茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

長緒

2010年02月27日 | Weblog
「今日は長緒のお稽古」という時は、
通常より長~い紐の仕覆の扱いを練習します。
大海と呼ばれる氷嚢みたいな形の大振りの茶入れに
大きな仕覆を着せて、
その口を三重の蝶々結びで結わくのです。
そうすると、
合計6つの輪ができるわけですが、
当たりは1つ。
他を引くとこんがらかってしまうのです。

お稽古では、
右の一番上を引くと解けるように結び、
長い紐を美しくさばいて茶入れを取り出す
ということを練習します。

このややこしい結び方は、
結んだ人にしか解けないために工夫されました。
茶壺や茶入れに鍵をかけたわけです。
戦国の世、毒を混入させないための工夫でした。
お茶を一服する度に、
自分を殺そうとしている人の顔を思い浮かべ、
誰も触っていないかと紐を解いていた人がいたのですね。

今、短緒とか常緒と呼んでいる紐結びへ改めたのは
利休さんです。
茶が毒殺の道具になるような時代に決別すべく(?)
茶入れの仕覆の紐を短くました。
簡単に結べる紐を扱う利休さんの
平和な時代への思いが
短い紐結びには込められているのです。

その後、
裏千家では一燈宗室の時代になって
長緒は復活することになります。
長緒が必要であった時代があったことを
1つの型を通じて伝えゆくことも必要と
考えられたそうです。

そして今私たちは、
長緒の紐結びは「かわいい~~」なんて騒いでいます。
様々な花結びは、「いや~ん、かわいい、かわいい~」と
人気です。
平和な時代になりましたね、利休さん。

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