命のカウントダウン(健康余命3605日)

トレッキング、カメラ、陶芸、スキー、釣り、カヌー、遊びなら何でも大好き。仕事も好き、時間がない!

後日談

2021-06-26 22:02:58 | 知らんでもええこと
6月12日に「魔法使いになった話」という、肺癌末期の患者さんにモルヒネ+ステロイドの持続皮下注を行ったら、それまで苦痛に苦しんでおられた患者さんが一気に楽になって感謝されたと言う話をしました。

また、6月19日には「転んで肺がパンク」
という話をして、「肺が縮んでいるなぁ」と言っただけで入院させなかった整形外科医を責める様な事を言ってしまったのですが・・・・

その2つの話の後日談です。まず、肺がパンクしたほうの話です。整形外科の先生は、患者さんに「気胸だから、入院するか?」と、言われたのだそうです。しかし、その方に「入院しずらい事情」があるのをご存じでしたので、「自覚症状もないから、様子を見ようか」と、言われたのだそうです。その判断が正しいのかどうかは別にして、納得できました。翌日に当院に来院された時も呼吸困難感など自覚症状皆無でしたから、症状が出るまで様子を見ようかと言われたとしても・・・・無理ないかなぁと思いました。

 呼吸困難感というのは、あくまでも自覚症状なので、その方の病状と結構乖離することが多いです。物理的には全く問題が無くても呼吸困難感は強かったり、逆に酸素と二酸化炭素の圧力が逆転するような重症の病態でも、平気で歩いて来院される患者さんもおられます。だから、まぁ、自覚症状をあてにしないほうが良いのかもしれませんが・・・
 こちらの患者さんは、先日元気に退院され、笑顔で退院報告に立ち寄っていただきました。

 さて、魔法使いになった話の後日談です。肺癌末期で呼吸困難感著明、喀血、血痰著明、咳が止まらないと聞いたので、塩酸モルヒネ、ステロイドの持続皮下注入を施行、効を奏して、患者さんには大いに感謝されたのですが・・・・
何故、これまで、他の医師達はこれをしなかったのだろうと思いますよね!!それで、情報を集めました。1年以上、医療から離れておられたようです。そこを無理を言って、以前の情報をいただきました。そして、驚愕の事実が判明しました。

 なんと、患者さんは肺癌末期では無かったようです。
 何と何と、以前の病院での診断は、良性腫瘍。chronic expanding hematoma疑いだそうです。

 昔は、呼吸器内科医だったこともあったような私ですが・・・・そんなの知らないです。
http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/004040332j.pdf
呼吸困難、血痰を伴う事もあるようです。肺癌末期と症状では見分け付かないですね。

 それをわかっておられたので、良性腫瘍なので、麻薬の使用をされていなかったようです。良性腫瘍でも、呼吸困難が酷ければ、塩酸モルヒネの使用は間違ってはいませんけれど・・・

 私は良性腫瘍という事を考えず、肺癌だとばかり思いこんで使ったのですから・・・・責められても仕方がないです。

 医療の世界、難しいですねぇ。何が正解なのか・・・・