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雑木帖

 ─ メディアウオッチ他 ─

最近の言論への圧力にみる「大人の幼稚さ」

2006-09-03 06:00:47 | 政治/社会
 最近、ネットでなら可能な「メディア」について考えたなかに、次のようなものがあった。
 リアル世界(僕自身はぴんとこないが、「ネット=バーチャル」の対に位置するもの…らしい)のメディアに何らかのタブーにふれるジャーナリストとしてはじかれる人たちを集めて、有料版記事もあるネット雑誌を作る。ネットでなら、わずかな資本で記事を公にできる。
 ネットにブログを持ち、執筆をおこなっているジャーナリストにもできるだけ参加してもらう。

 けれど、「きまぐれな日々」Blogさんの“言論封殺にNo!を”というエントリーで紹介されている週刊現代 09/09号の記事『「言論封殺テロ」を徹底追及しないメディアの大罪』(8月15日の加藤紘一代議士宅放火事件を受けてのもの)の次の一節を読むと、事態はもっと深刻化しているのだろうかと思ってしまう。

 自己保身と利益優先のメディア

 なぜメディアはこうした言論封殺テロに弱腰なのか。田原氏が続ける。
「それはメディアが自分たちに被害がおよぶことを恐れているからです。いってみれば自己保身ですよ。加藤氏の実家放火事件を報じた新聞記事をみても、どれも慎重で脅えた書き方になっているのがわかります。
 メディアだけでなく、ジャーナリストもそうです。私がやっている『朝まで生テレビ!』でも、小泉さんの靖国参拝に賛成の出演者は問題ないのですが、反対派の論客がここにきて急に出演を辞退するようになった。番組制作サイドも非常に困っており、スタッフが苦労して出演依頼をしているのが実情です
 もっとも、メディアが時代の風向きで一斉に同じ方向になびくのは今に始まったことではない。
 戦前もそうだったが、古くは日露戦争の開戦前、当時、新聞はどこも反戦を唱えていた。ところが日露開戦が近づくにつれ、各社とも右へならえで「賛戦」に転じた。そのなかで唯一、反戦の立場を堅持していた新聞が「万朝報(よろずちょうほう)」だった。
 しかし、骨があるかにみえた万朝報も、戦争が始まると、賛戦に転じてしまう。転向の理由は、反戦のスタンスでは、新聞がまったく売れないからだった。反戦派の記者だった幸徳秋水は同紙を辞めている。
「先の大戦中も、日本の新聞は一斉に軍部の応援団になっていましたが、これは軍部や政府から弾圧されたからではなく、弾圧される前にもう応援団になっていたんです。理由は反戦の立場を続けていると、新聞が売れなくなるからです。
 この状況は、実は今も同じです。靖国参拝反対を一貫して報道していると、終いには売れ行きに支障をきたすようになる。世の中の大きな流れに反する記事は売れない。これはその逆をみれば、よくわかります。今なら『中国、北朝鮮はけしからん』という記事だと、よく売れる。こういう風潮がメディアを変えていくわけです」(田原氏)
 なんだか子供じみていて実感がわかない(出演を辞退する識者が「子供じみている」というのではなく、そういう事態になっている現実そのものが「子供じみている」ということ)というのが正直な感想なのだが、子供じみているといえば金曜深夜のフジテレビの報道番組での安倍晋三氏も幼稚だった。
 キャスターの滝川クリステルさんが安倍氏に、「小泉首相は『自民党をぶっ壊す』と言いましたが、安倍さんは総理になったらどんな…」と安倍氏に総理になった場合の抱負をフリップに書いてほしいとお願いした。すると、安倍氏は5文字をフリップに書いた。

「チャレンジ」

 それを見て滝川クリステルさんはかたまってしまった。かたまってしまったように僕には見えた。(笑)
 実際彼女は動きが止まってしまったのである。
 そのあまりに幼稚な返答に二の句がつげない(と僕には思われた)滝川クリステルさんは、感想も述べず他の出演者にバトンタッチをした。

 なだいなだ氏が昨年『日刊ゲンダイ』に小泉首相について次のようなコメントを載せていた。精神科医としての豊かな経験に裏打ちされたものだろう。
「反発されると、余計にやりたくなる。これは未成熟で大人になり切れていないからです。精神的に成長した人は、自分の感情や考えだけで行動しません。自分のやることがどういう意味を持つのか、俯瞰して眺めてみたり、10年先への影響を考えたりする。その上で決断するのです。大人の視点を身につけるには、親に反発し、親と対決し、失敗を経験することが必要。親の七光で生きてきた2世議員、3世議員は大人になれなくて当然です。そんな連中が国会で多数を占め、首相のイスにも座っている。これは不幸の極みです」
(『日刊ゲンダイ』 2005/10/19)
 大人の幼稚さというのは、非論理でむちゃくちゃなことも現実化させてしまうという恐いものなのかもしれない。

 2年前に天木直人氏がネットでベンジャミン・フルフォード氏に聞いた話を書いていた。ベンジャミン・フルフォード氏は日本の政官財+暴(暴力団)の結託システムを様々な本で指摘している人だ。
「かまぼこにしてやる」と(フルフォード氏は)ヤクザに脅かされたという。誰に助けを求めたかというと米国大使館だという。つまり日本の警察に助けを求めてもヤクザとグルだから助けてくれない事はわかっている、米国政府が日本政府に圧力をかければ日本政府がヤクザに「米国のいうことを聞かないとただではすまないぞ」といって脅す。それでヤクザは動けないというのである。これには思わず笑ってしまった。
それにしてもフルフォードが言うようにこの国も権力に楯突くと何をされるかわかったものではない。そしてその背後に米国が完全に睨みを利かしている。
 これもなんだか子供じみているが恐い話だ。
 しかし、広瀬隆氏も書いていたが、国が進める六ヶ所村の再処理工場の反対運動をしていると、それに絡んでくる暴力装置と警察は同じ側に立っている恐さがあるという。
 今更警察と右翼、暴力団の癒着を云々する気もないが(そんなものは公然とした秘密だから)、社会の裏で蠢いていた連中が、ついに表に出てくる世の中になりつつあるのかというのが僕の感想である。
 ちなみに、日本版NSA及びCIAの創設(彼がやるとどちらかというとSSになりそうな気がするが)をもくろむ安倍氏は警察官僚と親密な間柄らしい。

 参考。
 ・「現在の日本のナショナリズムは危険な状態」加藤紘一衆議院議員講演(東京・外国特派員協会) VIDEONEWS.COM


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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滝川クリステルさんのリアクション(笑) (kojitaken)
2006-09-03 07:40:45
弊ブログの記事の引用及びTBありがとうございました。

私は、昨年の耐震強度偽装問題報道以来、小泉政権追及に及び腰のフジテレビと日本テレビはほとんど見なくなってしまったのですが、滝川クリステルさんの安倍へのリアクションが目に浮かぶような記述で、思わず大笑いしてしまいました。

しかし、その安倍が確実に次期総理大臣になり、日本をめちゃくちゃに破壊しようとしているのだから、笑いごとではありませんよね。

「サンデー毎日」9月10日号にも『安倍晋三を支える「警察エリート3人衆」』という記事が出ていますが、昨日買ったばかりでまだ読んでません。最近は安倍批判情報のフォローアップがなかなか追いつかなくて大変です。
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あれよあれよという間に、悪い意味で何かが変わっていく世の中 (雑木帖@管理人)
2006-09-03 20:00:13
フジの夜のニュース番組は時々──3ヶ月に一回くらい──偶然に見ます。

フジといえば、今年8月15日の小泉総理靖国参拝のワイドショー実況中継はひどかったですね。

「今、反対派がボードーを起しています!」

とキャスターが声を高めて言っているので何事かと思ったのですが、他の局では、反対派と賛成派、警備の警察などがちょっとしたこぜりあいをやったと言っていた程度のものだったのです。

そこまで言うかフジテレビ!、と思いました。(笑)



安倍氏の抱負のところは僕は見ていて笑ってしまいましたが、考えてみると報道番組でこんなことは非常にめずらしいと思います。



『小泉純一郎と日本の病理 Koizumi`s Zombie Politics』の著者の藤原肇氏は、『無謀な挑戦』という著書のなかで次のように言っています。(余談ですが、この『無謀な挑戦』も、他のいくつかの氏の著作とともに、氏自身の承認を得た有志らによるはからいによりネットで自由に読むことができるようになっています。 http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/books/oil.html



≪完璧な官僚支配が成立しているという点では、日本はフランスを追いこして、ソ連に次ぐ世界第二位の官僚国家であり、全体主義者が自由を旗じるしにしていることで、辛うじて自由が残存する、実に皮肉に満ちたソフトなファシスト国家になっていると言っていい。≫

また、

≪歴史の教訓は、警察が情報を握ることによって、支配権力にとって鉄壁といえる堅固な立場を確立していくし、警察が国家権力を握ったときに強烈な全体主義国家が成立することを教えている。≫

とも。

安倍nd氏はその意味で、とても警戒をようする人物なのかもしれません。

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