命のカウントダウン(健康余命3605日)

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先輩の死

2019-09-20 01:32:27 | 在宅医療
奈良市内で開業されていた医局の先輩が、亡くなっていた事を先日知った。
19日に開かれた、集団的個別指導の場で、別の先輩開業医が教えてくれた。
集団的個別指導とは、診療報酬の請求書であるレセプト点数の高い診療所8%を呼び出して「あんたら、来年は改心してレセプト点数下げないと、今度は個人個人を対象にした個別指導でミッチリねっちり絞り上げるでぇ!!」っという近畿厚生局主催のヤクザまがいの脅迫集会なのだ。わがクリニックは、未だに院内処方で、必要あれば往診にも行くし、ALSやガン末期患者さんの在宅看取りも年20件程度ではあるが、している。在宅療養支援診療所を届け出ている医療機関の半数は年間看取り数ゼロなのだそうだ。それが悪いとはいわないが、そんなところと在宅医療に力を入れているところをレセプト点数だけで比較するのはいかがなものかと思ってしまう。在宅医療に重きを置けば、レセプト一枚当たりの点数が上がってしまうのは理の当然。
月にいちどだけ風邪で来られた患者さんの請求書とALSで、人工呼吸器+酸素発生機+ポンプ付きの中心静脈栄養の患者さん。どちらも一枚のレセプトだけど、在宅医療を推進すると言っておいて、在宅関係の医療点数を上げておいて、レセプトの平均点が高い順に個別指導しますって・・・いくら考えても納得がいかない。世の中不条理だとは思いますけどね。

亡くなった某先輩は、ご自身の糖尿病を自虐ネタにして飄々と語られる、いかにもお坊ちゃん然とした風貌の方だった。
 私は、医師になるまで、ずいぶんと寄り道をしており、大学も2校目だったし、短いとはいえサラリーマン経験もあった。勤めていた会社が倒産し、フリーターの後1年間のチリ紙交換業を経て、医大に入学した。亡くなった先輩は8学年上でしたが、同い年でした。8学年先輩、当初は中堅指導医とポリクリ学生という貴族と奴隷の身分差で出会った私たちでした。しかし、先輩は大きな包容力で無能無知なポリクリ学生を受け止めてくれ、切れのいい嫌みの言葉をそこここにさしはさみながらも。呆れることなくまっとうな指導をして下さいました。ヒナには稀な、忍耐強い指導医でした。彼は、外様(東京の私学出身)でした。斜めからモノを見る切れの良いジャブを出しながらも、主流派に対する大きな批判はしない。そんな方でした。
 大学に残って出世、教授になることを目指すなんて全く考えておられなくて、そこで共感するものがありました。何かしら同類項の臭いを嗅いでいたのは私の独りよがりでもなかった気がします。
 M先輩。貴方の存在は、私に「お前も存在していいよ。」という勇気をくれていました。有難かったです。お礼を言うこともなく逝ってしまわれましたが、逝ってしまわれて初めて貴方の存在価値が分かったのかもしれません。ありがとうございました。


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