カバ社長の日記 caba note

壁画やオブジェの制作会社ビッグアートの社長日記。「面白くなければ人生じゃない」がモットーの熱い熱いカバ社長の物語です。

大学院症候群?

2008-07-07 10:28:23 | アートの求人
会社説明会に来る人の中で、最近大学院(美大)の学生が目立つようになりました。

実践力を求める企業側としては、専門学校など就職目的の強い学生を期待するのですが、大学院となるとちょっと構えます。
専門学校卒より最低4年も長く(3倍の期間)学校に通っているわけですから、どれほどスゴイ人が来たかと注目してしまいます。

説明会には、北は北海道から南は沖繩までさまざまなジャンルの学生が集まって来ます。
そこで、全員の前で自分の作品やポートフォリオを見せ合います。
お互いを知り、自分を知るいい機会だと考えるからです。
自分の能力や立場を客観的に認識することが就職活動の第一歩だと思います。

ところが、大学院生のポートフォリオは、文字ばかり!
しかも、哲学的な、意味難解の言葉が踊っています。
洋画専攻のはずが、ポートフォリオはインスタレーションとかビデオ作品ばかりで絵画がほとんど登場しません。
そのことを尋ねてみると、「大学に入ってから絵はほとんど描かなくなった」と決まって当たり前のような顔。
こちらが面食らってしまいます。

絵を描くことが当社の中心的な仕事なので、入社希望の人には再度絵画作品を持って来てもらったり、課題を出して描いてもらったりします。
すると、がく然!
だいたい決まって「この数年絵を描いたことがないので・・・」という言い訳。
こちらがやり切れない気持ちになってしまいます。

話を聞くと、大学院に進学する人は、就活で就職できなかった人がほとんどとか。
より高い高みを求めて進学するのではなく、言ってみれば「就職浪人のたまり場」のようです。

大学院卒となれば、普通は初任給も専門学校卒や大卒より高いのが普通。
ところが、技術力は専門学校卒以下、下手をすると全くの素人と同レベルの人すらいます。
問題は、技術力だけではありません。
・あいさつや行儀作法は全くダメ。
・一般社会常識もほとんど知らない。
・場の空気が読めなくて、とんちんかんな行動が目立つ。
等々、仕事以前の基礎がほとんど身に付いていないのには閉口します。
今の実態からすると、たとえ専門学校卒や高卒より給与が低くても採用には二の足を踏みます。

美大でも、絵画や彫刻などの芸術系に比べ工芸系やデザイン系は確実にレベルが高い傾向にあります。
これは、入学した時点で、将来の進路目標がはっきりしているか否かが分かれ道のような気がします。
もし、入学しても将来の進路がはっきり見えない人には、インターンやアルバイトなどで興味のある仕事や企業を体験することを勧めます。
それも、卒業間際の就活を始める時期ではなく、1、2年生時の早い時期でないと、あまり意味がありません。
早く目標を見つけて、残りの期間を最大限に集中して努力することが重要です。

美大の4年生からもよく相談を受けます。
「今日の説明会で自分の技術力の低さを痛感しました。大学院に行って、力をつけてから再挑戦しようか迷っています」という内容です。
私は、だいたい次のようなアドバイスをします。
「これ以上、大学に残っても何一つ成長しないと思います。もう、十分すぎるくらい長居したのですから、全く違う立場に身を置いてみる方が、何かが見えてくると思います。もしくは、美大卒の肩書きを捨てて、丁稚奉公から修業させてもらう覚悟はありますか。やりたい仕事があるのなら、くよくよせずに飛び込んでいった方が一番の早道だと思います。問題は、何年間も絵を描こうとしなかったことです。本当に絵が好きなのかどうか自問自答してみることが出発点です」

時々、その後しばらくしてからまた尋ねてきて、「私は、絵を描くことが実は好きではないことに気付きました。社会に出るのが怖くて、就職にあまり関係のない美大を選んだ自分に気付きました」と言って、つきものが落ちたように晴れ晴れとした顔で帰って行く人もいます。
一見、4年も6年も回り道をしたととらえがちですが、長い人生で何一つムダなことなどありえません。
その回り道をしなければ、気付けなかった訳ですから。
人より遠回りしたり大きな犠牲を払って気付いたことは、その何倍も大きなこれからの人生の糧になります。
これこそが、人生の勉強です。

若者の特権は、「何ごとも恐れず」「何事も悔やまず」、知らない世界に裸で飛び込んでいくこと。
頭でっかちにならずに、自分の直感を信じて生きて欲しいと思います。

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