うつそみを海へひらくと激(たぎ)つまま君は脱ぎ置く我を抱きしめよ
源氏物語の色彩 一
いつくしむ小箱の世界温めて鳥と梢のごと守るよしよし
秋富士を透かしつ通ふ海光よ花ひと我もこの風のなか
睫毛あはせ渚に貝殻ひろふとはいささはるかに我が心ある
ページ伏せゆるく微笑むガラスには何映すとも心それたり
朝のゆめ花押すほどになつかしく昨日この日を彩りてゆく
月のかほ触れむ静かにひとのことなべて脱ぎ置く中秋なれば
追想をいたはるひとと分かち合ふ影と光そのままこれから
海の音耳に触れ来る我が阜に秋桜の群と帰る誰かは
手のうちにぬくもり含め鍵をかける日記は花を捺すばかり
海のすがたなぞりて泳ぐつま先に金の棘あるイルカ来む世は
海に向かふガラス開けば目路の限り夕映え満ちて鶏肉を買ふ
美雪乃 鳥たちや潮騒、風さやぎ、や樹木草花から聴いた声を言葉にしてうたいます。
フォロー中フォローするフォローする