茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

瑞穂の国

2009年08月03日 | Weblog
日本はその昔
「豊葦原の瑞穂の国(とよあしはらのみずほのくに)」といいました
葦の生い茂る水辺に
瑞々しく稔る穂がゆれる
そんな風景をイメージする国
清き水に恵まれた国なのです

渋谷だって原宿だって
清き水の湧く瑞穂の地
 
  春の小川は、さらさら行くよ
  岸のすみれや、れんげの花に
  すがたやさしく、色うつくしく
  咲けよ咲けよと、ささやきながら

  春の小川は、さらさら行くよ
  えびやめだかや、こぶなのむれに
  今日も一日、ひなたでおよぎ
  遊べ遊べと、ささやきながら

こののどかな風景
「春の小川」の歌のモデルは
渋谷を流れる河骨川なのだそうです

原宿駅に覆い被さる神宮の森は
その中に立てば
いつでも水の匂いがします
「清正井(きよまさのいど)」と呼ばれる
湧水池もあります
武人であり茶人の加藤清正が掘ったと言われています

水道のない時代ですから
井戸を掘るということは身近なことで
茶人でなくても人々は
水脈とか水の道を日常的に意識して
暮らしていたのでしょう

茶道では
水屋で釜に水を汲むときに
水濾しを使います
でも、省略が常
電気釜の時代になっても
炭点前をきちんとするように
水道のお水を使うにしても
水濾しをしっかり使って
足元の水脈に思いを馳せてみたいと思います

圓能齋宗匠曰く
「此所(水屋)ハ則茶室ノ道場ナリ」
水屋は一服の茶を点てるための
道具とそして心の準備をするところ
清めの水谷でもあるのでした

水の道の見えない日常ですが
せめてお茶をいただく度に
豊かな水の音に耳を澄ましてみたいです