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人生って。

2009-04-28 | 
先ほどまで晴れてたのに?
すっかり薄曇になってしまった。


今日は読書感想文を。

「血の味」沢木耕太郎著

ノンフィクション作家の初めての長編小説。
それも沢木さんの著書…ちょっと読むのを躊躇していたけれど思い切って読んでみる事にした。

帯を見ると「中学3年の冬、人を殺した」とある。

今では中学生が殺人を犯すというニュースも珍しくは無くなったが、ちょっと衝撃的…。

主人公が更生して人生を振り返ったときに、何を思うか。

少年の危うい青春時代…何を感じて考えていたのか?

少年でも少女であっても大人とのハザマで悩みも多く、考え方も危うくて仕方がない。
今となってはそう思うけれど、当時気がつくことは無いし、小さなことでも100倍もの凄い事件となって降りかかっているのが青春な気がする。

それを処理することも出来ないまま、爆発しそうになる心と体。

「人を殺す」

現実とすることは考えられないが、「殺す」という言葉を意外と軽々しく使えたような気がしてならない。
これは「自分を殺す」というのも当てはまる。
テレビゲームも流行してたし…言葉は使えば使うほど麻痺してしまう。

若い時の悩みって必要なのか?と疑問に思う事があるけれど、人生に悩みは付き物だし、現実的な大人の悩みよりよっぽど頭も心も使って一生懸命だったような気がする。

儚いけれど、濃密な時…。


少年には分からない両親の言う「あそこ」とは。

「…戻りましょう」
「あそこに戻りましょう。みんなが待っています」

そして母と妹だけが行ってしまった。


難しかったなぁ~この本。

最後に父が残した「黒い革の本」
そして最後まで戻る事の無かった「父がいた場所」とは?


勝手な想像だけど、この方はきっと牧師さんだったのかな~って思った。
なんで戻れないかは分からないけれど、毎日めくっては読んでいる「黒い革の本」は聖書にしか思えない。
そして自分は「死んだ…」と言い切り、静かに生きている(というか生かされている)
自分を殺す事は出来ないからなぁ~。


息子の人生と父親の人生…。

最後は重なって一つになり、人生はつづいていく。


皆さんはどんな感想を持たれるだろうか?



血の味 (新潮文庫)
沢木 耕太郎
新潮社

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