最前線の子育て論byはやし浩司(2)

子育て最前線で活躍する、お父さん、お母さんのためのBLOG

●非行(再掲載)

2009-12-20 09:26:21 | 日記
●非行




【子どもを伸ばすコツ】




子どもを伸ばす最大のコツは、(子どもがしたいと思っていること)と、(子どもが現実にしている

こと)を、一致させてあげることです。とくに乳幼児期は、遊びを通して、それを実現します。




「ぼくは、これをしたい。だからこれをする」「私はこれをしたい。だからこれをする」と。




こうして(子どもの中の私)と、(現実の私)を一致させます。これをアイデンティティの確立とい

います。




こうしてその子どもは、自分の進むべき道を、自分でさがし求めるようになります。




ただ一つ、誤解してはいけないのは、(したいこと)は、そのつど、変化するということです。たと

えば、幼児のことは、「ケーキ屋さんになりたい」と言っていた子どもが、小学生になると、「パン

屋さんになりたい」「お花屋さんになりたい」などと言うようになるかもしれません。




しかしそのときでも、(自分がやりたいことに向って努力する)という、思考プロセスは、頭の中

に残ります。この思考プロセスこそが重要なのです。




中身は、そのつど、変わります。変わって当然なのです。




ここでは、「非行」をテーマに、この問題について考えてみます。子どもの非行というのは、子ど

も自身が、(やりたいこと)を見つけ出せなくなったとき、その代償的方法(あるいは自己防衛的

方法)として、始まります。




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●非行のメカニズム




 子どもの非行。その非行に子どもが走るメカニズムは、意外に単純なもの。言いかえると、

子どもを非行から防ぐ方法も、簡単。




【第一期・遊離】




 (したいこと)と、(していること)が、遊離し始める。「ぼくは、サッカーをしたい。しかし塾へ行

かなければならない」など。「私はケーキ屋さんになりたいのに、親は、勉強をして、いい大学

へ入れと言う」など。




 (~~したい)と思っていることと、(現実にしていること)が、遊離し始める。つまり子ども中

で、アイデンティティ(自我の同一性)が、混乱し始める。




 アイデンティティが、混乱し始めると、子どもの心理状態は、不安定になる。怒りっぽくなった

り(プラス型)、反対にふさぎやすくなったりする(マイナス型)。




 この状態を、「同一性の危機」という。




 この段階の状態に対して、抵抗力のある子どもと、そうでない子どもがいる。幼少期から、甘

やかされて育った子どもほど、当然、抵抗力がない。遊離したとたん、一気に、つぎの(同一性

の崩壊)へと進む。




一方、幼少期から、家事の手伝いなどを日常的にしてきた子どもほど、抵抗力が強い。子ども

の世界では、(いやなことをする力)を、「忍耐力」という。その忍耐力がある。




 アイデンティティが混乱したからといって、すぐ、つぎの第二期に進行するわけではない。個

人差は、当然、ある。




【第二期・崩壊】




 (したいこと)と(していること)が、大きくズレてくると、子どもは、まず、自分を支えようとする。

がんばる。努力する。が、やがて臨界点にさしかかる。子ども自身の力では、それを支えきれ

なくなる。




「野球の選手をめざして、もっとがんばりたいのに、毎日、勉強に追われて、それもできない」

「勉強はおもしろくない」「成績が悪く、つまらない」と。




 こうして同一性は、一気に、崩壊へと向う。子ども自身が、「自分は何をしたいのか」「何をす

べきなのか」、それがわからなくなる。




【第三期・混乱】




 アイデンティティが崩壊すると、精神状態は、きわめて不安定になる。ささいなことで、激怒し

たり、突発的に暴れたりする(プラス型)。




 反対に落ち込んだり、家の奥にひきこもったりする(マイナス型)。外界との接触を断つことに

よって、不愉快な気分になるのを避けようとする。このとき、無気力になり、ボーッとした表情

で、一日を過ごすようになることもある。




【第四期・非行】




 アイデンティティが崩壊すると、子どもは、主につぎの5つのパターンの中から、自分の道を

模索する。




(1)攻撃型

(2)同情型

(3)依存型

(4)服従型

(5)逃避型




 このうち、攻撃型が、いわゆる非行ということになる。独特の目つきで、肩をいからせて歩く。

独特の服装に、独特の暴言などなど。暴力行為、暴力事件に発展することも珍しくない。




 このタイプの子どもに、「そんなことをすれば、君は、みなに、嫌われるんだよ」と説いても意

味はない。このタイプの子どもは、非行を通して、(自分の顔)をつくろうとする。顔のない自分

よりは、嫌われても、顔のある自分のほうが、よいというわけである。




 アイデンティティそのものが、崩壊しているため、ふつうの、合理的な論理は通用しない。ささ

いなどうでもよいことに、異常なこだわりを見せたりする。あるいは、それにこだわる。自己管

理能力も低下するため、自分をコントロールできなくなる。




 以上が、非行のメカニズムということになる。




 では、子どもを非行から守るためには、どうすればよいか。もうその答はおわかりかと思う。




 つねに(子どものしたいこと)と、(子どもがしていること)を、一致させるようにする。あるいは

その接点だけは、切らないようにする。




 仮に受験勉強をさせるにしても、「成績がさがったから、サッカーはダメ」式の乱暴な、指導は

しない。受験勉強をしながらも、サッカーはサッカーとして、別に楽しめるワクを用意する。




 言うまでもなく、(自分のしたいこと)と、(していること)が一致している子どもは、精神的に、き

わめて安定している。どっしりしている。方向性がしっかりしているから、夢や希望も、もちやす

い。もちろん、目的もしっかりしている。




 また方向性がしっかりしているから、誘惑にも強い。悪の世界からの誘惑があっても、それを

はねかえすことができる。自己管理能力もしっかりいているから、してよいことと、悪いことの判

断も的確にできる。

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