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電子部品大手5社、受注が拡大 中国向け製品が下支え 端境期も好調

2010-04-08 | 電子部品業界



 電子部品が好調に推移している。京セラや村田製作所など大手5社の1~3月の受注額は軒並み2009年10~12月と同水準以上となった。

 例年、年末商戦後の端境期である1~3月は1割近く落ち込むが、今年は中国での販売拡大を見込む国内外の携帯電話、家電メーカーなどからの受注が下支えした。

 部品需要は拡大基調に入りつつある。


●9割水準まで回復

 TDK、日本電産、アルプス電気を合わせた電子部品大手5社の1~3月の受注額合計は、10~12月並みの7500億円程度だったもよう。

 リーマン・ショックの影響を最も受けた09年1~3月より5割多く、同ショック前の9割の水準まで回復した。

 村田製作所の1~3月期の受注額は、10~12月期比10%増の1500億円前後に達した。欧米やアジアの機器メーカーが中国向けに増産し、3月に入って主力のコンデンサーなどが伸びた。

 昨年、後半に一部で部品不足になったことから、手当てを急ぐ動きもあった。

 京セラの受注額は10~12月の約1570億円と同水準だったもよう。中国向けの携帯電話やデジタル家電などに搭載する半導体部品、セラミックパッケージの受注が好調。

 搭載する部品が多い「スマートフォン」が普及していることも寄与した。

 TDKの受注額も10~12月の約2160億円と同水準。HDD用磁気ヘッドが好調を維持したほか、パソコンや自動車に搭載されるコイルやコンデンサーなども堅調だった。

 アルプス電気も10~12月並みで、4割超を占める車載向け事業が回復している。

 日本電産の1~3月期のHDD用精密小型モーターの出荷台数は、1億3000万台を超えて、過去最高だった前四半期並みとなった。


●高付加価製品の受注を拡大

 08年秋のリーマンショックで冷え込んだ部品受注は09年1~3月期に底入れし、同年春に急回復。年末商戦向けの受注がピークを迎える秋に向けて戻り基調が続いた。

 昨年の年末商戦の後には一服するとの見方もあったが、このまま好調を維持した状態で今年の年末商戦向けの受注が始まる夏場を迎えそう。

 日本の電子部品メーカが今後も好調さを維持するためには、高付加価製品の受注を拡大する必要がある。スマートフォン、3次元(3D)対応テレビ、環境対応車、スマートグリッド向けの機器などが代表。

 例えば、スマートフォンの基板には、動作のタイミングをつかさどる水晶振動子や、携帯電話の電波を処理する高周波など日本メーカーが大きなシェアを握る製品が多く搭載されている。

 汎用的な電子部品でも、薄型化が得意な国内勢に優位性がある。一方で、汎用電子部品の競争力を高めていくことも欠かせない。新興国向けを中心に取引規模が大きいからだ。

 中国市場では春節(旧正月)休暇期間中、パソコンや薄型テレビなどデジタル機器の消費が例年以上に活発だったという。5月には、上海万博も控えている。

 高付加価値製品も、時間の経過で安価な汎用部品に置き換えられていくのが現実。米アップルの多機能端末「iPad」は先進的なイメージとは異なり、ほとんどが台湾、韓国メーカーの汎用部品で固められている。

 アジアの電子部品メーカーとの間で、価格などの競争も激しくなりそう。





【記事引用】「日本経済新聞/2010年4月8日(木)/9面


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