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電子部品・半導体メーカー各社、供給確保に全力 代替生産を本格化

2011-03-29 | 電子デバイス全般



 東日本大震災の影響による一部の完成品メーカー工場の操業停止などが指摘される中で、電子部品・半導体メーカー各社は、被災工場の復旧と製品供給体制の確保に全力を挙げている。

 各社は、東北地区工場の操業再開を急ぐとともに、代替生産による供給確保を本格化させており、顧客の生産ラインを止めないための努力が続けられている。

 短期間での代替生産が難しい部品・デバイスに関しても、電子部品で2-4週間、半導体で1-2カ月程度の在庫を確保しているとする企業が多く、4月中頃までの供給には大きな問題はないとみられる。

 だが、一つの半導体やカスタム部品の不足が完成品生産では致命傷になるため、部品・半導体各社は、安定供給体制確保に向け、早めの材料手当てや被災工場の早期のフル操業化への取り組みに全力を挙げる。


●順次稼動再開

 TDKは、東北電力管内20拠点中、唯一稼働を控えていた積層セラミックコンデンサ生産の子会社・TDK-MCC北上工場(岩手県北上市)が生産を再開した。

 同工場は特に大容量品を流産し、これによりTDK-MCCの全工場が稼働する。東京電力管内では稼働していなかった有機EL生産のTDKマイクロデイバイスは4月中旬をメドに生産の一部再開を目指す。

 アルプス電気は、宮城の全工場で22日から順次、稼働を再開。

 ごく一部の製品を除き供給のメドが立っているが、代替生産が難しいカスタム性の高い製品などは、顧客と話をしながら願客への影響を最小に抑えるための取り組みを続ける。

 村田製作所は、登米村田製作所(宮城県登米市)の本格復旧まで同工場の在庫、仕掛品を福井村田製作所(福井県越前市)、アスワ電子工業(福井市)などに持ち込み代替生産している。

 金沢村田製作所仙台工場(仙台市)もSAWフィルターを同フィルターの95%の生産能力を持つ金沢村田製作所(石川県日山市)で代替生産を開始。

 村田製作所小山工場(栃木県小山市)は生産を再開していないが、機能性高分子コンデンサの完成品在庫を十分持ち、供給に問題はない。

 京セラは、水晶部品生産の京セラキンセキ山形(山形県東根市)を22日から一部生産再開。

 有機材料生産の京セラケミカルの川口工場(埼玉県川口市)、川崎工場(川崎市)は15日から、真岡工場(栃木県真岡市)は17日から、郡山工場(福島県郡山市)は22日から生産を再開した。


●供給体制を維持

 ミツミ電機は、東北・北関東に生産工場はない。

 山形事業所(山形市)と秋田事業所(秋田県潟上市)は通常稼働中。精密部品事業部水戸分室(水戸市)は建屋の損壊と計画停電で稼働に制限がある。

 製品全体でも供給にメドが立たない部品は比較的少なく、在庫引当、供給元変更で当面対心可能。半導体は一部製品から千歳事業所(北海道千歳市)で生産開始予定。

 ロームは、グループ会社のOKIセミコンダクタ宮城(宮城県黒川郡)のLSI生産が工業用水未復旧で再開していないが、復旧後の早期立ち上げに向け作業中。

 ローム京都本社および、ローム浜松での代替生産体制構築を進め供給体制を維持できるようにしている。

 トランジスタ、ダイオード生産のロームつくば(茨城県つくば市)は19日から部分操業開始。4月1日からの本格操業に向け復旧作業中。

 ロームワコーデバイス、ロームアポロデバイスでの代替生産体制を構築し供給体制を維持している。

 ニチコンは、チップアルミ電解コンデンサ生産のニチコン岩手(岩手県岩手郡)を22日から通常稼働させた。14日から順次生産を再開していた。

 物流で一部影響が残るが、供給面では22日からの通常稼働で問題は出ていない。

 SMKは、ひたち事業所(茨城県日立市)、茨城SMK(茨城県北茨城市)ともに通常稼動に復帰。供給のメドが立たない製品は、個別に取引先と折衝し、代替手段を手配している。

 顧客への影響を最小限に抑えるため、一部富山事業所での生産移管を手配済み.


●生産再開相次ぐ

 日本電波工業、エプソントヨコム、京セラキンセキ、東京電波などの大手水晶デバイスメーカーの生産も、相次いで再開している。

 東日本地域は、スマートフォン、タブレットPCなどの超小型パッケージ品を量産するグローバル生産基地。デバイスの主材料の人工水晶は育成炉(オートクレーブ)で6カ月内外の育成期間が必要で、当面品不足の心配はない。

 エプソントヨコムのエプソンアトミックス(青森県八戸市)が人口水晶の生産停止中だが、宮崎事業所(宮崎市清武町)や米シアトル工場での代替生産を検討している。

 水晶デバイスはエプソントヨコムの福島事業所(福島県南相馬市)が福島第一原発の避難エリアで生産再開が未定。同工場で生産する水晶発振器も海外を含む代替生産を検討する。

 日本電波工業の水晶振動子を量産する子会社・古川NDK(宮城県大崎市)は、建屋、ユーティリティ関係の復旧を完了し一部生産を開始、きよう28日から量産に入る。

 東京電波も盛岡、久慈、一戸の3工場が水晶振動子や温度補償型水晶発振器(TCX○)の操業を再開した。

 メイコーは、宮城工場と福島工場が被災。福島工場(双葉郡広野町)は福島原発の避難エリアに該当し、生産再開のメドが立っていない。同工場は短納期対応など小回りのきく拠点として機能していた。

 宮城工場(宮城県石巻市)は携帯用やモジュール用の専門工場で、生産再開に向け設備などを確認中。損傷がなかった山形工場(山形県西村山郡)をはじめ代替生産などを検討中。

 同社は中国の広州、武漢に巨大なプリント配線板生産基地を展開。ベトナムのハノイ近郊にも新生産拠点を新設している。





【記事引用】 「電波新聞/2011年3月28日(月)/1面」


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