文淵の徒然なるかな

日々の徒然なるのを綴る

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桃太郎 24 犬編

2017-01-25 18:13:01 | 日記
 カヨの姿を探し山を下る壮介であった。山を下りしばらく行くと農家のものであろう家を見つけた。
 宿を借り受けようと考えた壮介は戸を叩いた。

「すまない警固役の戌亥壮介【いぬいそうすけ】と申す者だが、一宿お願いしたくある。誰か居られぬか」
「戌亥様!」

 戸が開くと中からカヨが飛び出してきた。突然の事に驚く壮介であったがカヨの両肩を掴み訪ねた。

「カヨ!大事はなかった?!」

 壮介の問いに少しうつむきながらも頷いたカヨだったが、顔に残るアザを見るに手酷く扱われたのは容易に想像がついた。

「家に……帰りたい」

 カヨは壮介にすがりついて泣き、ただ帰りたいと口にした。そうして泣き続けるカヨを優しく抱きしめて黙って頭を撫でる壮介であった。しばらくして落ち着いたカヨに壮介は家へと帰す事を約束した。

 今度こそ約束を違えないと心に誓い壮介は家の主に一宿を願い出た。主はカヨが怯える事なく話す姿を見て安堵し、カヨの知り合いである事も含め心よく承諾してくれた。
 安心したカヨが床に着き、主よりカヨがどのようにして匿われたかを話してくれた。畑の物置小屋に半裸に近い姿で酷く怯えた様子で潜んでいたそうだ。アザや傷を手当てし、男ものではあるが自身の着るもと食事を与え、最近ようやく口が聞けるようになったと聞かされた。何があったかは話しはしないが鬼共に酷い扱いを受けたのは容易に察する事ができたので聞く事はなかったとそうだ。

 その話しを聞き壮介は主へと深く感謝し頭を下げた。恐縮する主は壮介と言う知人が現れた事でカヨも落ち着くだろうと安堵し、明日にでも経つであろう壮介に食糧を提供する事を述べた。壮介は心良い主の気遣いと親切な行いに繰り返し感謝を述べた。
 
 翌日、主へ壮介とカヨは繰り返し感謝を述べて出立するのであった。街道を歩く壮介とカヨはカヨの実家へと足を進めていた。カヨの顔には痛々しいアザを残してはいたが弱々しいながらも笑顔を見せていた。
 旅の道中カヨは桃太郎の話しばかりしていた。壮介は色々と桃太郎の話しを聞き、カヨは桃太郎の事を好いているのでは無いかと思い尋ねた。カヨは桃太郎は弟のようなものと口にはしたが、その顔は暗く曇ったものであった。口にはしないがそうだと分かる姿に壮介は自身の迂闊さを呪った。
 陰りを見せた旅はしばらく続いた。そしてその日を境にカヨは桃太郎の話しはしなくなったのであった……。
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