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チップ抵抗器、高付加価値チップの生産比率向上 0402サイズも量産拡大

2009-07-07 | 回路部品



 チップ抵抗器の国内生産は07年に2332億個に達したが、08年には前年比22%減の1820億個に減少し、今年もさらに生産規模が小さくなるとの見方が強い。

 汎用チップ抵抗器は海外生産シフトの加速と国内需要の伸び悩みで、国内生産が縮小傾向を示していたが、ここ数年高付加価値チップの生産比率が高まっている。


●高まるチップ抵抗器への依存度

 携帯機器、無線LAN、ブルートウースなどの無線通信モジュール、さらには自動車などの幅広い需要分野での高度技術が要求されるチップ抵抗器への依存度が高まっている。

 主要各社では、1005サイズ以上の汎用チップ抵抗器は海外主導の生産体制を整備。国内では高密度実装化に対応した0603サイズ、超小型アレイの生産を増強。

 さらに、モジュール分野で搭載が本格化してきた0402サイズの量産拡大への取り組みが活発化してきた。

 0402サイズは超小型のため、特に寸法精度の安定化が強く求められている。実装精度やはんだ付け性の向上が重要になるためで、各社ではカッティング精度を高めるなど独自技術を施している。

 また、機能を重視した新製品の市場投入も活発なものがある。すでに、電流検出用途に向けた低抵抗チップ抵抗器はモーター回路や電源回路での採用が活発化し、需要が増加基調にある。

 小型で十分な定格電力を確保しつつ超低抵抗値を実現するために、厚膜、薄膜、さらには金属箔、金属板といった様々な抵抗素子が用いられるようになった。


●電流検出用途での採用広がる

 その中で、特に金属板チップ抵抗器が、電流検出用途での採用が広がっている。

 このほか、
 ・硫化に強く硫化発生による抵抗値断線を防ぐことができる 「耐硫化型チップ抵抗器」
 ・長辺電極化で従来のチップ抵抗器に比べハンダ接合信頼性が大きく向上し、熱衝撃に対して強い接合強度を有すると
  同時に、高電力を可能にした 「高電力チップ抵抗器」
 ・一般のチップ抵抗器に比べ、耐サージ特性に優れる 「耐サージチップ抵抗器」

 など、相次いで新製品の開発も進展している。

 チップ半固定抵抗器の小型化技術も進展している。サーメット系の完全密閉型トリマーは、4型、3型チップが主体。薄型化への取り組みが活発化している。


●新製品開発が進展

 一方のメタルグレーズ系のオープンタイプは3型と2型チップが主流。実装密度や価格等によって使い分けされている。

 光ピックアップのレーザーパワーの調整用として市場が拡大してきたが、さらに薄型化のニーズに対応して、2チップでの厚み0.6mmを実現した。

 こうした新製品は、各種電子機器における高性能化、高信頼性化という技術トレンドに対応したもので、特に電源回路、高電圧回路、自動車電装回路といった厳しい条件下で使用される分野で市場が形成されている。

 引き続き抵抗器の市場価格が厳しく、収益性の低下が懸念される中、高付加価値化を成長戦略とした事業拡大での取り組みが活発化するものと見られる。

 可変抵抗器はボリュームの需要の後退により、国内では産業機器分野での市場開拓が進展する。特に、アミューズメント機器、産業機械などにおけるセンサー用途に向けた新製品開発が進展している。





【記事引用】 「電波新聞/2009年7月7日(火)/5面


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