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子育て最前線の育児論byはやし浩司 12月 8日号
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【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
休みます。
【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
【基本的信頼関係】(前回よりのつづきです)
+++++++++++++++++
以前書いた原稿を、1作、
添付します。
内容がダブりますが、お許しください。
+++++++++++++++++
【基本的信頼関係】
信頼関係は、母子の間で、はぐくまれる。
絶対的な(さらけ出し)と、絶対的な(受け入れ)。「絶対的」というのは、
「疑いをいだかない」という意味である。こうした相互の関係が、その子ども
(人)の、信頼関係の基本となる。
つまり子ども(人)は、母親との間でつくりあげた信頼関係を基本に、その
関係を、先生、友人、さらには夫(妻)、子どもへと応用していくことができ
る。だから母親との間で構築される信頼関係を、「基本的信頼関係」と呼ぶ。
が、母子との間で、信頼関係を結ぶことに失敗した子どもは、その反対に、
「基本的不信関係」に陥(おちい)る。いわゆる「不安」を基底とした、生き
ザマになる。そしてこうして生まれた不安を、「基底不安」という。
こういう状態になると、その子ども(人)は、何をしても不安だという状態
になる。遊んでいても、仕事をしていても、その不安感から逃れることができ
ない。その不安感は、生活のあらゆる部分に、およぶ。おとなになり、結婚し
てからも、消えることはない。夫婦関係はもちろんのこと、親子関係において
も、である。
こうして、たとえば母親について言うなら、いわゆる不安先行型、心配先行
型の子育てをしやすくなる。
●基底不安
親が子育てをしてい不安になるのは、親の勝手だが、ほとんどのばあい、親
は、その不安や心配を、そのまま子どもにぶつけてしまう。
しかし問題は、そのぶつけることというより、親にその自覚がないことであ
る。ほとんどの親は、不安であることや、心配していることを、「ふつうのこ
と」と思い、そして不安や心配になっても、「それは子どものため」と思いこ
む。
が、本当の問題は、そのつぎに起こる。
こうした母子との間で、基本的信頼関係の構築に失敗した子どももまた、不
安を基底とした生きザマをするようになるということ。
こうして親から子どもへと、生きザマが連鎖するが、こうした連鎖を、「世
代連鎖」、あるいは「世代伝播(でんぱ)」という。
ある中学生(女子)は、夏休み前に、夏休み後の、実力テストの心配をして
いた。私は、「そんな先のことは心配しなくていい」と言ったが、もちろんそ
う言ったところで、その中学生には、説得力はない。その中学生にしてみれば、
そうして心配するのは、ごく自然なことなのである。
(はやし浩司 基本的信頼関係 基底不安)
●人間関係を結べない子ども(人)
人間関係をうまく結ぶことができない子どもは、自分の孤独を解消し、自分に
とって居心地のよい世界をつくろうとする。その結果、大きく分けて、つぎの
四つのタイプに分かれる。
(1)攻撃型……威圧や暴力によって、相手を威嚇(いかく)したりして、自
分にとって、居心地のよい環境をつくろうとする。
(2)依存型……ベタベタと甘えることによって、自分にとって居心地のよい
環境をつくろうとする。
(3)服従型……だれかに徹底的に服従することによって、自分にとって居心
地のよい環境をつくろうとする。
(4)同情型……か弱い自分を演ずることにより、みなから「どうしたの?」
「だいじょうぶ?」と同情してもらうことにより、自分にとって、居心地のよ
い世界をつくろうとする。
それぞれに(プラス型)と、(マイナス型)がある。たとえば攻撃型の子ども
も、プラス型(他人に対して攻撃的になる)と、マイナス型(自虐的に勉強し
たり、運動をしたりするなど、自分に対して攻撃的になる)に分けられる。
スポーツ選手の中にも、子どものころ、自虐的な練習をして、有名になった
人は多い。このタイプの人は、「スポーツを楽しむ」というより、メチャメチ
ャな練習をすることで、自分にとって、居心地のよい世界をつくろうとしたと
考えられる。
●子どもの仮面
人間関係をうまく結べない子ども(人)は、(孤立)と、(密着)を繰りか
えすようになる。
孤独だから、集団の中に入っていく。しかしその集団の中では、キズつきや
すく、また相手をキズつけるのではないかと、不安になる。自分をさらけ出す
ことが、できない。できないから、相手が、自分をさらけ出してくると、それ
を受入れることができない。
たとえば自分にとって、いやなことがあっても、はっきりと、「イヤ!」と
言うことができない。一方、だれかが冗談で、その子ども(人)に、「バカ!」
と言ったとする。しかしそういう言葉を、冗談と、割り切ることができない。
そこでこのタイプの子どもは、集団の中で、仮面をかぶるようになる。いわ
ゆる、いい子ぶるようになる。これを心理学では、「防衛機制」という。自分
の心がキズつくのを防衛するために、独特の心理状態になったり、独特の行動
を繰りかえすことをいう。
子ども(人)は、一度、こういう仮面をかぶるようになると、「何を考えて
いるかわからない子ども」という印象を与えるようになる。さらに進行すると、
心の状態と、表情が、遊離するようになる。うれしいはずなのに、むずかしい
顔をしてみせたり、悲しいはずなのに、ニンマリと笑ってみせるなど。
この状態になると、一人の子ども(人)の中に、二重人格性が見られるよう
になることもある。さらに何か、大きなショックが加わると、人格障害に進む
こともある。
●すなおな子ども論
従順で、おとなしく、親や先生の言うことを、ハイハイと聞く子どものこと
を、「すなおな子ども」とは、言わない。すなおな子どもというときには、二
つの意味がある。
一つは情意(心)と表情が一致しているということ。うれしいときには、うれ
しそうな顔をする。いやなときはいやな顔をする。
たとえば先生が、プリントを一枚渡したとする。そのとき、「またプリント!
いやだな」と言う子どもがいる。一見教えにくい子どもに見えるかもしれない
が、このタイプの子どものほうが「裏」がなく、実際には教えやすい。
いやなのに、ニッコリ笑って、黙って従う子どもは、その分、どこかで心をゆ
がめやすく、またその分、心がつかみにくい。つまり教えにくい。
もう一つの意味は、「ゆがみ」がないということ。ひがむ、いじける、ひね
くれる、すねる、すさむ、つっぱる、ふてくされる、こもる、ぐずるなど。
ゆがみというのは、その子どもであって、その子どもでない部分をいう。たと
えば分離不安の子どもがいる。親の姿が見えるときには、静かに落ちついてい
るが、親の姿が見えなくなったとたん、ギャーとものすごい声をはりあげて、
親のあとを追いかけたりする。その追いかけている様子を観察すると、その子
どもは子ども自身の意思というよりは、もっと別の作用によって動かされてい
るのがわかる。それがここでいう「その子どもであって、その子どもでない部
分」ということになる。
仮面をかぶる子どもは、ここでいうすなおな子どもの、反対側の位置にいる
子どもと考えるとわかりやすい。
●仮面をかぶる子どもたち
たとえばここでいう服従型の子どもは、相手に取り入ることで、自分にとっ
て、居心地のよい世界をつくろうとする。
先生が、「スリッパを並べてください」と声をかけると、静かにそれに従っ
たりする。あるいは、いつも、どうすれば、自分がいい子に見られるかを、気
にする。行動も、また先生との受け答えのしかたも、優等生的、あるいは模範
的であることが多い。
先生「道路に、サイフが落ちていました。どうしますか?」
子ども「警察に届けます」
先生「ブランコを取りあって、二人の子どもがけんかをしています。どうしま
すか?」
子ども「そういうことをしては、ダメと言ってあげます」と。
こうした仮面は、服従型のみならず、攻撃型の子どもにも見られる。
先生「君、今度のスポーツ大会に選手で、出てみないか?」
子ども「うっセーナア。オレは、そんなのに、興味ネーヨ」
先生「しかし、君は、そのスポーツが得意なんだろ?」
子ども「やったこと、ネーヨ」と。
こうした仮面性は、依存型、同情型にも見られる。
●心の葛藤
基本的信頼関係の構築に失敗した子ども(人)は、集団の中で、(孤立)と
(密着)を繰りかえすようになる。
それをうまく説明したのが、「二匹のヤマアラシ」(ショーペンハウエル)
である。
「寒い夜だった。二匹のヤマアラシは、たがいに寄り添って、体を温めよう
とした。しかしくっつきすぎると、たがいのハリで相手の体を傷つけてしまう。
しかし離れすぎると、体が温まらない。そこで二匹のヤマアラシは、一晩中、
つかず離れずを繰りかえしながら、ほどよいところで、体を温めあった」と。
しかし孤立するにせよ、密着するにせよ、それから発生するストレス(生理
的ひずみ)は、相当なものである。それ自体が、子ども(人)の心を、ゆがめ
ることがある。
一時的には、多くは精神的、肉体的な緊張が引き金になることが多い。たとえ
ば急激に緊張すると、副腎髄質からアドレナリンの分泌が始まり、その結果心
臓がドキドキし、さらにその結果、脳や筋肉に大量の酸素が送り込まれ、脳や
筋肉の活動が活発になる。
が、そのストレスが慢性的につづくと、副腎機能が亢進するばかりではなく、
「食欲不振や性機能の低下、免疫機能の低下、低体温、胃潰瘍などの種々の反
応が引き起こされる」(新井康允氏)という。
こうしたストレスが日常的に重なると、脳の機能そのものが変調するというの
だ。たとえば子どものおねしょがある。このおねしょについても、最近では、
大脳生理学の分野で、脳の機能変調説が常識になっている。つまり子どもの意
思ではどうにもならない問題という前提で考える。
こうした一連の心理的、身体的反応を、神経症と呼ぶ。慢性的なストレス状
態は、さまざまな神経症による症状を、引き起こす。
●神経症から、心の問題
ここにも書いたように、心理的反応が、心身の状態に影響し、それが身体的な
反応として現れた状態を、「神経症」という。
子どもの神経症、つまり、心理的な要因が原因で、精神的、身体的な面で起こ
る機能的障害)は、まさに千差万別。「どこかおかしい」と感じたら、この神
経症を疑ってみる。
(1)精神面の神経症…恐怖症(ものごとを恐れる)、強迫症状(周囲の者に
は理解できないものに対して、おののく、こわがる)、不安症状(理由もなく
悩む)など。
(2)身体面の神経症……夜驚症(夜中に狂人的な声をはりあげて混乱状態に
なる)、夜尿症、頻尿症(頻繁にトイレへ行く)、睡眠障害(寝ない、早朝覚
醒、寝言)、嘔吐、下痢、便秘、発熱、喘息、頭痛、腹痛、チック、遺尿(そ
の意識がないまま漏らす)など。一般的には精神面での神経症に先立って、身
体面での神経症が起こることが多く、身体面での神経症を黄信号ととらえて警
戒する。
(3)行動面の神経症……神経症が慢性化したりすると、さまざまな不適応症
状となって行動面に現れてくる。不登校もその一つということになるが、その
前の段階として、無気力、怠学、無関心、無感動、食欲不振、引きこもり、拒
食などが断続的に起こるようになる。
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【基本的信頼関係】
信頼関係は、母子の間で、はぐくまれる。
絶対的な(さらけ出し)と、絶対的な(受け入れ)。「絶対的」というのは、
「疑いをいだかない」という意味である。こうした相互の関係が、その子ども
(人)の、信頼関係の基本となる。
つまり子ども(人)は、母親との間でつくりあげた信頼関係を基本に、その
関係を、先生、友人、さらには夫(妻)、子どもへと応用していくことができ
る。だから母親との間で構築される信頼関係を、「基本的信頼関係」と呼ぶ。
が、母子との間で、信頼関係を結ぶことに失敗した子どもは、その反対に、
「基本的不信関係」に陥(おちい)る。いわゆる「不安」を基底とした、生き
ザマになる。そしてこうして生まれた不安を、「基底不安」という。
こういう状態になると、その子ども(人)は、何をしても不安だという状態
になる。遊んでいても、仕事をしていても、その不安感から逃れることができ
ない。その不安感は、生活のあらゆる部分に、およぶ。おとなになり、結婚し
てからも、消えることはない。夫婦関係はもちろんのこと、親子関係において
も、である。
こうして、たとえば母親について言うなら、いわゆる不安先行型、心配先行
型の子育てをしやすくなる。
●基底不安
親が子育てをしてい不安になるのは、親の勝手だが、ほとんどのばあい、親
は、その不安や心配を、そのまま子どもにぶつけてしまう。
しかし問題は、そのぶつけることというより、親にその自覚がないことであ
る。ほとんどの親は、不安であることや、心配していることを、「ふつうのこ
と」と思い、そして不安や心配になっても、「それは子どものため」と思いこ
む。
が、本当の問題は、そのつぎに起こる。
こうした母子との間で、基本的信頼関係の構築に失敗した子どももまた、不
安を基底とした生きザマをするようになるということ。
こうして親から子どもへと、生きザマが連鎖するが、こうした連鎖を、「世
代連鎖」、あるいは「世代伝播(でんぱ)」という。
ある中学生(女子)は、夏休み前に、夏休み後の、実力テストの心配をして
いた。私は、「そんな先のことは心配しなくていい」と言ったが、もちろんそ
う言ったところで、その中学生には、説得力はない。その中学生にしてみれば、
そうして心配するのは、ごく自然なことなのである。
(はやし浩司 基本的信頼関係 基底不安)
●人間関係を結べない子ども(人)
人間関係をうまく結ぶことができない子どもは、自分の孤独を解消し、自分に
とって居心地のよい世界をつくろうとする。その結果、大きく分けて、つぎの
四つのタイプに分かれる。
(1)攻撃型……威圧や暴力によって、相手を威嚇(いかく)したりして、自
分にとって、居心地のよい環境をつくろうとする。
(2)依存型……ベタベタと甘えることによって、自分にとって居心地のよい
環境をつくろうとする。
(3)服従型……だれかに徹底的に服従することによって、自分にとって居心
地のよい環境をつくろうとする。
(4)同情型……か弱い自分を演ずることにより、みなから「どうしたの?」
「だいじょうぶ?」と同情してもらうことにより、自分にとって、居心地のよ
い世界をつくろうとする。
それぞれに(プラス型)と、(マイナス型)がある。たとえば攻撃型の子ども
も、プラス型(他人に対して攻撃的になる)と、マイナス型(自虐的に勉強し
たり、運動をしたりするなど、自分に対して攻撃的になる)に分けられる。
スポーツ選手の中にも、子どものころ、自虐的な練習をして、有名になった
人は多い。このタイプの人は、「スポーツを楽しむ」というより、メチャメチ
ャな練習をすることで、自分にとって、居心地のよい世界をつくろうとしたと
考えられる。
●子どもの仮面
人間関係をうまく結べない子ども(人)は、(孤立)と、(密着)を繰りか
えすようになる。
孤独だから、集団の中に入っていく。しかしその集団の中では、キズつきや
すく、また相手をキズつけるのではないかと、不安になる。自分をさらけ出す
ことが、できない。できないから、相手が、自分をさらけ出してくると、それ
を受入れることができない。
たとえば自分にとって、いやなことがあっても、はっきりと、「イヤ!」と
言うことができない。一方、だれかが冗談で、その子ども(人)に、「バカ!」
と言ったとする。しかしそういう言葉を、冗談と、割り切ることができない。
そこでこのタイプの子どもは、集団の中で、仮面をかぶるようになる。いわ
ゆる、いい子ぶるようになる。これを心理学では、「防衛機制」という。自分
の心がキズつくのを防衛するために、独特の心理状態になったり、独特の行動
を繰りかえすことをいう。
子ども(人)は、一度、こういう仮面をかぶるようになると、「何を考えて
いるかわからない子ども」という印象を与えるようになる。さらに進行すると、
心の状態と、表情が、遊離するようになる。うれしいはずなのに、むずかしい
顔をしてみせたり、悲しいはずなのに、ニンマリと笑ってみせるなど。
この状態になると、一人の子ども(人)の中に、二重人格性が見られるよう
になることもある。さらに何か、大きなショックが加わると、人格障害に進む
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●すなおな子ども論
従順で、おとなしく、親や先生の言うことを、ハイハイと聞く子どものこと
を、「すなおな子ども」とは、言わない。すなおな子どもというときには、二
つの意味がある。
一つは情意(心)と表情が一致しているということ。うれしいときには、うれ
しそうな顔をする。いやなときはいやな顔をする。
たとえば先生が、プリントを一枚渡したとする。そのとき、「またプリント!
いやだな」と言う子どもがいる。一見教えにくい子どもに見えるかもしれない
が、このタイプの子どものほうが「裏」がなく、実際には教えやすい。
いやなのに、ニッコリ笑って、黙って従う子どもは、その分、どこかで心をゆ
がめやすく、またその分、心がつかみにくい。つまり教えにくい。
もう一つの意味は、「ゆがみ」がないということ。ひがむ、いじける、ひね
くれる、すねる、すさむ、つっぱる、ふてくされる、こもる、ぐずるなど。
ゆがみというのは、その子どもであって、その子どもでない部分をいう。たと
えば分離不安の子どもがいる。親の姿が見えるときには、静かに落ちついてい
るが、親の姿が見えなくなったとたん、ギャーとものすごい声をはりあげて、
親のあとを追いかけたりする。その追いかけている様子を観察すると、その子
どもは子ども自身の意思というよりは、もっと別の作用によって動かされてい
るのがわかる。それがここでいう「その子どもであって、その子どもでない部
分」ということになる。
仮面をかぶる子どもは、ここでいうすなおな子どもの、反対側の位置にいる
子どもと考えるとわかりやすい。
●仮面をかぶる子どもたち
たとえばここでいう服従型の子どもは、相手に取り入ることで、自分にとっ
て、居心地のよい世界をつくろうとする。
先生が、「スリッパを並べてください」と声をかけると、静かにそれに従っ
たりする。あるいは、いつも、どうすれば、自分がいい子に見られるかを、気
にする。行動も、また先生との受け答えのしかたも、優等生的、あるいは模範
的であることが多い。
先生「道路に、サイフが落ちていました。どうしますか?」
子ども「警察に届けます」
先生「ブランコを取りあって、二人の子どもがけんかをしています。どうしま
すか?」
子ども「そういうことをしては、ダメと言ってあげます」と。
こうした仮面は、服従型のみならず、攻撃型の子どもにも見られる。
先生「君、今度のスポーツ大会に選手で、出てみないか?」
子ども「うっセーナア。オレは、そんなのに、興味ネーヨ」
先生「しかし、君は、そのスポーツが得意なんだろ?」
子ども「やったこと、ネーヨ」と。
こうした仮面性は、依存型、同情型にも見られる。
●心の葛藤
基本的信頼関係の構築に失敗した子ども(人)は、集団の中で、(孤立)と
(密着)を繰りかえすようになる。
それをうまく説明したのが、「二匹のヤマアラシ」(ショーペンハウエル)
である。
「寒い夜だった。二匹のヤマアラシは、たがいに寄り添って、体を温めよう
とした。しかしくっつきすぎると、たがいのハリで相手の体を傷つけてしまう。
しかし離れすぎると、体が温まらない。そこで二匹のヤマアラシは、一晩中、
つかず離れずを繰りかえしながら、ほどよいところで、体を温めあった」と。
しかし孤立するにせよ、密着するにせよ、それから発生するストレス(生理
的ひずみ)は、相当なものである。それ自体が、子ども(人)の心を、ゆがめ
ることがある。
一時的には、多くは精神的、肉体的な緊張が引き金になることが多い。たとえ
ば急激に緊張すると、副腎髄質からアドレナリンの分泌が始まり、その結果心
臓がドキドキし、さらにその結果、脳や筋肉に大量の酸素が送り込まれ、脳や
筋肉の活動が活発になる。
が、そのストレスが慢性的につづくと、副腎機能が亢進するばかりではなく、
「食欲不振や性機能の低下、免疫機能の低下、低体温、胃潰瘍などの種々の反
応が引き起こされる」(新井康允氏)という。
こうしたストレスが日常的に重なると、脳の機能そのものが変調するというの
だ。たとえば子どものおねしょがある。このおねしょについても、最近では、
大脳生理学の分野で、脳の機能変調説が常識になっている。つまり子どもの意
思ではどうにもならない問題という前提で考える。
こうした一連の心理的、身体的反応を、神経症と呼ぶ。慢性的なストレス状
態は、さまざまな神経症による症状を、引き起こす。
●神経症から、心の問題
ここにも書いたように、心理的反応が、心身の状態に影響し、それが身体的な
反応として現れた状態を、「神経症」という。
子どもの神経症、つまり、心理的な要因が原因で、精神的、身体的な面で起こ
る機能的障害)は、まさに千差万別。「どこかおかしい」と感じたら、この神
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(1)精神面の神経症…恐怖症(ものごとを恐れる)、強迫症状(周囲の者に
は理解できないものに対して、おののく、こわがる)、不安症状(理由もなく
悩む)など。
(2)身体面の神経症……夜驚症(夜中に狂人的な声をはりあげて混乱状態に
なる)、夜尿症、頻尿症(頻繁にトイレへ行く)、睡眠障害(寝ない、早朝覚
醒、寝言)、嘔吐、下痢、便秘、発熱、喘息、頭痛、腹痛、チック、遺尿(そ
の意識がないまま漏らす)など。一般的には精神面での神経症に先立って、身
体面での神経症が起こることが多く、身体面での神経症を黄信号ととらえて警
戒する。
(3)行動面の神経症……神経症が慢性化したりすると、さまざまな不適応症
状となって行動面に現れてくる。不登校もその一つということになるが、その
前の段階として、無気力、怠学、無関心、無感動、食欲不振、引きこもり、拒
食などが断続的に起こるようになる。