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アスピリンは出血の恐れにもかかわらず、心臓発作の癌患者の命を救う

2007-02-06 | 癌全般
MDアンダーソンがんセンター 2007/1/19   (抜粋)
癌患者が心臓発作を起こした場合、致命的な出血を起こしうると医療従事者の間で考えられているため、患者は、命を救うアスピリンを投与されないことが多い。しかしながら、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らによると、今ではその認識は誤っていることが立証され、また、アスピリンを投与しないとこうした患者の多くが死亡するだろうという。彼らの研究は2007年2月1日号のCancer誌に掲載予定で、この研究から、血小板減少症(血小板数が低下)をもち、アスピリンを投与されなかった10人の癌患者のうち9人が死亡した一方で、同じ病態を呈してアスピリンを投与された癌患者17人の内、死亡したのは1人だけだったことが判明した。また、アスピリンは、癌のない人に対して役立つのと同じように、血小板数が正常の癌患者にとっても、心臓発作のあとで命をとりとめるのに役立つことも明らかになった。
われわれは、腫瘍は血管新生を促す化学物質を分泌していて、その結果、血液は、血栓がますます形成されやすい状態になるのではないかと考えています。この分析からは、これらの患者の最も重要な生存予測因子は、ただひとつ、アスピリン投与の有無であることがわかりました
せっかくこの研究があるのに、癌の治療を生きぬいて、その直後に心臓発作で亡くなるなんて、あってはならないことです」と、Durand氏は言う。
癌患者の心臓発作を治療するためのガイドラインは今のところない。医師は、血栓症(血栓)がある癌患者にどんな治療を行うかについて特に混乱しているという。血栓症は化学療法や癌の存在が原因となることもあり、すべての癌患者のうちおよそ15%の人に発症する。
血小板減少症の患者で、心臓発作を起こし、アスピリンの投与を受けなかった人の7日間生存率が6%だったのに対し、アスピリンの投与を受けた患者の生存率は90%であった。Durand医師はアスピリンを投与された患者に重篤な出血の合併症はなかったことを指摘する。逆に、血小板減少症で血栓を形成しアスピリンに曝露しなかった患者は死亡した。(略)
心臓のアドレナリン使用を遮断するβ遮断薬を投与された患者も、いずれの群でも同じような結果が出た。保護効果はアスピリンでみとめられたほど強力ではなかったものの、それでもなお命を救う効果はあった。(略)
記事全文訳


2 コメント

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女性は65歳以上、男性は45歳以上 (yabuinu)
2007-02-23 10:34:44
心臓病を予防するための投与としては、女性は65歳以上、男性は45歳以上に推奨されているようですね。
http://www.usfl.com/Daily/News/07/02/0222_006.asp?id=52551
http://www.localnewswatch.com/jordanfalls/stories/index.php?action=fullnews&id=66765
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ありがとうございます! ()
2007-02-23 20:53:22
心臓協会の報告ですね。
癌とまた違った視点で、男女差が興味深いです。アスピリンはいろいろに用途がありますね。これからもいろいろ教えてください。

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