エルピーダメモリは2008年中に、普及型(ローエンドモデル)携帯電話端末向けのDRAMを投入する。
国内出荷の落ち込みを中国やインド、アジア諸国などの新興市場で補うのが狙い。記憶容量が128Mbitや256Mbitと小さく価格の安いDRAMをアジア諸国で販売される端末向けに出荷する。
携帯電話端末の中でも付加価値の高いハイエンドモデル向けに力を入れてきた従来の戦略を修正し、ローエンドモデル向けも製品を投入、DRAM出荷数量を増やしていく。
●擬似SRAMを置き換え
新興市場で販売される携帯電話端末は、製造コスト抑制の観点から内蔵するメモリーに疑似SRAMを用いている。
このローエンドモデルに採用されている疑似SRAMを、記憶容量が小さいDRAMに置き換える。2009年初頭には、成果が出るとしている。
エルピーダは、デジタル家電や携帯電話、サーバ向けのDRAMをプレミアDRAMと呼び、パソコンのメインメモリーに用いるDRAMと区別して事業展開している。
同社は小容量DRAMから容量の大きなものまで一通りのラインアップを持つが、今までは付加価値の高いハイエンドモデルに焦点を絞って事業展開してきた。
だが、第3世代携帯電話(3G)の世界需要が期待ほど伸びておらず、また、07年末に国内で携帯電話端末の販売方法が変更された影響で端末販売台数が減少。
それに伴い、3G対応や国内で売れ筋の端末用DRAMも、出荷数量が減少傾向にあった。こうした落ち込みを新興市場のローエンド向けDRAMで補う。
【記事引用】 「日刊工業新聞/2008年9月26日(金)/1面」