「C列車で行こう!」

なるべく「ネタバレなし」で作品レビューやってます。※ 現在、中国駐在中。しばらく更新できません。。。。

わが家の犬は世界一

2006-03-22 | レビュー(アジア) ラ・ワ行
わが家の犬は世界一

キングレコード

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製作=2002年 中国 100分
監督=ルー・シュエチャン
脚本=ルー・シュエチャン
出演=グォ・ヨウ ディン・ジャーリー シア・ユイ リー・ビン 
公式HP=
http://www.zaziefilms.com/wagayano-inu/
キャッチコピー=家族の愛より 犬の愛?

【レビュー】
約10年前の北京では、衛生上の問題から犬の飼育に厳しい制限(①公安への登録義務 ②多額の登録料=5,000元、日本円にして約70,000円 ③散歩時の登録証携帯など)が設けられていたそうです。本作では、未登録であったために公安に没収された愛犬カーラを取り戻すべく奔走するサエない親父ラオとその家族の一日を淡々と描いています。監督・脚本は、これが長編3作目となるルー・シュエチャン。チャン・イーモウ監督「活きる」でカンヌ国際映画祭男優賞に輝いたグォ・ヨウが主人公ラオを、「太陽の少年」「再見 また逢う日まで」のシア・ユイが公安の警官を演じています。

最後の終わり方に思わず「えっ?」と言ってしまったぐらいビミョーなラストでしたが(笑)、あれはあれでいいのかな?無事にカーラを取り戻してハッピーエンド!ではなく、ラオさん一家には今後も”人間レベル”の解決すべき問題が残っているんだよ、ということで・・それにしても、奥さんや子供にかまってもらえず、家で自分を待っててくれるのは愛犬だけというラオさん。いやー、KUNSANの周りにもいますね、こんなオジサン(笑)。

中国映画というと「歴史もの」のイメージが強いのですが、ここ数年は庶民の生活を描く社会派作品も日本で公開又はDVD化されています。日中両国、互いの国に対する間違った認識、誤解を正すためにも、こういった映画・テレビといった媒体はとても効果的だと思います。KUNSANもこの映画を観るまでは、北京で飼い犬の制限がなされていた事実を知らなかったですから。そうそう、この映画のおかげなのか、2003年10月には制限が一部改定され、登録料が5分の1の1,000元まで引き下げられました。その結果、北京では現在42万匹のペット犬が登録され、空前のペットブームとなっているそうです。



SPIRIT

2006-03-18 | レビュー(アジア) サ・タ行

製作=2006年 香港・アメリカ 103分
監督=ロニー・ユー
脚本=クリスティン・トー クリス・チョウ
出演=ジェット・リー 中村獅童 スン・リー 原田眞人 コリン・チョウ ミシェル・ヨー(特別出演)?
公式HP=
http://wwws.warnerbros.co.jp/spirit/
キャッチコピー=世界よ これが俺たちの勝ち方だ。

【レビュー】
中国武術の創始者にして伝説的武道家、霍元甲(ファ・ユァンジア)の波瀾万丈な生き様を描いたアクション・エンターテイメント。アジアが誇るアクション俳優ジェット・リーが最後に挑むマーシャルアーツ作品、そして中村獅童が共演ということでも話題になっています。ファイトシーンは、ジェット・リーのこの作品に対する意気込みのようなものが伝わってきて、本当に迫力がありました。(アクション監督は、「グリーンデスティニー」「マトリックス」シリーズのユエン・ウーピン)個人的には、もう少し「異種格闘技大会」の場面が多かったらなあと思いましたが・・・

アクションはそれなりに満足できるものだったのですが、残念だったことは、①脚本、構成がいまいちだったこと(ところどころいいセリフはありましたが。) ②特別出演のミシェル・ヨーのシーンがなかったこと(KUNSANは、ジェット・リーvsミシェル・ヨーを期待していました・・) ③エンディング曲がジェイ・チョウの曲から日本の無名バンドのものに差し替わってしまったこと。特に、③のエンディング曲の差し替えは許し難い!古い表現で申し訳ありませんが(笑)、パンチがない!ラストが割としんみりと終わるだけに、あの稚拙な曲では気分が盛り下がったまま映画館を出なければいけません・・・

とはいえ、ジェット・リー、演技がうまくなりましたね。リー・リンチェイからジェット・リーとして、ハリウッドに進出した頃は、年の割に「坊や」に見える風貌(簡単に言えば「とっつぁんぼうや」)のせいか、アクション以外の演技になんか違和感を感じてしまいましたが、そういったこれまでの欧米での経験、それこそ彼にとっては「異種格闘技」のような未知なる経験を積んだ成果が、今作の演技にも生かされたのかなあと思います。かえすがえす、今回が最後のマーシャルアーツ作品への出演となることが残念でなりません・・・

★追記3/19★
他の方の感想を読ませていただいたところ、日本版の「SPIRIT」は本国版より40分も(!)カット(しかもミシェル・ヨー姐さんの出演シーンは全て)されているらしいです。酷いなあ~。確かにアクション映画で長いのはつらいけど、ジェット・リーの最後のマーシャルアーツ作品だったんだからねぇ・・・


サマータイムマシン・ブルース

2006-03-12 | レビュー(アジア) サ・タ行
サマータイムマシン・ブルース スタンダード・エディション (初回生産限定価格)

ポニーキャニオン

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製作=2005年 日本 107分
監督=本広克行
脚本=上田 誠
出演=瑛太 上野樹里 川岡大次郎 与座嘉秋 ムロツヨシ 永野宗典 本多力 真木よう子 佐々木蔵之介 升毅
公式HP=
http://stmb.playxmovie.com/index.html
キャッチコピー=BACK TO THE 昨日!!! タイムマシン ムダ使い

【レビュー】
いやー、おもしろかったですね。ふつう「タイムトラベルもの」って言うと、話のツジツマを合わせるのが難しかったり、観ている方も考えすぎて疲れちゃうこともあるのですが、この作品はうまく出来ています。特に冒頭15分間が「鍵」になっていて、KUNSANは一度見終わってから、もう一度この冒頭を見直してみました。色々発見できておもしろかったですよ。怒濤のストーリー展開や芝居のテンションがなんか舞台っぽいなーと思っていたら、やはり劇団「ヨーロッパ企画」の舞台の映画化だったんですね。本広監督は、以前にもジョビジョバの「スペーストラベラーズ」を映画化していましたが、もしかして演劇好きな人なんでしょうか?本作には、脚本の上田誠をはじめ、「ヨーロッパ企画」の役者(永野、本多)もキャストに参加して、映画版「STMB」を要所要所で支えています。特に未来人の田村くん、いいわー(笑)。

キャストのフロントラインは、”今が旬”の若手、瑛太くんと上野樹里ちゃん。上野樹里ちゃんは、「スウィング・ガールズ」以降、「亀は意外と速く泳ぐ」など話題の作品&監督に引っ張りだこですね。本作でも、見せ場はさほどありませんが、素直で伸びやかな彼女の魅力が出ています。瑛太くんはKUNSAN初見なのですが、妻夫木聡にイメージがかぶります。その他のSF研のメンバーも個性派ぞろい。佐々木蔵之介もいい味だしてます。そして何と言っても「升毅さがし」!升さんがどのシーンで、どの人物に扮しているか探してみるのも、本作の楽しみのひとつでしょうか?(笑)

KUNSANの愛読雑誌「DVDでーた」3 月号の付録で「STMB」の特典映像のダイジェストが収録されたDVDがついてきたのですが、特典の方も面白そう。コメンタリーでは、本広監督が劇中に仕込んだ数々の「小ネタ」について語っています。それから、25年たっても大して変わらない街として描かれているロケ地は、実は監督の出身地である香川県なんだそうです。


アカデミー賞結果発表!!

2006-03-07 | トピックス

5日(現地時間)、アカデミー賞の結果が発表されました!
(主な受賞作、受賞者は次のとおり。その他の部門は公式サイトで。)

  【作品賞】
    「クラッシュ」
  【監督賞】
    アン・リー(「ブロークバック・マウンテン」)
  【主演男優賞】
    フィリップ・シーモア・ホフマン(「カポーティ」)
  【主演女優賞】
    リース・ウィザースプーン(「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」)
  【助演男優賞】
    ジョージ・クルーニー(「シリアナ」)
  【助演女優賞】
    
レイチェル・ワイズ(「ナイロビの蜂」

  【オリジナル脚本賞】
    「クラッシュ」(ポール・ハギス ボビー・モレスコ)
  【脚色賞】
    「ブロークバック・マウンテン」(ラリー・マクマートリー ダイアナ・オサナ)
  【外国語映画賞】
    「Tsotsi」(南アフリカ)

KUNSANの予想は、3部門(助演女優&男優、監督賞)が的中いたしました。終わってみれば、有力作品にうまく賞が散らばったなという感じでしたね(「ミュンヘン」のウケが意外に悪かったのは少し驚きでしたが・・)。最優秀作品賞は
「クラッシュ」でしたね。日本でも既に一部の地域で公開されていますが、オスカーを獲得したことだし、全国でロードショーされていくのではないでしょうか?監督のポール・ハギスは、脚本家として携わった「ミリオンダラー・ベイビー」に続いて2年連続の作品賞受賞。また一人、才能ある映画人が現れましたね。

ここに至るまで数々の映画賞を総ナメにしてきた「ブロークバック・マウンテン」ですが、やはり保守的なアカデミーという牙城は落とせませんでした。そのかわり、アン・リー監督が、アジア人初となる最優秀監督賞を受賞!大変喜ばしいことでした。また、「オリジナル脚本賞」も受賞していますが、原作は「シッピング・ニュース」のアニー・プルーなんですね。俳優陣は惜しくも賞を逃しましたが、この作品をきっかけに婚約し、昨年女の子をもうけたヒース・レジャー&ミシェル・ウィリアムズのカップルが微笑ましかったです。特にミシェルは、KUNSANの好きなドラマ「Dawson's Creek」でJen役を演じていたので、まるで身内のように(笑)、画面に映る姿をドキドキしながら見守っていました。

「助演女優賞」「助演男優賞」はゴールデン・グローブ賞と同じ顔ぶれ。「シリアナ」は石油業界、「ナイロビの蜂」は製薬業界の暗部にメスをいれた骨太な社会派作品。実力派の二人だけに当然の受賞でしょう。特にジョージ・クルーニーはようやくオスカーに手が届きました。受賞スピーチも、名前の羅列ではなく、映画を愛する彼らしい心に残る言葉でした。近い将来、監督賞&作品賞を獲れる日も来るでしょう。レイチェル・ワイズはやはりお腹が大きかったですが、ますます美しくなった気がします。

「主演男優賞」はフィリップ・シーモア・ホフマン。いつもの役柄のイメージで、オスカーを受賞しても、斜に構えて皮肉なセリフが出てくるのかと思いきや、可愛いくらい感激してましたね(笑)。一方、「主演女優賞」は、リース・ウィザースプーン。ミュージカル&コメディには厳しいと言われるアカデミー賞なので、彼女の受賞は嬉しいサプライズでした。さすが名家のお嬢様だけあって「優等生ギャル!」(笑)なスピーチでした。(リースについては、後日また詳しく取り上げます。)縁の下のダンナ=ライアン・フィリップも「クラッシュ」に出演していたし、昨晩は夫婦にとってスペシャルな一夜になったことでしょう。

今年のアカデミー賞は、ノミネート作が人種、宗教、ゲイ問題等を扱った社会派の作品が多かったせいか、授賞式自体も地味な感じがしましたね。司会のジョン・スチュワートはちょっとイマイチだったかなー・・・でも、ジョージ・クルーニーの添い寝はうらやましかったぞ(笑)。KUNSAN的にツボだったのが、ダスティン・ホフマン!ベテラン俳優の彼ですが、どうしてプレゼンターになるとあんなに落ち着きがないのでしょう(笑)。本人も「演じる方が簡単だよ!」なんて言っていましたが、結構ああいう場も嫌いじゃないんだろうなあ(笑)。そういえば数年前のグラミー賞にも出ていました(その時もかなり浮いていたような・・・)。まあ、いろいろ書きましたが、映画ファンにとっての大イベント=「アカデミー賞」、今年も楽しませてもらいました。とりあえず、公開中または公開待機中の受賞作を早く観に行きたいと思います。


アカデミー賞、大予想! 【監督賞・作品賞】

2006-03-04 | トピックス

これまで、「助演女優・助演男優賞」「主演女優・主演男優賞」とアカデミー賞の大予想をしてきたわけですが、最終回は「監督賞・作品賞」のオスカーの行方を予想してみたいと思います。
赤太字がKUNSAN予想)

【監督賞】                        【作品賞】
  ジョージ・クルーニー(「グッドナイト&グッドラック」)   「グッドナイト&グッドラック」
  ポール・ハギス(「クラッシュ」)               「クラッシュ」
  アン・リー(「ブロークバック・マウンテン」)     「ブロークバック・マウンテン」
  ベネット・ミラー(「カポーティ」)              「カポーティ」
  スティーヴン・スピルバーグ(「ミュンヘン」)       「ミュンヘン」

あえて横に並べてみましたが、監督と作品がきれいに対応していますね。言うなれば「5作品」の争いか?過去の結果から見ると、「監督賞」&「作品賞」のW受賞が多いのですが(ちなみに昨年は、監督賞=クリント・イーストウッド、作品賞=「ミリオンダラー・ベイビー」)、今回は、人種問題、同性愛といったヘヴィな内容を扱った作品が多いので、投票する人の信教、政治的立場等によって票が分かれるのではないかと思います。(しかし、同じアジア人としては、アン・リー&「ブロークバック・マウンテン」のW受賞を祈っているのですが・・・)


一応、前評判の高い「ブロークバック・マウンテン」「ミュンヘン」で賞を分け合うだろうと予想しましたが、二作品の評価に迷う人がいれば、他作品にも「漁夫の利」のチャンスがあるかも。助演男優賞のところでも触れていますが、ジョージ・クルーニーの存在がキーになるような気がします・・。それから、「ミリオン・ダラー・ベイビー」の脚本家だったポール・ハギス「クラッシュ」もここにきて評価が上がってきていますね。

とまあ、これまで勝手に予想をしてきましたが、結果はどうなりますやら?授賞式は5日(日本時間6日)にロサンゼルスで行われます。(ちなみに前日にはラジー賞の発表がありますね♪)



アカデミー賞、大予想! 【主演女優・主演男優賞】

2006-03-02 | トピックス
前回の「助演女優・助演男優賞」に引き続き、「KUNSANのど~んと予想してみよう!(仮)」の第2回目は「主演女優・主演男優賞」部門です。(赤太字がKUNSAN予想)


   【主演女優賞】
     ジュディ・デンチ(「Mrs. Henderson Presents」)
     フェリシティ・ハフマン(「Transamerica」)
     キーラ・ナイトレイ(「プライドと偏見」)
     シャーリーズ・セロン(「スタンドアップ」)
     リース・ウィザースプーン(「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」)

   【主演男優賞】
     フィリップ・シーモア・ホフマン(「カポーティ」)
     テレンス・ハワード(「Hustle & Flow」)
     ヒース・レジャー(「ブロークバック・マウンテン」)
     ホアキン・フェニックス(「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」)
     デヴィッド・ストラザーン(「グッドナイト&グッドラック」)

すごく悩んだのが「ウォーク・ザ・ライン」の主演二人。ゴールデン・グローブ賞ではそろって受賞しているのですが、ミュージカル&コメディには評価が厳しいアカデミー賞ということで、やはりオスカーは難しいかな?(可能性があるとしたら、リースに獲って欲しいです。)

主演女優賞部門は、若手、中堅、ベテランとバランスよくノミネートされていますが、間をとって(笑)フェリシティ・ハフマンかな。NHKのBSで放送されているドラマ「デスパレートな妻たち」でも人気があるし、ここは「合わせ技一本」ということで・・・。ちなみに旦那さんは、「ファーゴ」「マグノリア」等のクセ者俳優ウィリアム・H・メイシー。実力派でありながら地味めの夫婦にスポットライトを当てて欲しいというKUNSANの願望でもあります。

主演男優賞については、大方の予想はフィリップ・シーモア・ホフマンだと思いますが、あえてヒース・レジャー。あまり深い意味はありません。翌朝の新聞に出る受賞者勢揃いの写真を思い浮かべたとき、若いイケメンが入っていた方が絵的に映えるかなあと思っただけです(笑)。ジョージ・クルーニーにフィリップ・シーモア・ホフマンじゃあ、ちょっとムサいでしょ?ジョージも冗談で、「ヒースはかっこいいので、今度ゲイ映画で共演したい。」とラブコールを送っていました(笑)。

                                     (次回は【監督賞・作品賞】です。)