こんにちは、農業委員会の吉田です。

暖かくなってくると、山野とも緑の中に様ざまな花が咲き誇っていて、ちょっと散歩をするつもりが景色と風の気持ちの良さについつい時間を忘れ、思わぬところまで出かけてしまうことがあります。
あちらこちらのお庭をのぞきながら歩くと、この時期はバラの花を見かけることが多く、中には凝った装飾をされているお宅もあり、ホォーと感心することしきりです。
変な人と疑われない程度のキョロキョロ歩きをしながら、それでもお住まいの方の花好度がよくわかって、それもまた散歩の楽しみのひとつになっています。
先日、バラ祭を開催されていた粟生外院二丁目のバラ園も見事なものでした。
実は道路を挟んだ西側の農地が農業公社借受第一号農地で、再生作業とほぼ同時期にお向かいの整地が始まりました。
2年前、左が整備中の公社農地、右が現在のバラ園
住宅建築でもなさそうでしたし、誕生日が同じ頃ということで気になって造園作業をされていた方に伺ったところ、バラの庭を造られる、ということでホォーと驚き、今年は「わずか2年でここまで魅せる」プロの技に再びホォーと感嘆しました。
びふぉー
あふたー
「バラの名前に選ばれた女優」が今年のテーマだったそうですが、バラの美しさと女優の美しさを重ね合わせる趣向はなかなか楽しいもので、以前レコードを紹介したカトリーヌ・ドヌーブと名付けられた花もあり、やっぱり綺麗やね
としばらく見とれていました。
もっとも、足下に小さく現在72歳と書かれていたのが目に止まり、今度はホゥーとため息が出てしまいましたが・・・。
そんなこんなで、今年はもっとバラを見たくなって伊丹市の荒牧バラ園にもいってきました。
広い敷地内に一斉に開花したバラは見応えがあり、多くの人が写真を撮ったり座っておしゃべりをしたりして楽しんでおられました。
私も結構枚数を撮りましたが、花の写真はむずかしいもので、愛着のある目でみないとその魅力を見つけることはできません。センスのいい花の写真を撮られる方はよほど花がお好きなのでしょうか、花の場合も人間の場合もその良いところを見つけられるという才能はうらやましいものですね。


さて、バラ園は2年で見応えのある花を咲かせていますが、同じ頃スタートした農業公社はどうか?
はっきり申し上げて、プロの技とまではいかずまだまだ試行錯誤を繰り返していますが、それでも着実に農地の保全力を上げてきています。

大阪府から、農業公社の事業や実績が認められ、農業団体で初めての認定農業者になりました。
外院に植えた早生(わせ)の玉ねぎは収穫が終わり給食に出荷、晩生(おくて)もそろそろ収穫時期を迎えています。

このところまた農地の借受も増えだしてきて、手続きが完了していないものも含めて約3.5haほどになってきました。
しかし、一団でない東西・止々呂美にまで拡がった農地を管理するのは並大抵ではなく、最近は草刈に追われる毎日です。
大っきいのもあれば、小っこいのもできてしまいました
そこで確実に漏れのないように業務をこなしていくために、農地の管理、作物の状況、保管の状況、出荷の管理、施設の管理と細かくチェックリストを作って公社と農業委員会が確認しあいながら取り組んでいますが、それでも農家さんから管理ができていないとお叱りを受けることがあり、なにかと賑やかな毎日でもあります。

農業委員会には農業公社事業もさることながら、農地の権利の移動と農家が適切に農地管理を行っていただくよう指導や相談を行うという本来業務があります。
すでに何度も書いているように、高齢化、担い手不足による不耕作地の増加は全国的な課題となっていて、農地の貸し借りを斡旋する農地中間管理機構が各都道府県に置かれるようになりましたが、農業公社は斡旋だけでなく自らお預かりして農地保全を行っていくという一歩二歩前に出た事業を行っています。
不耕作地については、所有者に管理耕作の指導を繰り返すだけでなく、こうした農業公社の利点・特徴を生かして、不耕作地の解消や耕作できなくなった場合など、公社に農地を預けられることを提案するようにしています。

数年間お借りすることで利益を生み出せるのであれば初期投資も行うという公社の積極的な借受方針と実績を受け、当初は公社が借り受ける許認可審議において大丈夫かというお声のあった委員さんからも、最近ではきっちり管理してもらえるという信頼をいただき、農家さんとの橋渡しにもご尽力くださるようになりました。
農地を所有されている以上、農地管理は義務としてついてまわります。わかってはいるが、どうしようもない。歌の歌詞ではないですが、そのような時代の中で、農業公社の存在はますます大きくなっていくように感じます。

そのためにも、今は極力公社自身の体力を蓄えることに努めていますが、それでもどうしようもない農地がありました。
先月お約束したとおり、農業委員会の遊休農地解消対策委員会の二石委員長と西田副委員長、そして東山会長と上田会長職務代理者が揃い、今後の対策を検討するため、このどうしようもないと思われる農地を視察されました。
いざ、出陣!
しかし、これはどうしようもないな・・・
ここまで荒れてしまってはなぁ・・・
ほんとにどうしようもないなぁ・・・
ご自身の担当区域にそのような農地がある委員さんの思いは切実で、農地所有者さんの生の声を聴いておられるだけに、なんとか早期に解消し肩の荷を下ろしたいといったご様子です。
地区担当委員さんの説明にも力が入ります
こちらも長年の課題農地・・・
こうした状況を再確認された会長さんたちは、山林化が著しい地域については地目変更もやむを得ないという感触を得られたようです。後日開催した遊休農地解消対策委員会において視察状況をご報告した後にご議論いただき、所有者さんの意向を確認しながら地目変更も検討していくという今後の方針が決定されました。
お疲れ様でした

今回の視察で、あらためて農地という地目の重みが浮き上がってきたように感じますが、個人の所有地であっても自由に売買できず営農を義務づけされているのが農地であり、それでこそ国民の食料が営営と保証されてきたのでしょう。
かつて、おそらく村をあげた大変な努力で開墾されたと思われる山間の水田を、その面影もわからないまでに放置してしまっているというのは、先祖代だい今も大切に農地を守ってこられた農家さんにとって本当に残念な思いであることと思います。

こうして失われていく農地は山間部だけでなく平地でも同様なのですが、先日、全国農業新聞に掲載された農民作家・山下惣一さんのコラムに次のような記事がありました。
連休明けにTPP協議においてアメリカ米を輸入するという報道がなされたこと、首都圏エリアの生協が行った朝食のパン派・ごはん派調査結果を踏まえ、「何を食べようと勝手だが」と前置きされつつ、「日本人が日本の米を食べなければ日本の水田も米も守れない。(中略)水を張った田に早苗がそよぎ、蛍が舞い、赤トンボが群れ、彼岸花の咲く風景も残らない。千年以上も日本人の命をつないできた稲作。これからの千年も続かなければならない稲作が縮小し消滅するかもしれない。」 そして最後に「何を食おうと勝手だが、そのことだけは覚悟しておくべきだ。(後略)。」

農業公社が行っているのは農地を借り上げるという直接的な農地保全とともに、地場産収穫物を学校給食食材へ活用することを始めとした地産地消の推進による間接的な農地保全です。
加えて、箕面市の進める「3つのアクション」(「朝食宣言!」毎日食べます「朝ごはん」、「食は健康!」野菜たっぷり「バランスごはん」、「お米習慣!」旬と味わう「お米のごはん」)を市と連携しながら進めており、山下氏の言われる千年先にも続く農業に文字どおり取り組んでいますので、農業公社の活動にどうぞご理解とご協力をお願いします。

ところで、こうした農業公社の動きとは別に、これも以前から何度も書いている農業委員会法の改正に向けた動きについてですが、今国会で審議中の改正法概要はすでにお知らせしたとおりです。本市にとって法改正による影響が大きいと思われるのは委員の定数ですが、概ね現在の半数程度ということしか明らかにされていません。農地を多く抱える地域においては他にも種種影響を心配されており、明日28日に東京で開催される全国農業委員会会長大会では、各農業委員会から国会議員に要請を行うことになっています。箕面市は豊能町、能勢町、池田市、茨木市とともに地元選出の原田憲治衆議院委員に対し、次の点について要請を行ってきます。
1.農業委員・推進委員の現場の実態に即した円滑な選任
2.農業委員・農地利用最適化推進委員の定数の確保
3.女性・青年農業委員等の確保
4.都道府県農業会議・全国農業会議所の円滑な組織変更と財源の確保
5.都道府県農業委員会ネットワーク機構の法令業務に伴う国の義務的支出負担
経費の確保
6.新制度への円滑な移行措置の確保 などです。


さて、春と秋はプロ・アマ問わず展覧会が多く開催されますが、連休中に神戸市御影の香雪美術館へ郷倉和子さんの百歳記念展を見に行ってきました。文化功労者で日本芸術院会員、1914年生まれの昨年11月で百歳を迎えられた現役作家さんです。「百寿の梅」と題された展覧会は久びさに見応えのあるものでした。本物の日本画の力というか極力よけいなものを排除した画面構成、空間を生かすというか、いわゆる「間(ま)」というものを生かせる技術を持った郷倉さんのような作家はなかなかおられないのではないでしょうか。
こうしてじっくりと鑑賞し、いいなあ、一枚欲しいなぁと思いながら美術館を出て駅に近づくと、なにかの祭りのような賑やかな音が聞こえてきました。
音のする方へいくと、かけ声とともに「地車(だんじり)」が曳かれていきます。
私は全く知りませんでしたが、この御影地区の地車の歴史は古く、現存する最も古い地車で明治10年のものといいますから、少なくともそれ以前から始まっているようです。阪神淡路大震災で一時中断していましたが、多くの方がたのご尽力があり、手元のパンフレットによると今年は11地区がそれぞれ歴史由緒ある自慢の山車を一堂に曳くイベントもあるようです。残念ながらイベントは夜なので時間の都合がつかず見学を断念しましたが、せっかくなのでもう一カ所の地車を見てきました。

パンフレットには東灘区長さんが、震災発生直後の救助活動やその後の復興の過程で発揮された地域の絆の強さは、地車を通じて培われてきた地域のつながりによる部分が大きいのではないか、とメッセージされていました。
しばらく地車について歩きましたが、若い方も長老とお見受けする方も、ゾロゾロとついて歩いておられる方も、男女問わずひとつの雰囲気に溶け込んでおられて、地域のつながりの強さがひしひしと感じられたお祭りでした。
農家社会はまさにこの相互扶助社会であって、家族、親戚、村などの単位でがっちりと縦横構造を固めながら何百年間農地を守り継いでこられたのでしょう。
地域のつながりだけが全てではないですが、地域力は地域の環境が悪化するほど大きな力を発揮すると思います。そういう意味からも、今そのつながりを育んでおくことがいざというときのためにも大切だと農家社会から教えられたように感じることがあります。
たまたま見た地車でしたが、大きな災害を経験され乗り越えてこられた東灘地区の皆さんを知り、この農家社会の良いところを再認識することになりました。
そういう意味で、今期の本市キャンペーンである「防犯・防災・仲間づくりに自治会加入・自治会結成!」の大切さについても再認識し、皆さんのご理解・ご協力についてあらためてお願いしたいと思います。


さて、追加募集のお願いです!
先月募集PRした、生産者と消費者の皆さんが直接の対話を楽しみながら行う、恒例の農業体験ですが、参加枠が若干残っています。募集の締め切りは一応終了していますが、お申し込み忘れ、もうだめかなと思ってあきらめておられた皆さん、今からでもどうぞお申し込みください。
昨日、サツマイモ体験のために畝立ても行いました!
なお、サツマイモの植え付け・収穫体験は今月30日の土曜日に実施する予定ですのでお早めに!田植え体験は6月6日の土曜日に実施する予定です。詳しくは農業振興課(電話072-724-6728)へお問い合わせください。
最後に、今月の一枚。
先日、ある会合のあと石橋からフラフラと歩いて帰る途中、桜の中央橋から何気なく川面を見ると、気の早い蛍がお尻を光らせながら飛んでいました。もうそんな季節・・・。、そういえば鯉のぼりの姿も見なくなったなと思いながら、しばらく蛍を見つめていました。
だいぶ前から、早苗が植えられた水田と泳ぐ鯉のぼりの姿を撮りたいと思っていましたが、箕面市内ではそのような風景は見れなくなってしまいました。
それでも、ところどころ大きな鯉のぼりを揚げておられるお宅もあり、せめて青空に舞う姿を撮りたいものと思っていましたが、先日それが叶いました。

大きな旧家の屋根の上でといいたいところですが、下に見える瓦屋根は元農業委員さんの大きな納屋のものです。これだけ大きな鯉のぼりが泳ぐには相当強い風が必要ですが、この日は真っ青な空と強い風という二つの条件がうまく重なって、見ているこちらも気持ちがよくなるほど何度も何度も風に舞ってくれました。
この写真を撮った数日前に、この付近で小学1年生の女の子が交通事故で亡くなるという悲しい事件があり、鯉のぼりは男の子だけのものではないよな、とご冥福をお祈りしながらシャッターを押しました。
ではまた次月、ありがとうございました。
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箕面市では、7月31日まで『自治会に入ってないかた・地域に自治会がないかた 今すぐ自治会に加入してください・自治会を結成してください!』の統一キャンペーンを実施中です。