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米国に逆らい結果を出したマクドナルド藤田田 儲けの原点「ユダヤ商法」と「超合理主義」

2011年01月27日 | 気になるニュース
米国に逆らい結果を出したマクドナルド藤田田 儲けの原点「ユダヤ商法」と「超合理主義」
MONEYzine 1月3日(月)16時0分配信


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■最初の1ヵ月で売上げの世界記録を更新した第1号店

 1971年、マクドナルドの第1号店が東京の銀座三越1階にオープンした。
2年越しで、米国本社のレイ・ブロックを説得して、日本における初進出の店舗である。本国の米国では、郊外のファミリーレストランとして成功してきたので、繁華街やダウンタウンでの出店は予想外で、またそれほど期待されていなかった。

 しかし開けてビックリとはこのことで、売上げの世界記録をつくってしまう。「郊外なんかダメ、やるなら日本一、人通りのよい日本の中心部がよい」といって、東京銀座に開店。日本法人の意向を貫き通した、社長藤田田の勝利だった。

 銀座三越店の1号店の開店には、3000万円の費用がかかったが、最初の月間売上げで4000万円を記録して、1ヵ月で開店費用を回収してしまうという快挙がおこった。

 その体験を元に1972年、藤田田の記した『ユダヤの商法―世界経済を動かす』は、出版されるやいなや、瞬く間に売れ行きベストテンに入り、販売部数104万部でミリオンセラーになった。しかし、その後、この本は市場から姿を消す。

 通常なら、ミリオンセラーは古本屋でいくらでも安価に手に入るのだが、現在の値段は、最低7000円前後で、高騰しており、ほとんど市場に出回っていない。

 なぜなら、この本には、元祖富裕層になった起業家の教えとして、商売と金儲けのコツがふんだんに書かれており、購入した人が大切に保管しているからだと、著者の藤田田氏本人が語っていた。

 確かに、藤田田は、日本で外食産業を根づかせた父として語り継がれており、そのカリスマ性は半端ではない。

 東大在学中に藤田商店を起こし、銀座にマクドナルドの1号店を出店。あっという間にハンバーガーブームを巻き起こし、億万長者になったビジネス巨人から、読者へのメッセージとして、今なお読み継がれているのである。ここでは、その本のエキスを抽出して紹介していきたい。

■あとがきに「お金の欲しい人が読んでください」

 まず、彼の成功の秘訣を探ってみよう。

 日本という「米」と「醤油」の国で、米国の象徴である「パン」と「ケチャップ」を売り込み、ファーストフードの先駆けとなった、大風呂敷商法の極意、そして大成功の源となった、世界中で異端視される「ユダヤの商法」とは、いったいどんなものなのだろうか? 

 藤田田は『ユダヤの商法』のあとがきで、「お金の欲しい人が読んでください」として、こう記している。

「どうすれば儲かるか――ということを公開するのは、はなはだ不本意だが、世の中を見渡すとどうも不景気色が強い。これまで他人に金儲けのコツを伝授するための苦労してきたわけではないが、国の将来のためにわたし一人が儲けるよりは、国民全体に儲けもらった方がプラスになりそうなので、あえて金儲けのコツの公開に踏み切った」

 何と太っ腹な経営者であろう。自分が億万長者になったヒケツをすべて公開しようというのである。これこそ究極の「ウィンウィン関係」(お互いにメリットのある関係)ではなかろうか。

 藤田式「ユダヤの商法」の基本は、「現金主義」である。ユダヤ人の教えでは、天変地異や人災から自分の命や生活を守るのは、現金以外には考えられないというものである。

 人間も社会も毎日、毎日変化する中で、銀行預金ですら、いつ破綻してゼロになるかわからないし、クレジットカードなど信販会社の信用がなくなれば、まったく価値のないものになってしまう。さらに、戦争が起これば、現金以外は通用しなくなる可能性も高いのだ。したがって、すべての評価は「いま現金をいくら持っているか」という概念に基づいて行われるわけだ。

■どんなビジネスも商売相手は「女」と「口」

 第二に、ユダヤの商法には、「商売の対象」は2つしか存在しない。それは「女」と「口」である。「女」とは、男が稼いだお金を女が使って生活を立てるわけだから、商売は女を狙うことが大事だという意味。古今東西、儲けるには「女」が欲する商売を行うことである。

「口」とは、レストランや居酒屋、バーなどの飲食店を始め、食品関連業などが対象で、口に入ったものは、身体の中で消化されて、次の商品が必要になるからだ。つまり永遠にリピートされる商品であるわけだ。したがって、ひとつ当たればロングセラーになり、大きな儲けが期待できる。

 第三に、「国際感覚」が必要であり、そのための必須条件は英語が話せること。グローバルビジネスで、通訳をはさんでいては、意思の疎通ももどかしく、即断即決の妨げになる。また、いろいろな国の人間と商売をすれば、それだけ広い視野から考えられるし、違った角度から物事が見られることにつながる。

 藤田田も学生時代に、GHQでアルバイトをして英語力を磨き、国際感覚を養っており、後に「銀座のユダヤ人」といわれるようになる。GHQ時代には英語力だけでなく、ユダヤの商法の原点になることも体験した。

 GHQに従事する軍人たちの中にはユダヤ人も多く、かれらは同僚に金を貸すサイドビジネスで儲けていた。相手が同僚でも一切手加減せずに、厳しくお金を取り立てていく姿は、藤田に衝撃を与える。お金=キャッシュの大切さや重要さを、ここで身につけることになる。

 ユダヤ人は、紀元前から自国を追われて難民となり、差別から土地の所有権や職人への弟子入りも許されなかったので、キリスト教ではご法度の金融業などを行い、大きな利益を稼いでいったのである。当然、お金のためには危ない橋も渡らなければならないわけで、これが「黒い錬金術師」の誕生であるといわれている。

■ビジネスは「もっとよこせ! 」が儲けの原点

もうひとつ藤田田のユダヤの商法で特長的なのは、「超合理主義」というヤツである。

 それをひとことで言いあらわすと「勝てば官軍」という言葉になる。そこで、彼は語る。

「勝負は勝たなければダメだし、商売は他人が腰を抜かすほど儲けて見せなければダメだ」
ビジネスの世界では、「敗者の美学」など存在せず、負ければ即倒産である。負けてから、いくら立派な理由をつけようとも何の意味もない。ビジネスは食うか食われるかの世界なのである。

 こうした徹底した精神こそ、日本では絶対に不可能といわれたハンバーガービジネスを大成功に導いた源なのである。

 藤田は「人間の本性は「悪」だ」といい、次のように語っている。
「日本人は基本的に性悪説ではなく性善説をとっている。それは、講談や浪花節でもわかるように、とにかく長い間、勧善懲悪というモラルに親しんできたからだ。(中略)

 しかし、ビジネスの世界ではそうはいかない。ここでは、相手も絶対に儲けようと思っているのだし、自分もそう思っている。自分が儲けるためには、相手をどん底に陥れる。そうしなければ自分がやられる。お互いに食うか食われるかの修羅場で戦っているのだ。」

 つまり、ビジネスは修羅場であり、そんな修羅場に性善説でのぞめば、あっという間に足をすくわれ、骨の髄までしゃぶりとられてしまうことは目に見えているのだ。

 日本人はよく「商売はギブ・アンド・テイクでいきましょう」というが、これはキリストが人を導くためにいった宗教上の言葉であり、ビジネスに応用するほうがおかしいのである。
その証拠に、ユダヤ人は

「テイク・アンド・アスク・フォー・モア」つまり「(取った上で)さらによこせ! 」
という。「ギブ」はなしで、取ってとって取りまくるという意味である。これなら、儲かること間違いなしである。

 実際「ギブ・アンド・テイク」では、最初に与えるわけだから、よくてイーブン、下手をすれば大損をしかねないのである。

■ソフトバンクの孫正義もユニクロの柳井正も師と仰ぐ

 お金に関連してもうひとつ付け加えると、お金に「きれい」とか「汚い」とかという表現は意味がないということだ。日本人はよく「きれいなお金」「汚いお金」という言葉を使いたがる。そのお金の出所、つまりどうやってその金を稼いだかを問題にする。

 しかし世界では、そんな考え方は通用しない。どんなお金でも価値は変わらないというわけだ。お金には倫理的な判断は必要ないとされている。

 米国には「ループホール」という言葉がある。「抜け穴」とか「例外」という意味だが、そこを狙えば儲かるということで、ループホール専門の弁護士がいて、「この法律にはこういうループホールがあるのでやりませんか」という儲け話を持ってくる。

 日本でいうと、そんな輩は「悪徳弁護士」になるのだろうが、こんなことは世界中で、日常茶飯事のように行われているのだ。

 藤田田はこういった考えから、企業と政治家の癒着という批判が起こりそうな政治献金も正々堂々と行い、政界からもいろいろな情報を得て、ビジネスに生かしていた。

 そんな藤田田を尊敬して、ソフトバンクの総帥・孫正義、そしてユニクロの創業者・柳井正も、彼の著作を読破し信奉して、その経営理念を受け継いでここまできたといっている。

 特に、孫氏は高校時代、藤田に直接面会して、「これからはコンピュータビジネスの時代」という薫陶を受け、起業し大成功につなげているのだ。

■競争相手を知りたければゴミ箱の中を調べればよい

 藤田田のビジネスのルーツは、米国マクドナルドの創業者レイ・クロックのとの出会いに始まる。初めてクロックに会ったとき、彼は自分の手を広げて見せてくれた。薬指の第一関節から先がなく、若い頃、工場でケガをして切断したという。

 そして彼は、藤田に手を見せろといい、「きみは指が全部揃っているから、大きくなるまで20年かかったわたしより、もっと早く日本マクドナルドを大きくできる」といった。

 クロックがマクドナルドの事業を立ち上げたのは52歳で、人生の黄昏時である。それから、30年間、粉骨砕身努力して、世界一のファーストフード企業に育て上げた。そのビジネスに対する情熱を述べた言葉に「成功はゴミ箱の中に」というものがある。
これは、クロックが競争相手に述べた言葉で、

「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればよい。知りたいものは全部転がっている」
と語ったものである。続けて、

「わたしが深夜2時に競争相手のゴミ箱をあさって、前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したかを調べたことは一度や二度ではない」

とも語っている。そんな情熱家に気に入られて、日本でマクドナルドを創業した藤田田は、クロックが予想した以上に、瞬く間に年商3000億円の巨大産業に育て上げ、自らも『フォーブズ』誌に世界の長者として紹介されることになる。まさに、「ジャパニーズ・ドリーム」ナンバーワンの巨人といえるだろう。

参考資料:『ユダヤの商法』、『勝てば官軍』『頭の悪い奴は損をする』(以上、KKベストセラーズ)、『藤田田―金儲けのプロの教え』(アスペクト)など
(ビリオネア・リサーチ・グループ)


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