年末になると、
各地で 「ベートーベン第九」 が演奏されるのが恒例である。
私も毎年この演奏会に行っているが、何度聴いても感動する。
今年一年のことをふり返り、
新しい年はもっと良い年に・・・と考えるよい機会になっているかもしれない。
第四楽章のテノールのソロがはじまると、
とても厳粛な気持ちになり感動でいっぱいになる。
そして、いつもベートーベンのエピソードを思い出す。
耳が不自由であったにもかかわらず作り上げた「交響曲第九番」、
いわゆる第九の真実かどうかわからないエピソードを・・・。
ベートーベンは、晩年の、この作曲の発表会のとき、
病におかされた耳を必死で傾けていた。
オーケストラの演奏が終わると同時に、
会場は聴衆の感激と興奮で拍手はわれるようだった。
でも耳の不自由なベートーベンは、
舞台の隅のうしろで音楽に心をうばわれ、
そのすさまじい拍手にも気づかなかった。
彼は、至福の時間の中にいたのだろうか・・・
それは内面からの充足感であり・・・
人間性を生き生きさせるものであり・・・
強い自由の意識だと思える・・・
美しいものに見惚れ、
心をうばわれて我を忘れてしまう
恍惚の境地に似たものかもしれない・・・