オベロン会ブログ

英米文学の研究会、オベロン会の専用ブログです。

6月の例会報告

2009-06-29 | てこな姫
梅雨の中休み。

27日(土)、都心は30度越えの暑さでした。

8月のようなジリジリする暑さではないけれど、
日差しはすっかり夏でしたね。


そんななか、伊達直之さんによる
「後期イエイツのバラッド」についてのお話しがありました。


扱われたのは、

"The Curse of Cromwell"
"Roger Casement"
"The Ghost of Roger Casement"
"Come Gather Round Me Parnellites"

の4編。(1936~37年)


伊達さんは、
作品の背景であるアイルランドの政治状況、
アイルランドにおけるバラッドの位置づけ、などを詳しくたどりながら
作品に見られる、イエイツの両義性、曖昧さを
丹念に拾っていきました。

70歳を過ぎた老詩人イエイツが
この時期
悲劇的パッションと前向きな明るさの同居する
"tragic joy" というべき詩的傾向にあったことを
伊達さんは、見事に示唆してくださいました。

イエイツ自身がアングロ・アイリッシュであること、
ロンドンに居住しながらアイルランドの歴史をバラッドにうたうこと、
さらには、イエイツとは無縁でなかった同時代のファシズムの台頭や
スペイン内戦といったヨーロッパの政治状況--
それらが微細な構成要素として、
詩行に陰影をあたえ、イエイツのビジョンを織り上げていることが
少しずつ解きほぐされていきます。

さらに、イエイツの初期・中期のバラッドや
トマス・デイビスの愛国的なバラッド (A Nation Once Again) も紹介され
イエイツの後期バラッドを、より広いパースペクティブから伺うこともできました。


今回は何とも珍しいことに、
発表途中に、質問が続出して、たびたび
発表が中断・脱線しました。          


通常の学会発表では、あってはならない「ハプニング」でしょうが、
オベロン会では、こんなこともアリなのです(笑)。

確かに、質問しようと思っていたのに、
発表後になると忘れてしまうこともあるので、
「疑問が浮かんだらすぐ質問」というのは、OKなのでしょう(?)


たび重なる脱線にもかかわらず、
伊達さんは、ちゃんと「いうべきこと」を、おしまいまで
語り尽くしてくださったように思います。

どうも、お疲れさまでした! 

次回は、7月25日。
また、きっと、暑い日でしょう。










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