ある調理師専門学校生の1年

2004年4月~2005年3月。調理師専門学校での日々。

食が国を滅ぼす?

2004年11月30日 | 学生生活
食品学の授業で長寿について学習している。ご存知の通り、長寿の県と言えば沖縄県。それには様々な要因があろうが、独特の食文化に拠るところが大きいというのは専門家諸氏の一致した意見だ。

豚肉による動物性タンパク質のみならず、島豆腐に代表される大豆製品から摂取する植物性タンパク質。このバランスが素晴らしいという。加えて、ラフティーに代表される時間をかけてゆっくりと煮込む調理法。この調理法はまた、コラーゲンの摂取にも一役買っている。

しかし、長寿大国沖縄にも陰りが見え始めた。特に男性に関しては人口10万人あたりの100歳以上人口ランキングで全国20位台まで後退しているそうだ。その原因の一つとして、食生活の変化が挙げられている。

ここからは推測だが、核家族化が進み料理をわざわざ作るよりも買ったほうが楽…と伝統的な食文化から徐々に離れていった結果なのではないか。食が国を滅ぼす、ありえない話ではないだろう。対岸の火事と思わずに、既製品やファーストフードに依存しすぎていないか、一度自らの食生活を省みたいものだ。

2004年11月29日 | 学生生活


日本料理の実習は鍋。水炊き、寄せ鍋、土手鍋、すき焼きなどについてのレクチャーを受ける。レクチャーと言うと聞こえはいいが、ようは今流行の雑学と何ら変わりがないような気もする。

例えば、水炊きと寄せ鍋の違いについて。

水炊きは読んで字のごとく、水から炊くから水炊き。対して寄せ鍋はスープに味がついているものの事を指す。言い換えれば、タレをつけながら食べるのは水炊き、スープを飲むのが寄せ鍋という事。

それにしても、きちんと作ったポン酢のなんと美味しいことか。ただ単にすっぱいだけではない、まろやかな味。箸が止まらない。最後に雑炊まで食べて満腹、満足。



バランス

2004年11月27日 | 学生生活
夕方からYEHの会議。リード役を務める。前回担当した時、アジェンダ通りに進行させることにこだわりすぎて窮屈な会議になってしまった。今回は意見が出ているうちは、その流れに身を任せようという方針で臨む。

結果、時間を大幅にオーバーし、議題が一本翌週廻しになってしまう。バランスが難しい。

10名足らずのメンバー、殆どが大学生で構成されているYEH。就活等によるメンバー離脱で来年度以降の活動に支障が出ないよう、新メンバーを募集することに。そして、担当を引き受ける。自分が就活を行う際、どんな募集要項に魅力を感じたか。そんな事も思い出しながら取り組みたい。

夜はバイト。暇なので仕事をさっさと終わらせ、休憩。にしても、休みすぎたかなと少なからず反省。

製菓、基本のキ

2004年11月26日 | 学生生活


最近、製菓実習が妙に面白く感じる。

実習メニューはアップルパイ。もちろん美味しいアップルパイを完成させる事も大切なんだろうが、今日一番大切なのは生地の違いについてきちんと理解する事だ。

・パート・シュクレ=アマンディーヌ(アーモンドのタルト)に使用
・パート・ブリゼ=タルト・オー・シトロン(レモンのタルト)に使用
・フィユタージュ・ラピッド=アップルパイに使用

この3種類の生地バターの扱いそれぞれ異なる。パート・シュクレはバターを常温にしてすり混ぜるため、クッキーに近い固い食感。パート・ブリゼはバターを常温に戻さず細かく砕いて生地になじませるため、焼いた時に生地の中に隙間ができクラッカーのような食感。フィユタージュ・ラピッドはバターをより大きいまま使用し、重ねて伸ばすという作業を数回繰り返すため、生地とバターが交互に重なり合うような状態になり、いわゆるパイのような食感。ちなみに、正式なパイ生地としてパート・フュッテ(折りパイ)というものがあるが、学生の技量では難しいという事でフィユタージュ・ラピッド(速成折りパイ)となった。

パイ生地はバターが溶け出したらおしまい、という事でとにかく温度管理に気を使った今日の実習。伸ばしては休ませ、伸ばしては休ませを繰り返す。焼き上がり、無事生地が膨らんでくれて一安心。温度管理に失敗するとバターが溶け出してしまい、生地が膨らまないそうな。


なぜ、製菓実習を面白く感じるのか考えてみた。思い浮かんだ理由は3つ。まず、西洋に対する憧れ。次に、自宅でも試せるから。そして最も重要なのが、なかなかうまくできないから。そうなのだ、他の実習に関してはそつなくこなせるのに製菓だけは何かうまくいかないのだ。ティラミス等に使うビスキュイは克服したものの、基本の共立て生地に関してはまだ自信が持てない。卒業まで悩まされる事だろう。

塩釜

2004年11月25日 | 学生生活


実習は中華料理。卒業後、中華料理に進む学生は殆どいないので、どうしても授業に緊張感がない。人気がない理由はなんだろう?やはり油っこい、不衛生、モテなさそうと言ったあまり良くないイメージがあるのではないか。また、いわゆる「不良っぽい」学生が中華料理を志望するのも、他の生徒からの中華不人気の一因かもしれない。

クラスの友達と「作っていて一番楽しいのは何料理だろう?」と考えた。結論は、イタリア料理。日本料理は細かい決まりごとが多くて繊細すぎる、フランス料理は皿の上に走る緊張感(これがいいという人もいるが)が重たい、中華料理はなんだかねぇ。イタリア料理は新鮮な素材をざっと調理して、気取らずに盛りつけ、さあ食べよう!のようなノリのよさがある。

他人のためになぜ料理を作るのか?理由は人それぞれだと思うが「喜んでもらいたいから」という気持ちが占めるウエイトは小さくないのではないか。人に喜んでもらいながら、自分も一緒になって楽しむ。それが理想の姿なんじゃないかな。

都会と田舎

2004年11月24日 | 学生生活
朝、雑魚寝の布団の中で目が覚めて学校へ行く。二日酔いも殆どなく、授業に集中することができた。

マネジメント論より、商圏のお話。コンビニの商圏は約300m、これは人間の歩くスピードを80m/分と計算し、3~5分で行ける範囲との設定からだそう。ただ、あくまでもこれは都心の話。裏を返せば、自宅から徒歩5分以内にコンビニがあれば都会、なければ田舎ということか。

ちなみに我が家は田舎。昨日泊めてもらった友達が羨ましい。

1年ぶりに集まって

2004年11月23日 | 学生生活
去年の今頃、サークルの会議のあと毎週のように飲みに行っていたメンバーがいる。たった1年で各々の境遇はこうも変わるものなのか、なかなか予定が合うこともなく、そのメンバーでは1年ぶりの飲み。

昨年とは若干趣の異なる今年の雰囲気。お酒が素敵なら、料理も素敵。海鮮キムチチゲ鍋は文句のつけようがない美味さ、他にも魚介のマリネ、フライドチキン、パステルのプリンと料理には事欠かない。「アットホームだなぁ」主催者の意見がそれを象徴している。

去年と同じものを求めてはならなかったのかもしれない。しかし、心のどこかで「あの時は酷かったよなぁ」と言い合えるような、なんだか訳がわからないけど楽しい一日を期待していたのはきっと僕だけではないはずだ。

初めて訪れた地を再び訪問した時、大抵の旅行者は自分の思い描いていたイメージとのギャップに落胆するという。何事にも、同じ感動を期待するのは酷なのかもしれない。

キャンバスに絵を描くように

2004年11月22日 | 学生生活


早いもので、もうすぐ11月。先生達の話の中に「卒業作品展」という単語が頻繁に出てくるようになった。卒業作品展の課題は、規定の大きさのプレートの中で感性を表現する事が求められる。中華ならば鳳凰を模した優雅な盛り付け、製菓ならばテレビチャンピオンのような物語性のあるものを想像してもらえばいい。

料理で大きな絵を描くためには、同じ形のものがいくつか並ぶ必要性が生じてくる。西洋料理ならば、断面が美しいテリーヌや、今日実習で学んだ魚のムースのようなものが。

ところが僕は絵心に全く自信がない。中学校の時は5段階で5の評価を得ていたのだが、その才能のかけらはどこへ行ったやら。技術的な問題というよりも、センスの問題を今から心配してしまう。

無料でTOEIC

2004年11月21日 | 学生生活
1ヶ月程前、メールが届いた。「TOEICのモニターをしませんか?」TOEIC+形式が異なる英語の試験を受けさえすれば、TOEICの受験料を無料にしてくれるらしい。渡りに船、参加申込みをして無事当選。今日がその試験日。

バイト明けでそのままJR神田駅は神田外語学院へ。学園祭が近いのか、玄関に2ヶ国語で模擬店の案内が張り出されており、語学学校らしさが漂ってくる。教室に入ると、壁に「I have no idea」「Could you repeat again, please?」「Only English」などなど張り紙が。日本の語学学校に通ったことはないが、この雰囲気は懐かしい。教室で日本語を使うなってことだよね。

午前中にTOEICの試験、午後が別のタイプの試験。時間は共に120分。正直、夜勤明けの頭には辛かった…。ビジネス文書を必死に解読しようとするも、何が何だか途中でさっぱり訳がわからなくなる。

日本語でわからない事が英語で理解できる訳がない。逆に日本語で書かれてわかる事ならば、英語で書かれた時にある程度推測することができる。1問、長文の代わりにアップルパイのレシピが出題されていた。設問に対して、どこを見れば答えが載っているのか大体推測できる。「アップルパイを作るとき最初にする事はなんでしょう?」とか。今、苦手としているビジネス文書や新聞も慣れなのかな。基礎的な、日本語の知識も増やさなくては。
 
TOEICの受験料が無料というだけで喜んでいたら、謝礼として図書券3000円分が支払われるらしい。思わぬ臨時収入に思わずにんまり。

眠りたい

2004年11月20日 | 学生生活
夕方からYEHの会議。議事録を取って毎回MLに流しているとは言え、一回会議に出ないとどうも話の流れが見えにくい。うまく予定を調整しなくては。大学3年生のメンバーはもうすぐ就職活動が本格化。その代わりに、という訳ではないけれど新しいメンバーを募集していく事に。広報の担当者となる。どうもNGOらしい活動をしていないな。

会議後、バイトに直行。仕事自体は深夜1時半頃にほぼ終わらせたのだが、社員さんがいるので規定の時間まで仮眠を取る事ができない。もう一人のバイトの人と1時間半近く喋っている。仕事ないんだから、寝かせてくれればいいのに。結局、仮眠は規定どおりの1時間半。眠い。


自分がまとめ役や幹事を引き受けるのは、人間関係に対するコンプレックスの裏返しなのかもしれない。そんなことを最近考える。

打ち上げ

2004年11月19日 | 学生生活


実習は西洋料理。鴨のロースト フランボワーズソース。

今更…な感はしつつも、学園祭の打ち上げ。歌舞伎町は浪漫亭。2100円で食べ飲み放題ってよく見つけたなぁ。

ところが、この食べ放題がいただけない。料理がひたすら同じものしか出てこないのだ。オリーブの香りが殆どしない、ただ油にまみれただけのパスタが延々と…。ええ、もう仕方ない。殆どおつまみには手を出さず、ひたすらビールを飲み続ける。

打ち上げの参加人数は全体の半分以下くらいか。2年生とは色々話したいなーと思っていたんだけど、1人しか来ていなくて残念。まあ同じ学校に通っているんだし、どこかで顔合わせるでしょう。

先生が合流し、ボウリングを2ゲーム程。上下黒のスーツにエルメスのバッグって、先生、歌舞伎町の住人みたい。終電を考え、程々に帰宅する。筋肉痛が来るのは明日か、明後日か…。


蟹ご飯とコーラの話

2004年11月18日 | 学生生活


調理実習は茶碗蒸し、蟹ご飯、きんぴら。きんぴらは味の好みが本当に出やすい料理だと思う。試食の際も班の中で意見が結構割れましたとさ。


コカコーラの話。

世界中でどのように供給されているのか?アメリカで作られた原液が各国の工場へ運ばれ、工場ではマニュアルに従ってそれを加工し(薄めて)出荷している、らしい。つまり、各国のコーラを飲み比べてみると味も若干違うんだとか。韓国と日本を比べた場合、日本のコーラの方が味が濃いとか。

さらに、原液の製造方法を知っているのは本当に一握りの人達のみ、片手で収まるくらいではないかと言われている。以上、マネジメント論より。

タルト焼き上がり

2004年11月17日 | 学生生活
学校帰りに東急ハンズでタルト型を購入。待ちきれず、急ぎ足で家に帰る。

急ぎ足で帰ったものの、夜早い時間の台所はリビングからの暖房もあって暖かい。はやる気持ちを抑え、作業に取り掛かったのは深夜になってから。

タルトの生地、パート・シュクレを伸ばし、型に敷き込む。アーモンドのクリーム、クレーム・ダマンドを絞り、その上に昨日仕込んでおいたリンゴのコンポートを。最後に、薄くスライスしたリンゴを表面に美しく並べ、溶き玉子、溶かしバター、グラニュー糖で仕上げ。本当はバニラシュガーの方がいいらしいけど。

オーブンに放り込んで、しばらく待って、焼き上がり。でも食べるのは明日までガマンガマン。お菓子作りは大変だ。

タルト型

2004年11月16日 | 学生生活
学園祭の代休。

先週の学園祭準備期間から約1週間、料理を全くしていなかったのでフラストレーションが溜まっている。昼食にパスタを作って、食べてもまだ収まりがつかない。そうだ、お菓子を焼こう。

冨澤商店へ行き、粉やらバターやら物色。なんだかんだで2500円近く買物してしまう。シリコンのいいゴムべらを手に入れ、上機嫌。

タルト生地は作ってからある程度寝かせたほうが美味しく焼きあがる。とりあえず今日は混ぜるだけ混ぜて、冷蔵庫へ。明日のためにタルト型を出しておくか・・・と探すも、出てこない。我が家、タルト型だけは持っていないようだ。食パン型や、コルネ、クグロフ、ハート型はあるのに。仕方ない、明日の学校帰りに買うか。