オベロン会ブログ

英米文学の研究会、オベロン会の専用ブログです。

2018年7月28日のオベロン会

2018-07-03 | daruma feat. Takasaki

この度は、少し早めのお知らせです。

7月28日のオベロン会はオベロン会の要、川井万里子先生のご発表です。

タイトルは「ポジティヴな私生児―『ジョン王』におけるフィリップ・フォークンブリッジ」

川井先生からいただいた要旨は以下の通りです。

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シェイクスピア劇に登場する私生児には、フィリップ・フォークンブリッジ(『ジョン王』)の外、エドマンド(『リア王』)、ドン・ジョン(『空騒ぎ』)、サーサティーズ(『トロイラスとクレシダ』)、キャリバン(『テンペスト』)などがいる。父親の権威を中心に組織された16,17世紀の英国社会では、私生児には父親の土地財産、地位、権力の相続権がなく、公職就任、商業組合をはじめとする各種職業組合加入資格、その他の社会生活においてさまざまの差別を受けた。日陰者に生まれついた私生児は、社会への怨念、憎悪、復讐心から、多くは破滅型のbastard villainとして生きる悪役(典型的なのがエドマンド) となる。

しかし、リチャード獅子心王の「名誉ある私生児」を自認するフィリップ・フォークンブリッジは、ジョン王の補佐役、対等の従兄、全権を託された指揮官を務め、王の死後、ヘンリー王子の後見役に付くなど、向日的かつ積極的な役割を演じるポジティヴな私生児である。その間彼は自己愛に溺れることなく、主君ジョン王と自分自身をつねに突き放して観察批判するユーモア精神を忘れない。正統なfeudal lineageからはじき出されたハンディキャップを逆手にとり、すべての立場に距離を置き自由奔放に生きるPhilip the positive bastardの人間像に迫る。Philipのモデルといわれるヘンリー8世の私生児Sir John Perretの波乱の生涯も紹介する。

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川井先生のシェイクスピア歴史劇への熱い思いが炸裂した発表になりそうです!

特にbastardものとは... 来月末が楽しみですね

それでは暑い夏本番、熱い研究会で乗り切りましょう。

 

場所などは、いつもの通りです。

午後2時半より。(会場費:1000円)

国際文化会館
都営大江戸線 麻布十番駅 7番出口より徒歩5分。
東京メトロ南北線 麻布十番駅 4番出口より徒歩8分。

 

 


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