今日は第三火曜日。
2年前から、奇数週の火曜日は休診にしている。
木曜、日曜が休みで土曜が午前診だけ。
祝日が有ったりすると、休診の日のほうが多い我が医院です。
朝の6時過ぎにに在宅で最後の時を静かに過ごされていた肺癌患者さんが「今、息を引き取りました。」との電話をいただきました。
押っ取り刀で駆け付けましたが、ご家族は全く取り乱しておられませんでした。
「一昨日は、娘や孫にいろいろなことを一杯しゃべってくれました。昨日の夜も食事できたのですけどねぇ。今朝4時に起きたので、ジュースのまそうとしたのですが、今日はうまく飲めずに・・・・そのうちに返事をしなくなって・・・・」
奥様と娘さんに見守られて静かに逝かれた様です。
ちょうど一年前、皮膚が痒くてたまらないと訴えられて初めて来られた方でした。
認知症も進んでいましたが、もともと穏やかな方なのでしょう、おっとりとしたボケ方で、愛らしい82歳男性でした。
初診時に咳をされていたのが少し気になって「健康診断とか受けておられますか?」と、問うと、「そんなものは受けません」と、明快な答え。
それで、胸のレントゲン撮ってみませんか?少し気になるので
良いですよ。
それで、肺癌見つけました。
色々と治療をされて、2か月前に紹介した大学病院から紹介状を携えて在宅に戻ってこられました。
病院が嫌いな方で、入院は相当な苦痛だったようです。
半年ほど前からは入退院を繰り返されていたらしいです。
いよいよ、なす術がない状態になったとのことでした。
大学病院ではなす術がないと言っても、家に戻られたらするべき医療はいっぱいあります。
咳、息苦しさ、倦怠感、局所の疼痛。それらを逐一押さえたら、一時的ではありますが、本当に元気になられました。
一時は、私、癌が治ったのと違うのか?と、おっしゃられたほどです。
でも、原疾患が治癒するはずもなく、一時的には誤魔化せても、病状は着実に進行していきます。10日ほど前から食欲が低下し、脱水傾向が続いてました。
脱水は、点滴で補正は出来ますが、しませんでした。
死に至る前は、脱水傾向にあったほうが楽に死に至れます。
良かれと考えて、状況を改善することは、苦しみを長引かせるだけなのかもしれません。私は最近では、出来るだけ自然に任せたほうが良いのではないかと思うようになっています。痛みとか苦しみ、しんどさとかは、出来るだけ除去するようにしてはいますが。
今朝亡くなられた方も、オピオイド系の強い痛み止め、NSAIDSに加えてサインバルタという精神的な痛みに対する薬も出していました。それで、痛みはほぼ良好なコントロールを得ていました。
そして、10日ほど前から、「いつ逝かれてもおかしくない状態ですよ。」ということは何度も説明しておりましたので、冷静に対処していただけたのだと思います。
それにしても・・・・
6時に亡くなって、そのあとで患家にお伺いして、なんだかんだ8時までにすべてが終わったのですが・・・・
今日は、我が医院の忘年会でした。
それも、京都の料亭で、昼ご飯を食べる予定で・・・
亡くなるのが数時間後ろにずれていたら・・・・・
本当に予定の立てられない生活を続けているなぁと思います。
運がいいと思うべきなのか・・・・・
不思議な力が働いて、患者さんが私の駄目な時間を避けてくれていると思うべきなのか、どうなのかなぁと、どうにも不思議に感じている私でございます。