いたずらロラン / ROLAND


” なんだかずいぶんと忙しい一週間 ” ってありますよね。

先週、先々週がそんな感じでした。

朝は5時台には起きるのですが、起きた瞬間から夜眠るまで

予定していたこと、予定外の突発事項、毎日の定番作業を次々にやっていき

気付いたら夜、という日々。

晩ご飯の後片付けをしながら、

「 あー、今日も終わりが近いぞー!! ( ガンバレ自分、的に ) 」 と叫んでいました。

ひとつひとつの作業はどれもみんな好きなことなんですよ。

例えば、料理。

例えば、掃除。

例えば、後片付け。

例えば、日用雑貨や食料、仕事の備品類消耗品類を買うこと、注文すること。

例えば、梱包・発送作業。

例えば、ミシン踏み、商品製作、商品レイアウト。

例えば、いろんな応対。

例えば、例えば、例えば、、、、e.t.c.

ああ、毎日は切りがないくらい楽しいことで充ち満ちております。

ところが、あまりにもいろんな組み合わせで、この ” 楽しいこと ” が重なってくると、

楽しみ事 転じて こなし事、になってしまうものです。

「 あれもやらなきゃ、こっちも早く済ませなきゃ、ぎゃあ! 」

少しでも効率よく進めるために、頭の中はフル稼働です。

段取りの工夫力には、激しく個人の高低差がありますので ( 涙 )、自分の限界近くでの

奮闘が続くと、まず頭がそして気持ちが凝ってまいります。

息子や夫が話しかけてきても上の空になってくると、それはお疲れ信号なんですねえ。

本来の自分に立ち戻らなくてはいけません。

本来の自分を取り戻すのに必要なこと、私の場合は 「 孤独 」 「 静寂 」 「 美 」

のいずれかに接すること。

静かなところに一人っきりでいること。

そして、「 美 」 に触れて味わって幸せな気持ちになること ( 美容系ではありましぇん )。

孤独と静寂なんて今はムリってな場合は、

「 美 」 は様々な形態をとって在り、また創造されているから、結構接しやすいので、

何でもよいから「 美 、プリーズ!! 」 なのです。

先日の特効薬の美は、絵本という形で表現された美。

1957年の世に出た 『 いたずらロラン 』 です。

作者のネリー・ステファヌは1921年 フランス・アルザス地方に生まれ、

画家のアンドレ・フランソワは、1915年 ルーマニアのティミショアラ生まれだそうです。

「 じゃらんぽん! 」 と唱えると、描いた絵や友達のコートの毛皮なんかが本物の動物に

なってロランといっしょに騒動を巻き起こす、というナンセンスストーリーなのですが、

フランソワの自由闊達な独自な画風、粋な色使いはどうでしょう!!

子どもの想像力そのものの、小理屈なし理由なしの軽快愉快なストーリー展開に、

これ以上の挿絵は望めません。

そして、この一冊にヨーロッパの美が一杯なのです。



「 ちこくぼうずは たってなさい 」
せんせいに いわれて きょうしつのすみに いったけど
たってるだけじゃ つまらない。 そこで えんぴつとりだして
かべに ひょろながいトラを かきました。
「 じゃらんぽん! 」 と 唱えるとトラは ほんとのトラになり ・・・・・・



どうぶつに あんないされて ロランは えんとつを くぐりました。
ついたところは おもちゃをひとつも もっていない
かわいそうな おんなのこのうち。



ぜんそくりょくで かけだしました。
あわてて おりた さかみちに
だれが すてたか バナナのかわ。


ね、ね、ね、いいでしょう?

白と黒、オーク色、そして群青色。

この4色のみしか使っていないのに、いいえ、この4色だからこそ、

この上なくシックなこと、美しいこと!! 

そしてロランの自由さ活発さ楽しさに、一瞬にして元気づけられたわたしです。

古き良きヨーロッパの子ども達と世の中の匂いが伝わる素敵な一冊、

翻訳は、かのタンタンの冒険シリーズの川口恵子さんなのです。

お疲れ一週間のちょっとの隙間に、絵本。

大人だからこその、リポビタンD以上の効き目なのかもしれませぬ、ふふふ。






『 いたずらロラン 』
ネリー・ステファヌ 作
アンドレ・フランソワ 絵
川口恵子 訳
福音館書店 ISBN4-8349-1250-6 CB798









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