毎週の出来事をお伝えします
電話室便り
ある葉書
先週、積んであった古雑誌の山を別の場所に移したときに、ひょいと出てきた
一葉のはがきでした。
あて名は、私の亡き母。
差し出し人は、母が独身時代、弁護士事務所で一緒に働いていた奥口さん。
わたしと同い年のまゆみちゃんという女の子がいて、当時、母と奥口のおばさんは、
それぞれ家庭に入ってからも途切れずに行き来があったのでした。
拝啓 冬木立ちの姿も肌寒く感じられるこの頃でございます。
御一統様御変りなく御すごしのこと大慶に存じます。
さて去る月表記の地へ引越して参りました。
大麻駅より徒歩10分の地で思ったより閑静なのと空気がきれい
なのが取り得と考えております。
お暇をみて是非一度御来遊下さいます様に家族一同御待ち申し上げ
ております。
まずは取敢ず右御知らせまで。
敬具
昭和四十三年十二月
パソコンの形式に合わせざるを得ず、横書きで打ち込みましたが、送りがなや漢字の
使い方もちょっと?なところもあることに気付きましたが、でもね。
挨拶文の、そこはかとない時代感にこころ打たれてしまったのです。
( もっともっと昔だと、宮澤賢治の童話 『 どんぐりと山猫 』 などに出てくる招待状
などの文面を読んだ時のこころの打たれ方のライト版、というような・・・ )
母につれられて、奥口家の新居に遊びに行った時のこと、覚えています。
新しい住宅地、家もまだまばらにしか建っていなくて、おうちの前の道はアスファルト
で舗装されていて、新しい縁石のコーナーの丸みと、更地に生えていた雑草と、
ピッカピカの新しいおうちでご馳走になったクッキーと紅茶、まだ完成前の屋根裏に
のぼってまゆみちゃんと遊んだことと・・・・・
ああ、懐かしい。
昭和43年。54年も昔なのでした。
奥口のおばさんも、そして我が母も、お父さん方二人も、みんないなくなってしまった。
わたしも、今まゆみちゃんがどこでどのように暮らしているのか知りません。
遠い昔、でも確かにあった時間。
茶色に変色して、表書きの万年筆のインクの色も薄くなって、” 札幌中央 ” 局の郵便
スタンプがバンッと押された、一枚の郵便はがきからの、
ストリーム オブ コンシャスネス・・・・・。
明日金曜日は、パスキューアイランド・パン販売の日。
葉書はいいよね・・おふみさんともしみじみと話し合った火曜日です。
秋はちょっとあいた時間に、はがきに近況を書いて送りましょうか。
改めてはがきの良さを実感。
一通書いたらちょっと小腹も空くでしょう、パンとコーヒーも要りますね
( かなり強引 )、明日もこんがりと焼けた丸いパンを山盛りにして
みなさまのご来店をお待ちしております!!
グラハム粉の丸いプチパン
1個 150yen