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硫黄島からの手紙

2006-12-11 23:34:40 | 映画など_いろいろ


硫黄島プロジェクト第2弾
公式サイト

この作品をアメリカ人が作り上げた事がなんだか残念で口惜しくさえ思われる程、硫黄島での日本軍の様子が丁寧に淡々と描かれていて、今まで観て来た戦争映画のどれとも違う、深い感動を覚えた

このプロジェクトの第1弾である「父親達の星条旗」では、主に「"硫黄島の戦い"の後」のアメリカ兵達が描かれていたのに対し、本作品で中心となっているのは、「硫黄島」という狭い空間の日本軍の様子である
その分それぞれの人物の感情や日本兵同士のやりとりが丁寧に描き出されていて、前作に比べて"ドラマ"的な要素が大きく、感情移入しやすかった

もちろん登場人物がと私自身と同じ日本人であることも前作との大きな違いの1つで、そのことが彼らに大いに感情移入してしまった理由の第1であることは言うまでも無いけれど

主な登場人物として描かれている栗林、西郷、清水、西、は、国のために闘いつつも、どこか他の"典型的日本軍人"とは違う感情を抱いている

"お国の為"とか"天皇陛下万歳"といった、恐らくアメリカ人には理解し難い理念を心の拠り所にしてがむしゃらに戦い抜く日本兵ではなく、人種や言語の違いを超えた「家族を思う気持ち」をキーとして、日本兵の"人間らしさ"を描いている部分や、捕虜となったアメリカ兵を日本軍が介護したり、アメリカ軍捕虜となった日本兵が簡単に射殺されたり、という部分はこれまでのWWⅡ映画(アメリカ万歳、それ以外の国の兵士はただの戦闘ロボット・・・というような描写)とは大きく異なる

だからこそ、冒頭に書いたようにこの作品を日本ではなくてアメリカ人スタッフが作り上げたことが口惜しくもあるのだけれど、ひょっとしたらアメリカで作られたからこそ可能だったのかもしれない
父親達の星条旗」でも思ったことだけれど、この2作品の中でのアメリカの描き方は自虐的ですらある
もし、同様のシーンを日本人が作っていたら、ただの
日本万歳、鬼畜米兵をやっつけろ
という作品になりかねない

鑑賞後しばらくたってからそんなことを色々考え、やはり、この作品は日本人の原作を日系アメリカ人が脚本にし、アメリカ人の監督が撮ったからこそ出来上がったのだろう、と強く感じた

先ほどから何度も書いているように、この作品は硫黄島プロジェクトの第2弾だ

その内容は大きく異なるけれど、ある意味、やはりこのプロジェクトは2作揃って完成している、と強く感じる

例えば、「父親達・・・」では、米軍が上陸してから、銃撃戦が始まるまでの日本軍の不気味な静けさや、5日で壊滅させられるはずだった日本軍の持久力が印象的に描かれていたが、「硫黄島からの・・・」では時間の流れがあまり感じられなかった
擂鉢山が陥落した時の星条旗も、「父親達・・・」を観ていなかったら気づかなかっただろうと思う
逆に、「父親達・・」で外から火炎放射器での攻撃を仕掛けた時の塹壕の中の様子、内蔵を撒き散らして死んでいた日本兵たちのそんな姿になるまでの状況は「硫黄島からの・・・」で、生々しく語られる

この作品をきっかけに、「硫黄島の戦い」について少しだけでも調べたり、日本とアメリカの両サイドに立って戦争を見つめることができたことも私にとっては大きな収穫だった

★おまけ
  二宮和也演ずる西郷は、「死にたくない」という独りの若者のごく当たり前の感情を隠そうとしない
  そういう意味では、一番現代の私達の感覚に近いのだけれど・・・・
  とは言っても、軍隊でのあの言葉遣いはかなり違和感を覚えた
  「うっせぇよ」なんて・・・イマドキの高校生かぁぁぁぁ
  それと、何度も出てきた"ライフル"
  これを日本語で何ていうのかはわからないけれど、
  多分"ライフル"という単語は使っていなかったんじゃないかなぁ、と気になって仕方なかった
 
★おまけ2
  渡辺謙も伊原剛志もすごくかっこよかった

(2006/12/9 劇場)302_138

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8 コメント

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「おまけ」同感です。 (やくざいし)
2006-12-15 14:26:54
二宮和也の話、私も気になって、「おまけ」欄に、にやりとしました。
クリントだから仕方ないかとも思ったけど、
その「今ふう」のおかげで、暗い日本映画にならなかったのかもしれませんね。
やくざいし様 (can)
2006-12-16 13:01:36
コメントありがとうございます
最近、戦争映画を観るたびに言葉遣いとかが気になってしまって・・・
確かに外国人監督にそれをCHECKするのはむずかしいですね~
でも、その分「軍人であっても、私たちと変わらない普通の人」という雰囲気はよくて出ていたような気がします
いつもどうもでーーーすっ (ひらりん)
2006-12-21 23:07:06
二宮和也は良かったけど、
パン屋の主人にはちょっと見えなかったですね。
でもしかし、下っ端の兵士役はあんなんだったろう・・・
という感じは、すごく良く伝わってきました。
ひらりんさま (can)
2006-12-23 14:48:26
実際にどうだったか、を知らないだけに、こういう映画で描かれるさまざまな当時の人々の様子はすごく興味深いです
二宮クンはなんだかすごく身近に感じられました
こんばんは (YOSHIYU機)
2007-02-26 22:03:36
コメント有難うございました。

二宮の台詞が現代的だったからこそ
とても気持ちが伝わったのだと思いました。
仮に、平安時代の映画を当時の言葉で作ると
現代人の我々には理解出来ません(?_?)
リアルよりも観る者に伝わる事が
一番大事な事だと思います。
YOHIYU機様 (can)
2007-03-12 02:07:48
コメントありがとうございました

ん~~
難しいですね
でも、私は平安時代の格好をした人がまったく現代人の私達と同じ言葉で話していたらやっぱり違和感があると思います

もちろん、理解できることが一番大切なのでしょうけど・・・
TBありがとうございました (kiosk)
2007-03-12 21:09:46
この映画を見たのが、もう大分昔に思えてしまいます。だから、ちょっと記憶もあいまいなのですが、見た当時に”渇いているなぁ”と感じたことを思い出します。感動なんてどこにもない。だからいいんだと思います。そして、この映画をアメリカ人に作られたことの重みを、私たちは忘れてはならないと思います。
kiosk様 (can)
2007-03-13 00:31:35
コメントありがとうございました

感動の押し付けがない分、色々なことを考えることができた作品だったと思います

アメリカ人だからできたんでしょうね
認めたくないけど、認めちゃいます

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