半導体、電子部品、電子機器などを扱うエレクトロニクス商社の今期(11年3月期)連結業績予測が出そろい、対象28社中26社が増収増益を計画している。
09年後半からのエレクトロニクス市況の回復を反映した形となった。
各商社とも成長市場、成長分野を重視した事業戦略を実施。中国をはじめとしたアジアでのビジネス拡大、太陽光発電やLED照明などエコ・グリーン関連分野に挑み、業績の伸長を狙う。
●デバイス需要回復
10年3月期は、厳しい経済環境下でスタートを切ったが国内のエコポイント、中国の家電下郷など各国の景気刺激策を背景に、デジタルテレビなど民生機器や環境対策率向けデバイス類の需要が回復。
下期以降は、新興国での投資増大などで産業機器の需要も回復し半導体、電子部品需要は全般的に回復期に入った。エレクトロニクス商社の業績も時間を追うごとに回復。
10年3月期業績を発表した26社(UKCホールディングス、エー・デイ・エムを除く)中、5社が前年を上回る水準にまで売上げを戻した。
利益面では、各社ともに固定費削減など経営効率改善に注力。26社中、10社が営業利益で増益となった。
マクニカは、主力のIC&電子デバイス事業で、海外での携帯電話市場の拡大により通信用ASSPが伸び、通信インフラ市場も国内外の携帯電話基地局の設備投資が一時持ち直した。
そのため、PLDなどが堅調に推移したも「技術力を強みとした技術商社としてアジア市場No.1を目指す。産業機器市場への浸透、車載市場への展開などでビジネス拡大を図る」(中島潔社長)。
バイテックは、デジタルカメラや携帯電話向けCMOSイメージセンサー、液晶テレビ向け画像補正ICが堅調に推移したことに加え、前年度末に連結子会社化したPTTの業績寄与もあり、売上高は同12%増と2ケタの伸び。
「第3四半期以降は完全復調。香港、シンガポールなどの海外拠点の売上げが同20%以上伸長。今期もCCD/CMOSイメージセンサー、小型液晶パネル、リチウムイオンバッテリを軸にビジネス拡大を図りたい」〈稲葉俊彦執行役員)。
●新興国開発に力
伯東は、10年3月期、主力の半導体デバイス部門で前年比3%減の売上げ水準にまで回復。
液晶・プリント板製造装置など機器部門も「10年1-3月期から受注が戻ってきている。今期からは経営合理化の推進から、成長戦略重視へ方向転換する」(杉本龍三郎社長)という。
立花エレテックの渡邊武雄社長は「今期は半導体が回復し、適期では前年比15%ほど売上げを伸ばせるとみている。ボリュームゾーン対策の販促ネットワークを年内に構築し、新興国市場の開発に力を入れる」と話す。
「前年度は11.1%だった海外売上高比率を、この2、3年で20%以上、できれば30%ぐらいまで高めたい」という。
東京エレクトロンデバイスは、主力のデバイス事業で、液晶テレビや周辺機器を含むデジタル家電など民生機器関連向けが第2四半期にかけ順調に推移。
専用ICやマイクロプロセッサが伸長、低迷していた産業機器やコンピュータ向け半導体も期末に向け復調したが、同10.1%の減収だった。
今期は、販売体制強化、自社商品開発に注力し企業体質を強化、増収増益を見込む。
「半導体と電子デバイス事業では、地域密着営業の推進、技術サポートの充実による商権の拡大を通じ、新規顧客を開拓すると同時に、既存顧客を深耕する」(砂川俊昭社長)という。
【記事引用】 「電波新聞/2010年5月21日(金)/1面」