済政策は機能していない。それは、表面的な対策に終始し、根本的な対策が打てないからだ。

4.自動調整がきかない中国経済

民主主義という政治体制、資本主義という経済体制は、問題を自動的に修正する合理的な制度だ。

民主主義は、選挙によって議員が選ばれる。一部の特権階級に富が集中するような政策は、国民に否定され、指導者は選挙で落選する。もし、中国に選挙があれば、習近平は指導者の立場を維持できないはずだ。

資本主義は、需給バランスにより価格が変動する。株式も債権も需要と供給で価格が変動する。もし、中国の不動産も需給バランスにより価格変動が起きれば、これほどの供給過剰は起きなかっただろう。中国政府は不動産価格が下がることを認めなかった。そして、不動産企業の倒産も認めなかった。そのため、不良債権処理もできず、赤字を垂れ流すゾンビ企業となっている。

民主主義、資本主義という自動システムと、国際法という常識によって、世界は秩序が保たれている。しかし、中国には民主主義もなく、資本主義も未熟だ。そして、国際法を平然と破っている。

中国には自動システムがなく、全て手動だ。中国の政治も経済も軍事も全て、習近平が一人でコントロールしなければならない。勿論、そんなことは不可能だ。

習近平が行った政策は全て失敗している。彼ができることは、対外的には恫喝、国内的には破壊だけだ。従って、中国経済が修復されることはないだろう。

編集後記「締めの都々逸」

「なりはでかいが つまずくだけで 自分の重さで骨を折る」

国際法を守らず、民主主義、資本主義も機能しない。あるのは、妄想だけという状態では、良くなるわけもありません。

少なくとも指導者が変わり、民主化を進め、国際法を守り、現状変更はしないと世界に誓うことがスタートでしょうね。

でも、そんなことしたら、現在の既得権は全て消えます。命懸けで反対するでしょう。このまま放置しても、最終的には富が消えますけど。

いずれにしても、経済破綻は起きます。どの程度まで進めば、再度革命が起きるのでしょうか。見守りたいと思います。

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No.58 ★ 中国の国策送電会社「送電網強化」に10兆円超投資 僻地の大規模風力・太陽光発電所の急増に対応

2024年02月02日 | 日記

東洋経済オンライン (財新 Biz & Tech)

2024年2月1日

国家電網は「2060年までにカーボンニュートラル」の国家目標達成を目指し、基幹送電網の強化を急ぐ。写真は江蘇省で建設中の超高圧送電線(同社ウェブサイトより)

中国の国策送電会社の国家電網(ステートグリッド)は1月13日、2024年の設備投資計画を明らかにした。特別高圧および超特別高圧の基幹送電線を中心に、送電網の建設を加速。年間の総投資額は5000億元(約10兆2098億円)超を見込んでいる。

国家電網の設備投資計画は2022年に初めて5000億元を超え、2023年には5200億元(約10兆6182億円)を突破。3年連続で5000億元を上回る過去最大級の投資を継続する方針だ。

特別高圧送電網の建設加速

同社が2023年末までに建設した特別高圧の基幹送電線は、交流方式が19本、直流方式が16本の合計35本。2023年だけでも、河南省駐馬店市と湖北省武漢市を結ぶ供給電圧1000kV(キロボルト)の交流送電線を含む6本の特別高圧送電線が稼働した。

2024年も、武漢市と江西省南昌市を結ぶ供給電圧1000kVの交流送電線を含む6本の特別高圧送電線の年内完成を目指すほか、中国各地で特別高圧送電網の建設プロジェクトの推進を図る。

国家電網が大規模投資を続ける背景には、「二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラル実現を目指す」という(習近平国家主席が2020年9月に打ち出した)国家目標がある。

その達成に向けて、中国各地で太陽光発電所と風力発電所の建設プロジェクトが急増。2023年末時点の発電設備容量は、太陽光と風力の合計で早くも1000GW(ギガワット)を突破した。

中国では電力消費地から遠く離れた僻地に大規模な風力発電所や太陽光発電所が建設されている。写真は寧夏回族自治区の風力発電所(寧夏電力のウェブサイトより)

なかでも、中国西北部や内モンゴル自治区のゴビ砂漠などの僻地で大規模な風力発電所・太陽光発電所が続々と建設され、2023年末時点の発電設備容量は合計210GWに上る。そこで発電された電力を(遠く離れた)消費地に送るニーズに応えることが、国家電網にとって喫緊の課題になっているのだ。

事業採算性に疑問の声も

国聯証券の調査レポートによれば、現時点で建設中または計画中の特別高圧送電線の整備に要する投資額は、2024年は1152億元(約2兆3523億円)、2025年は1251億元(約2兆5545億円)、2026年は1381億元(約2兆8200億円)と、年々増加する見通しだ。

そんななか、電力業界の一部からは事業の採算性を懸念する声も上がり始めている。

「僻地の大規模な風力発電所や太陽光発電所で作られた電力を、どこに送り届け、誰が買い取るというのか」

ある国有発電大手の幹部は、財新記者の取材に対してそう疑問を呈し、計画実現には発電側と受電側の事業者間で「電力価格や送電量についての厳しい交渉が必要になる」という見方を示した。

(財新記者:趙煊)
※原文の配信は1月16日

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No.57 ★ 中国 クラフトビール市場、26年に3兆円超えへ

2024年02月02日 | 日記

NNA ASIA

2024年2月2日

市場調査を手がける観研天下は1日、中国のクラフトビール市場が2026年に1,600億元(約3兆3,000億円)規模になるとの予測を示した。前年から23%(300億元)拡大する計算。普及率が低い状態にあることを踏まえ、今後の成長が期待できると指摘した。

中国のクラフトビール市場は2008年に立ち上がり、14年から資本投下が相次いだことで高速成長期に突入した。クラフトビールの消費量は19年以降、おおむね年1~2割のペースで拡大し、23年の消費量は前年比18.2%増の169万キロリットル。18年の81万キロリットルからは2倍以上に増えた。

今後も伸びを続け、24年は197万キロリットル、25年は229万キロリットルにそれぞれ拡大するとみている。

観研天下は中国のクラフトビールの普及率が低いことに注目。中国のビール市場にクラフトビールが占める割合は16年に0.8%で、21年に2.8%まで上がったが、米国の13.1%に比べまだ低い状態で、「中国のクラフトビール市場は今後も大きく成長する余地がある」と指摘した。政府による支援策が相次いでいることも追い風要因に挙げた。

22~23年のクラフトビールの生産拡大向け投資事業は14件の75億元以上。中西部や3~4級都市と呼ばれる地方都市での事業が増えたことが特徴で、消費も地方都市に広がる流れにありそうだ。

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No.56 ★ 中国恒大の再編・売却が市場の重荷、信認回復へ長い道のり

2024年02月02日 | 日記

ロイター (Laura Matthews, Tom Westbrook)

2024年2月1日

 香港の高等法院(高裁)が29日、経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団に清算命令を出し、債権者の長期にわたる手続きが始まった。写真は中国恒大が手掛けた北京の集合住宅。2023年9月撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)

[ニューヨーク/シンガポール 30日 ロイター] - 香港の高等法院(高裁)が29日、経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団(3333.HK), opens new tabに清算命令を出し、債権者の長期にわたる手続きが始まった。

手続きでは中国不動産不況の深刻さが浮き彫りになるとみられ、不動産デベロッパーは、投資家から敬遠され、世界の債券市場から締め出される可能性が高い。

中国恒大の資産は2400億ドル、負債は不動産会社として世界最大の3000億ドル近く。海外の債券保有者が最大の損失を被り、未完成物件の所有者の救済が優先されるとみられる。

再編や資産売却の手続きは、債券・不動産市場や投資家の信認にも大きな意味合いを持つ。中国恒大の社債の取引価格は額面の2%未満。同社の株価は29日に最安値を付けた後、売買停止となった。

値上がりしていた不動産開発株も30日には反落。売上高ベースで国内2位の不動産デベロッパー、万科企業の人民元建て債券も小幅に下落した。

レイリアント・クオンタメンタル・チャイナETFの共同ポートフォリオマネジャー、フィル・ウール氏は「投資家は現時点で、どの銘柄が比較的ダメージが少なく、どの債券の回収率が高いかを推測しているとみられる」と指摘。

「これほど重大なニュースに市場が大きく反応しないのは、いかに悪材料が織り込まれているかを物語っている」とし、中国当局が香港の裁判所命令を承認し、執行を支援すればポジティブ・サプライズになるが、今後の見通しは不透明だと述べた。

投資家の信認の低さは発行市場にも表れている。ディールロジックのデータによると、中国の米ドル建て発行総額はコロナ禍前の2000億ドル超から、昨年は425億ドルまで落ち込んだ。

中国恒大の債務問題が解決すれば、市場の支援要因になるとみられるが、手続きには長い時間がかかる見通しだ。

ノース・オブ・サウス・キャピタル新興市場ファンドのパートナー兼ポートフォリオマネジャー、カミル・ディミッチ氏は「債権者にとって公平かつ公正な方法で手続きが進めば、中国企業が市場アクセスを回復する助けになるはずだ」と指摘。「さらに広く見れば、未完成物件が建設能力のあるデベロッパーに売却・譲渡され、顧客への引き渡しが実現すれば、いずれ住宅購入者の信頼が回復するのではないか」と述べた。

Evergrande’s money woes

<信頼感の危機>

香港株式市場の本土系不動産デベロッパー株指数(.HSMPI), opens new tabは先週、最安値に急落。アナリストは資産売却や再編の手続きが引き続き重しになると予想している。

UBSの中国・香港不動産リサーチ責任者、ジョン・ラム氏は「中国恒大の清算命令で、他の不動産デベロッパーのドル建て債再編交渉が加速する可能性がある」と指摘。「これまでに発表されたドル建て債の再編策には債務の株式化が盛り込まれており、これは株式の大幅な希薄化を意味する。債務不履行に陥った不動産デベロッパーの株価にはマイナスだ」と述べた。

不動産デベロッパーのドル建て債は取引価格が低迷。債務再編策が昨年10月に承認された融創中国(1918.HK), opens new tabの2027年満期債は額面の11%、海外資産の売却手続きを進めている碧桂園(カントリー・ガーデン)(2007.HK), opens new tabの債務不履行債は額面の8.5%前後で取引されている。

確かに、海外市場では信用収縮が世界中に波及するといった懸念は後退している。調査会社チャイナ・ベージュブックのリーランド・ミラー最高経営責任者(CEO)は、負債は多様な形で中国の金融システム内で分散しており、リーマンショックのような事態にはならないとの見方を示した。

ただ、中国恒大の解体が慎重に進められたとしても、すでに多額の損失が発生していることは事実で、大半の投資家は問題が適切に是正されるまで、不動産セクターや中国市場自体に手を出したくないと考えるとみられる。

VPバンクのトーマス・ルプフ最高投資責任者(CIO、アジア担当)は「未販売住宅がどうなるか分からない限り、消費者の信頼感は回復しない。これが依然として大きな問題だ」とし「購入した住宅が完成しなければ、回復に向けて動き出せない。あらゆる消費者が抱える不透明感がここにある」と述べた。

中国の不動産販売、投資、不動産開発業者による資金調達は2023年にさらに減少し、ここ10年以上で2022年に次いで2番目に大きな落ち込みとなった。

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No.55 ★ 中国 17地域GDPが全国平均超え 23年、目標未達成が過半

2024年02月02日 | 日記

NNA ASIA

2024年2月1日

中国31省・自治区・直轄市(地域)の2023年の実質域内総生産(GDP、速報値)が1月31日までに出そろい、17地域の成長率が全国平均(前年比5.2%)を上回った。23年1~9月期から横ばい。ただ景気回復が遅れる中、各地の成長率目標に届かなった地域は過半となった。今年の成長率目標も前年から抑える地域が目立った。

23年のGDP成長率はチベット自治区と海南省が群を抜いて高く、チベット自治区は9.5%と地域別最大だった。新型コロナウイルス対策の終了に伴う旅行者の増加やインフラ投資の再開、前年同期の数値の低さなど好材料が重なった。チベット自治区の小売売上高は前年から21.1%増加し、固定資産投資は35.1%増加した。同自治区を訪れた旅行者数は84%伸び、観光収入も6割増えた。

海南省は9.2%成長した。同省を訪れる旅行者の回復と海南自由貿易港に絡む投資などが引き続き追い風要因だった。内モンゴル自治区も7.3%成長となり、石炭をはじめとするエネルギー分野の投資・生産拡大が経済を押し上げた。

成長率が全国平均を超えた他の地域は◇新疆ウイグル自治区(6.8%)◇寧夏回族自治区(6.6%)◇甘粛省(6.4%)◇吉林省(6.3%)◇重慶市(6.1%)◇浙江省(6.0%)――など。6%台の成長を達成したのは計9地域だった。

一方、成長率が全国平均を下回ったのは13地域。23年1~9月期から横ばいだった。中でも黒竜江省(2.6%)の成長率が他地域よりもひときわ低かった。第2次産業のマイナスへの落ち込みが響いた。黒竜江省に次ぐ低成長は河南省や江西省、広西チワン族自治区の4.1%。

23年通年の成長率が23年1~9月期に比べて拡大したのは16地域で、1~9月期(1~6月期比11地域)から増えた。1~9月期からの成長率の拡大幅が最も大きかったのは陝西省の1.9ポイント。最も成長率が鈍化したのは上海市の1.0ポイントだった。

各地が設定した23年の成長率目標を達成したのは15地域。1~9月期の13地域から増加した。

中国の23年の実質GDP(速報値)は前年比5.2%成長の126兆582億元(約2,600兆円)だった。成長率は22年から2.2ポイント拡大し、政府が設定した経済成長率目標(5.0%前後)を達成した。23年第4四半期(10~12月)の成長率は前年同期比5.2%で、前四半期から0.3ポイント拡大した。

■広東が大台突破

23年の地域別GDPは、広東省がトップの13兆5,673億1,600万元。GDPは35年連続で全国1位となり、国内で初めて13兆元の大台を超えた。2位の江蘇省のGDPは12兆8,222億2,000万元。広東省と江蘇省の差は約7,451億元で、23年1~9月期の約2,982億元差から大きく広がった。

3位以下は山東省の9兆2,069億元、浙江省の8兆2,553億元、四川省の6兆132億9,000万元、河南省の5兆9,132億3,900万元の順。広東省から河南省までの上位6地域を合わせたGDPは全国の44%を占めた。5兆元台と4兆元台はともに4地域、3兆元台は5地域、2兆元台と1兆元台はともに4地域だった。新疆は31日までに金額ベースのGDPを発表していない。

山東省は初めて通年9兆元を突破。浙江省は8兆元、四川省は6兆元、湖南省は5兆元、遼寧省と重慶市、雲南省は3兆元の大台をそれぞれ超えた。

23年1~9月期と比べ、四川省と河南省の順位が入れ替わり、上海市は安徽省を抜いた。遼寧省は順位を三つ上げた。

都市ベースでは上海市(4兆7,218億6,600万元)、北京市(4兆3,760億7,000万元)、広東省深セン市(3兆4,606億4,000万元)が上位。広東省広州市(3兆355億7,300万元)は重慶市(3兆145億7,900万元)を上回った。

■上海と北京の所得が8万元超え

31地域の23年の平均可処分所得を見ると、首位の上海市は8万4,834元で、2位の北京市は8万1,752元だった。上海と北京は全国平均(3万9,218元)の2倍以上となった。

3位以下は浙江省(6万3,830元)、江蘇省(5万2,674元)、天津市(5万1,271元)の順で並んだ。広東省(4万9,327元)、福建省(4万5,426元)、山東省(3万9,890元)も全国平均を上回った。3万元台は14地域。

最低は甘粛省の2万5,011元で、首位とは3.4倍の開きがあった。

23年の全国1人当たりの平均可処分所得は前年比6.3%増だった。物価変動の影響を除いた実質ベースの伸び幅は6.1%で、23年1~9月(5.9%)から拡大した。

■今年目標は5%台が過半

31地域の政府トップは31日までに政府活動報告(施政方針演説に相当)を行い、24年のGDP成長率目標を発表した。このうち18地域は5%台に設定。10地域は6%台だった。成長率目標の最高は海南とチベットの「8%前後」、最低は天津の「4.5%前後」。

18地域は目標値を前年から引き下げた。

今年の政府活動報告では、消費拡大に注力する方針が目立った。証券日報によると、消費拡大の分野は「新エネルギー車(NEV)」や電子製品、家電が多かった。

一方、一般公共予算財政収入の今年目標を発表した30地域のうち、伸び幅を前年よりも低い水準に設定したのは28地域。経済の見通し不透明感に加え、企業を支援する減税・費用負担軽減策の継続拡大が伸びに影響すると考えられる。

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